基礎情報
2023/11/14 2024/5/17
土木業界もIT革命?IT化のメリットや成功事例を紹介
実は、土木業界でもIT革命が起きています。「土木でIT革命ってどういうこと?」と疑問に思う方も多いはずです。実際、建設現場や道路工事での作業が多い土木業界ですが、IT化するメリットはあるのでしょうか。この記事を読むことで、取り組むべきメリットやIT化の最新技術をご紹介しています。ぜひ最後までお付き合いください。
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土木業界のIT化とは?
土木業界のIT化とは、土木プロジェクト全体の流れで情報技術を使用し、業務の効率と品質を高める取り組みのことです。以前、土木業界はアナログな手法が中心でした。しかし、最近のデジタル技術の発展に伴い、業務のデジタル化が進んでいます。
IT化と似た言葉にDX化がありますが視点が異なります。IT化の場合は業務プロセスを効率化することを指すことが多く社内に視点をおいた言葉です。DX化の場合は顧客や社会に視点をおいた言葉で新しいビジネスモデルや価値提供を生み出すためにIT技術などを駆使する言葉です。
IT化の具体例として、データの収集や解析、計画の立案、進捗の管理などにプロジェクト管理システムやBIツールなどのIT技術が活用されています。他にも、複数の企業とのリアルタイムで円滑なコミュニケーションにもオンライン会議ツールといったIT技術は欠かせません。
このように、土木業界のIT化には最新技術を導入し、業務の効率と品質を高めるねらいがあるのです。
土木業界におけるIT化のメリットとは?
ここからは、IT化がもたらす7つのメリットについて、具体的に説明します。
効率的な業務運営
安全性の向上
危機管理能力の向上
コスト削減
顧客満足度の向上
3Kのイメージ払拭
人手不足の解消
効率的な業務運営
情報技術を取り入れることにより、効率的な業務運営が可能になります。以前は、設計や施工を手作業で行ってきましたが、これは手間も時間もかかる大変なものでした。しかし、IT技術の導入、特に3Dモデルやクラウドの利用により、設計の変更や資料の共有が非常に簡単になりました。
このような技術を活用すれば、業務の進行がスムーズとなるため、プロジェクトの納期に追われることなく、落ち着いて作業に取り組むことができるでしょう。
安全性の向上
土木工事において、安全性を向上させることは、従業員の命を守ることにもつながります。この安全性の向上にも、ITが大きな役割を果たしています。例えば、高所の安全確認は人の目によって行う場合、落下のリスクがあります。そこで、ドローンやセンサー技術を活用すれば、人が高いところに行かずとも、安全確認が可能です。
また、AI技術を利用することで、事故リスクの予測もできます。この予測を参考に、事前に安全対策をすることも可能です。このようにして、IT技術の導入は、安全性の向上に役立っています。
危機管理能力の向上
IT技術は、危機管理能力を向上させます。たとえば、設計時に3Dモデリング技術を使用することで、建設現場で起きそうな問題をあらかじめ予想できるようになります。問題を予測して先行して対策ができるので、工期の短縮やトラブルを未然に防ぐことが可能です。
コスト削減
土木業界におけるIT化は、コスト削減の大きな要因になり得ます。デジタル技術の活用により、紙を利用した書類の取り扱いや現場での作業人数を減らすことができるためです。これは、資源コストや人件費の削減につながります。
また、シミュレーションやAIを利用した解析により、設計段階で問題点やリスクを事前に特定できるようになりました。そのため、作業後の変更・修正にかかるコストを大幅に削減できます。
顧客満足度の向上
土木業界において、IT化を進めることは顧客満足度の向上にも貢献します。IT技術が、土木プロジェクトの進捗状況や取り組みの品質を顧客にリアルタイムで提供できるためです。この段階で問題点や改善点が発見された場合、顧客はそれに対するフィードバックを行えます。こうして、より質の高いサービスを提供することが可能です。
また、VR・AR技術を活用すれば、未完成のプロジェクトであっても、完成イメージをすぐに共有できます。こうした取り組みにより、設計と完成品のギャップを減少させ、顧客の満足度を高められるのです。
3Kのイメージ払拭
土木業界には、「きつい」「汚い」「危険」の3Kと呼ばれるネガティブなイメージがついていました。しかし、IT技術の導入により、多くの作業が自動化され、現場の作業環境も改善されています。特に、ドローンやAIによる安全対策、VRを使用したトレーニングなど、現代的な技術の導入によって、3Kのイメージ払拭を図ることができます。
人手不足の解消
土木業界で最も大きな問題は、人手不足です。特に、労働者は高齢化しているにも関わらず、若手が不足していることが深刻な問題となっています。IT技術の導入は、この人手不足の問題を緩和することができます。機械やロボットを活用することで、以前まで一人の作業員が行っていた業務を自動化できるためです。
また、IT技術によって、リモートワークが可能となりました。そのため、遠方から作業参加や複数の拠点間での連携もスムーズに行えます。現場や事務所にいなくても仕事ができることは、人手不足の解消につながると考えられます。
土木業界のIT化を後押しする最新技術
土木業界では、IT技術が導入されつつあり、この動きは今後さらに加速すると考えられています。そこで、土木業界のIT化を後押しする3つの最新技術をわかりやすく解説します。各社の取り組みをご紹介します。
AI技術
ドローン技術
VR・AR技術
AI技術
IT 化を後押しする代表的なものは、AI技術です。土木業界では、プロジェクトの計画や設計、施行、管理・維持において、大量のデータが発生します。AI技術は、これらのデータを解析し、よりコストのかからない方法や安全な方法などを提案するサポートを行います。
清水建設(株)<社長 井上和幸>は、シールド工事の掘進計画の立案およびマシン操作の自動化を目的に開発したAI施工合理化システム「シミズ・シールドAI」を姫路市汐入川才西川放水路幹線建設工事(兵庫県姫路市)に導入し、初期掘進完了後の2022年3月からAIによるシールド機の自動運転を開始します。
引用:「シミズ・シールドAI」によるシールド機自動運転に着手
システムズナカシマは、35年以上のCAD開発ノウハウと最新テクノロジーを融合した作図業務の効率化に取り組んでいます。人材不足や熟練技術者が減少する中、AIに熟練技能者のノウハウを学習させ活用することで人材不足による業務負荷の軽減につながります。
引用:AI×図面:図面内の手書きマークをAIが判定しCADデータに置換
ドローン技術
ドローン技術は、土木業界には欠かせないものになっています。現場の高所や危険な場所の監視、土地の測量、設備の点検など、これまで人手で行われていた作業を効率的に行えるためです。
土木工事現場での測量は、従来、光波測量器やGNSS測量器によるものが一般的でしたが、近年では、高精度に測量が可能で3次元図面を出力できる3D地上レーザ測量が普及しています。また、ドローンによる写真測量の実績も増え、精度も向上しています。しかし、写真測量では、高低差のある複雑な地形や、樹木がある場合などに精度の高い測量データを得ることが難しく、課題となっていました。
鹿島では、日本で初めてドローンに3Dレーザスキャナを搭載して大分川ダム堤体で計測を実施。高密度・高精度のデータを得ることに成功しました。
引用:ドローンによるレーザ測量
VR・AR技術
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術は、土木業界における設計やプレゼンテーション、訓練、作業の方法を大きく変える可能性を秘めています。
例えばVR技術を用いれば、設計段階での3Dモデルを実際に歩いて体験したり、展示場や建設現場をオンライン上で見学できます。活用事例としては、360°バーチャル展示場や、建設現場などの見学におけるVR映像の活用が挙げられます。
またAR技術では現実の現場に仮想の情報を重ね合わせられます。この技術を現場の作業者が活用すれば、現場の正確な位置情報や作業手順を目で確認できます。VR・AR技術は、作業のサポートツールとして、非常に高い価値を持っていると言えるでしょう。
ITの導入だけでなく脱炭素の取り組みも今後重要になる
ITの導入は、業務の効率化や人手不足の解消のためには欠かせません。しかし、それだけではなく、脱炭素の取り組みも重要視されるようになっていきます。それは、近年気候変動の影響が世界各地で現れ始めたことをきっかけに、CO2の排出量を削減し、環境にやさしい取り組みが求められるようなったからです。
まとめ
土木業界も、時代の流れに乗り、IT技術の導入が進められています。その理由は、導入によって、数多くの利点をもたらすからです。例えば、業務の効率化や安全性の向上、品質の最適化、コスト削減などが挙げられます。さらに、顧客の満足度を高める効果や、”3K”と言われる厳しい環境のイメージの払拭、人手不足の解消といった業界全体の課題を解決に導いてくれます。
さらに、AI技術やドローン、VR・AR技術のような最新の技術も積極的に取り入れられており、業界のIT化を後押ししています。実際、土木業界でも多くの企業がITを活用して成功を収めています。
しかし、最近ではIT技術の導入だけでなく、環境問題への対応も重要視されており、脱炭素の取り組みを進めている企業も増えています。外部からの評価や企業の競争力を上げるためにも、脱炭素に向けた取り組みにも視野を広げ、IT化の取り組みを行っていきましょう。
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建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
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この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
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