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サステナブルマテリアルとは?メリット・デメリットについて

サステナブルマテリアルとは

地球温暖化・環境問題への配慮が世界的な課題となっている近年、企業・消費者ともに意識が高まっているのが、取り扱う製品の素材です。そのような時代において「サステナブルマテリアル」が注目を集めています。サステナブルマテリアルとは、いったいどのようなものなのでしょうか。

今回は建設業界の方向けに、サステナブルマテリアルの定義、メリットやデメリット、導入している企業の事例などについて、詳しく解説します。

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サステナブルマテリアルとは

サステナブルマテリアルとは

サステナブルマテリアルとは、直訳すると「Sustainable)​​(持続可能な)・Material(素材・資源)」という意味合いです。環境に配慮した資源のことを指し、サステナブル素材という名称で言われることもあります。

持続可能とは、普段の生活環境において害にならずに、リサイクル・再生可能な状態のことです。プラスチックなど素材によっては、生産・廃棄をする際に人間・環境にとって害になる成分が排出されるものもあります。

そのようなデメリットがなく、有害成分や温暖化の原因である温室効果ガスの排出ゼロ・土に還っての自然消滅が可能な素材が、サステナブルマテリアルの定義です。

サステナブルマテリアルが注目された背景

サステナブルマテリアルは、近年急速に注目を集めています。その理由は、加速する地球温暖化・環境問題への配慮が、年々高まっているためです。

近代産業・経済は飛躍的な進歩により、企業・消費者ともに大量生産・大量消費を可能にしました。しかし産業・経済が発展すると同時に生じるのが、以下のような問題です。

  • 廃棄物・有害物質の大量発生
  • 自然環境への悪影響
  • 地球温暖化の促進
  • 労働環境の悪化

このような問題に対処できる存在として、サステナブルマテリアルが企業・消費者ともに注目されているのです。

また、企業の場合、サステナブルマテリアルの積極的な推奨は、時代の変化に対応している証拠にもなり、企業としての評価も上がる傾向があります。

逆にサステナブルマテリアルなどの素材に無頓着な場合、環境に配慮していない企業という判断をされてしまう可能性もあります。企業のブランディング効果も見込めるのが、サステナブルマテリアルが注目を集める理由の一つです。

サステナブルマテリアルは大きく分けて2つに分けられる

サステナブルマテリアルは大きく分けて2つに分けられる

サステナブルマテリアルは​​大きく分けて2つの種類に分類されます。その2つの種類についてそれぞれ説明しましょう。

天然素材

使用後に地面に破棄した際、分解して土壌と同化できる有機物の素材が、天然素材です。プラスチックなどの人工的に生成された素材は完全に分解されるまで数百年かかり、燃焼させて廃棄する場合は有害物質が排出されます。しかし天然素材は分解して土壌に還るため、自然に悪影響を及ぼす心配はありません

また、アレルギー体質の人に優しいことも、特徴の一つです。化学的な素材を使った製品の場合、肌と接触するとアレルギー反応が出る人もいます。しかし天然素材は天然成分のみなので、科学物質によるアレルギー反応が起きる心配はありません。

そして、生産・廃棄の際に生じる温室効果ガスをゼロにすることが可能なのも、天然素材の特徴です。

生産・廃棄の際に有害物質・CO2​​などの温室効果ガスが発生することがないため、環境汚染・地球温暖化を回避できます。

リサイクル素材

既存の製品を再利用するのが、リサイクル素材です。使用されて廃棄された製品・産業廃棄物を素材として使用し、新しい製品を生産します。

代表的なリサイクル素材がペットボトルの再利用です。ペットボトル生成のための素材であるポリエステルをリサイクルして新たなペットボトルを生産します。

ポリエステルの原料は石油で、石油を使った素材はCO2などの温室効果ガスが発生するのが特徴です。しかし廃棄されたペットボトルからつくられたリサイクルポリエステルは、温室効果ガス排出の心配はありません。

リサイクルポリエステルは、ペットボトルだけでなく衣類・バッグなどの生産でも使用されています。従来のリサイクル製品は、元の製品よりも品質が落ちるという欠点がありました。

しかし近年のリサイクル技術の飛躍的な進歩によって、品質も元の素材とほとんど変わりありません。

サステナブルマテリアルの種類

サステナブルマテリアルの種類

2種類に分類されるサステナブルマテリアルはさらに細分化されています。ここからは、サステナブルマテリアルがどのように細分化されているかを紹介していきます。

オーガニックコットン

農薬や化学肥料を一切使用せずに生産される素材が、オーガニックコットンです。通常のコットンも天然素材であるため、品質に関してはオーガニックコットンとの大きな違いはありません。

しかし、オーガニックコットンと従来のコットンとの違いは、栽培方法にあります。オーガニックコットンは農薬・化学肥料が人体・自然環境に及ぼす悪影響を回避できるだけでなく、栽培に必要な水量も削減できます。

例えば、1kgのコットンを生産するにはおよそ1,444リットルもの水が必要とされています。これは、水という貴重な資源を大量に消費する大きな要因です。それに対し、オーガニックコットンは同じ量を生産する場合、使用する水量を従来のコットンと比較して約90%削減できます。

このように、生産にかかる環境負荷を大幅に軽減できる点が、オーガニックコットンの大きな特徴です。

バイオマス素材

動植物を原料にして生成された素材が、バイオマス素材です。とうもろこし・サトウキビ・キャッサバの養分・非可食部位などを原料として使用します。これらの特徴は、成長段階空気中のCO2を光合成によって吸収している点です。そのため、バイオマス素材で製造した製品を廃棄のために焼却しても事前にCO2​を吸収しているので、実質的にCO2の排出量がゼロになります。

CO2の排出量と吸収量が相殺されて排出量がゼロになる状態、つまり脱炭素社会が実現するのが、バイオマス素材の特徴です。また、分解して土壌に還る天然素材のため、環境を汚染することはありません。

再生セルロース繊維

化学繊維でありながら植物を原料としているため、サステナブルマテリアルとして分類されているのが、再生セルロース繊維です。木材パルプの植物繊維であるセルロースを加工して、繊維として再構成します。

衣類の素材で多く使用されているのは合成繊維です。その合成繊維は石油が原料として使用されているため、合成繊維を焼却して廃棄する場合CO2などの温室効果ガスが多量に発生します。また原料である石油は有限のため、石油の使用の継続によって生じるのが資源枯渇の問題です。

しかし再生セルロース繊維は石油を一切使用せず植物を原料としているため、資源枯渇・CO2の増加などの心配はありません。

また、再生セルロース繊維で生成された衣類は、吸湿性・放湿性があるのが特徴です。独特の光沢感があり柔軟性にも富んでいるため、心地良い肌触りが楽しめます。

ヴィーガンレザー(アニマルフリー素材)

動物保護・環境保護のために役立つのが、アニマルフリー素材とその一種であるヴィーガンレザーです。動物の毛や皮などを一切使用せず、動物性の素材に似せた素材を使っているため、動物保護につながります。

そして、アニマルフリー素材の一種として注目を集めているのが、ヴィーガンレザーです。ヴィーガンレザーは合成皮革・天然素材の2種類が存在し、合成皮革はポリ塩化ビニル​​・ポリウレタンが使用されています。

もう一方の天然素材のヴィーガンで使用されている素材は、サボテン・パイナップルの葉・りんご・ぶどう・キノコ・ココナッツです。これらを原料として生成されたヴィーガンレザーは環境に優しく、本革よりも軽量で表面も美しい仕上がりになります。

サステナブルマテリアルのメリット

サステナブルマテリアルのメリット

サステナブルマテリアルのメリットは、下記の3点です。

環境保護・地球温暖化の抑制

サステナブルマテリアルのメリットは、環境保護・地球温暖化などの問題に貢献できる点です。生産・廃棄といった作業は、地球温暖化の原因であるCO2などの温室効果ガスや有害物質の発生といった問題があります。

しかしサステナブルマテリアルは、天然・リサイクル素材のため、生産時に環境に悪影響を与える物質を排出しませんまた、素材は廃棄時分解されて土に還るため、焼却した際のCO2発生の心配がなく、廃棄にかかる労力・経費もかかりません。

人体への悪影響の抑制

従来の生産物は、化学薬品・農薬などを使用してきましたが、これらは製品の品質および生産作業の効率化に貢献する一方、人体的には害をもたらすのが特徴です。この影響により健康被害・アレルギーなどが促進されるというデメリットがあります。

しかしサステナブルマテリアルは、化学薬品・農薬などを一切使用していないのが特徴です。このため、有害物質によって生産作業をしている従業員・生産の環境に悪影響をおよぼす心配はありません。

社会的信頼を得られる

アステナブルマテリアルを使用した製品を生産・使用することによって、企業・消費者が得られるのは、社会的な高評価です。近年はただの大量消費ではなく持続可能かつ消費の推進が求められている風潮があるため、持続可能性を考慮しないと社会的な意識が低いという評価をされます。

環境に優しくリサイクルにより消費の推進も実現するアステナブルマテリアルに対して、高い意識を持っていることは、経済と環境問題の両方に積極的である証拠です。

サステナブルマテリアルのデメリット

サステナブルマテリアルのデメリットは、導入の際に初期費用・手間がかかる点です。サステナブルマテリアルを導入する場合、従来の生産・廃棄における一連の作業を見直さないといけません。サステナブルマテリアルの製造は、近年に開発された新しい技術のため、サステナブルマテリアル生産可能な最新機器を導入して設備を整えることが必要です。

そのため、設備導入のための初期費用がかかり、それに加えて従来とは違う不慣れな生産作業を行うため、生産効率も下がる恐れがあります。企業によっては経営的に苦しくなる可能性も考慮しなければなりません。また、新たな技術を導入するためにはサステナブルマテリアルに関する知識・スキルに精通した人材も必要です。外部から人材を雇う場合は人件費がかかり、自社で人材育成をする場合は手間がかかります。

さらに、従来とは異なる生産作業を行うサステナブルマテリアルの導入は、生産時にコストがかかり、この製造コストの増加分により製品の価格の値上げを迫られます。このため、サステナブルマテリアルの導入が軌道に乗るまでは経営的に苦しい思いをするかもしれません。

サステナブルマテリアルの企業事例

サステナブルマテリアルを実際に導入した企業の事例を、下記より紹介しましょう。

鹿島建設株式会社

現場における資源循環・有効利用

建設現場のゼロエミッションの基本は、省資源に努めたうえで建設工事から発生する廃棄物量を抑制し、分別・リサイクルを推進して、埋め立てられる最終処分量を削減することです。

環境への影響を軽減するため、梱包材を用いない資材搬入や、現場での加工を減らすプレキャスト、仮設廃材の発生を極力抑える工法の採用など、省資源や効率化のさまざまな取組みを行っています。

環境データ

また鹿島では、建設現場発生土について、現場内・現場間での再利用を推進しているほか、国土交通省の官民有効利用試行マッチングに参加しています。さらに、一般社団法人日本建設業連合会の建設副産物部会に参加し、他社との情報共有や協働の取組みを進める等、業界全体での廃棄物削減、資源の有効利用に貢献しています。

引用: 資源循環 | サステナビリティ | 鹿島建設株式会社

株式会社大林組

木の特性を活かしたウェルネスな空間を提供

建物内部はフロアごとに集合研修やディスカッション、個人でのワークスペースなどの用途を定め、使用目的に沿って木や緑、光を使った五感を刺激する空間を演出し、心身を整え、「これからの知を育む場」となるよう木の特性を活かしたしつらえとしています。

さらに、ZEB Ready認証やCASBEE横浜Sランク(自己評価)、FSC®プロジェクト認証(FSC-P001889)を取得したほか、現在WELL認証や LEED認証の本認証(プレ認証取得済み)をめざしており、循環型社会を具現化したサステナブル建築となっています。今後、自社の次世代型研修施設として、企業文化の醸成や発信はもとより、心身を健康に保つウェルネスな空間での活発なコミュニケーションにより、新たなイノベーションの創出につなげていきます。

引用: 日本初の高層純木造耐火建築物「Port Plus®」(次世代型研修施設)が完成 | ニュース | 大林組

まとめ

地球温暖化・環境汚染への対処に対する意識が高まっている近年、注目されているのが、温室効果ガス排出ゼロが実現する、サステナブルマテリアルです。サステナブルマテリアルを大々的に製品の原料として導入すれば、温暖化の原因であるCO2など温室効果ガスの削減・環境汚染の抑制だけでなく、社会的な高評価も得られます

サステナブルマテリアルを本格的に導入するためには、サステナブルマテリアルの種類とそれぞれの特徴を把握することが大事です。また、サステナブルマテリアル導入の際のメリットだけでなく、デメリットも認識しておくことも必要といえます。導入時にどのようなマイナス面があるのか、覚えておきましょう。

建設業界をはじめとする各企業は、自社のブランディングにも大いに貢献する、サステナブルマテリアルの特性をしっかりと把握することが大切です。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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