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時計 2023/6/26 アップデート 2024/4/3

ZEB Readyとは? 省エネ率100%を達成できなくても取得できる!4段階のZEB評価

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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脱炭素社会への取り組みが進む中、建築業界でもZEB増えているのではないでしょうか。当記事では省エネを促進するために設定されたZEBの段階的な評価について解説します。

エネルギー消費率でランクアップ! ZEBのロードマップ 

ZEBとは、省エネと創エネの二軸で年間の一次エネルギー消費量を100%削減する建物のことで、ZEB Readyは年間の一次エネルギー消費量50%以下を目指す建物のことです。

建物の状態や土地の環境によって、創エネが難しいケースもあり、省エネを促進するために、年間の一次エネルギー消費量の割合によって、4段階のZEB評価が設けられています。

【4段階のZEBロードマップ】

種類 詳細
ZEB
  • 年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
Nearly ZEB
  • ZEBに限りなく近い建築物
  • ZEBに限りなく近い建築物としてZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた建築物
ZEB Ready
  • ZEBを見据えた先進建築物
  • ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物
ZEB Oriented
  • ZEB Readyを見据えた延べ面積10,000㎡以上の建築物
  • ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物

参考:環境省「ZEBの定義

経済産業省「平成30年度 ZEBロードマップフォローアップ委員会 とりまとめ

ZEBは省エネと創エネによって年間の一次消費エネルギー量100%削減を目指した建築物です。省エネと創エネによって室内環境を維持しながら年間の一次エネルギー消費量ゼロを実現します。

Nearly ZEBはZEBに限りなく近い建築物として定義されています。再生可能エネルギーを除く基準一次消費エネルギー量から50%以上削減するとともに、再生可能エネルギー*を含む基準一次消費エネルギー量から75%以上100%未満削減することで年間の消費エネルギー量ゼロを実現します。

ZEB ReadyはZEBを見据えた先進建築物です。外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、省エネによって年間の消費エネルギー量を50%以上削減することで実現します。ZEB Readyは、太陽光発電による創エネを行わなくとも、年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減できると認証を受けられます。ZEB Readyとして認証されるための定義として環境省の「ZEB PORTAL」では「再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物」であることを判断基準としています。

ZEB Orientedは年間の一次エネルギー消費量に関して30〜40%削減することで実現します。延べ面積10,000㎡以上の建築物が対象となっており、ZEB Readyを見据えた建築物として定義されています。事務所、学校、工場などは40%以上、ホテル、病院、百貨店、飲食店などは30%以上一次エネルギー消費量を削減し、さらに現時点でWEBPROでの未評価技術を導入することが要件となっている点において他のZEBとは異なります。

ZEB Readyの認証基準は太陽光発電なしで満たせる

ZEB Readyの認証基準は太陽光発電なしで満たすことができます。ZEB Readyは、太陽光発電による創エネを行わなくとも、年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減できると認証を受けられるためです。

ZEB Readyとして認証されるためには定量的な定義があります。環境省の「ZEB PORTAL」によると、ZEB Readyの判断基準は「再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物」です。

ZEB Readyを目指すメリット

ZEB認証の認証を受けることでイメージ向上を図ることができます。

1次エネルギー消費量を50%以上削減することで実現できるため、最初の目標としやすいです。削減基準が「 ZEB Ready」より少ない「ZEB Oriented」は延べ床面積や未評価技術の導入が基準の中に含まれているため、「ZEB Ready」の方が実現しやすいケースもあります。

「ZEB Ready」実現のために補助金を利用可能なケースがあります。補助金を活用 することで、負担を減らすことができます。

ZEB Readyの事例

新築、既存施設共にZEB Readyを実現させた事例が全国に複数あります。

たとえば、多摩市立中央図書館は新築施設のZEB化に取り組みました。外皮の約半分を地中にし、地上に現れる外皮を高断熱ガラスにする方法で敷地内の高低差を活かしたZEB Readyを実現させたのです。

また、富山県立山荘は、日本最高所にある既存施設として国立公園内で初のZEB化に取り組みました。樹脂製内窓サッシの採用や暖房機能を強化し、気候に合わせた省エネを行うことでZEB Readyを実現しています。

なお、これらはあくまでも例であり、さまざま用途の建築物においてZEB化に向けた取り組みは推し進められています。他の事例を知りたい人は、一般社団法人環境共創イニシアチブの「ZEBリーディング・オーナー一覧」内『ZEBランク』でZEB Readyにチェックを入れて確認してみてください。

ZEBの設計や建築に関わる事業者はZEBプランナーの登録を検討する

設計や建築に関わる事業者はZEBプランナーの登録を検討しましょう。オーナーがZEBの補助事業を実施する際は、ZEBプランナーの関与が必要になるためです。

ZEBプランナーは、「ZEB設計ガイドライン」や自社が有する「ZEBの設計知見」を活用して、ZEB実現に向けた相談窓口を設置し、建築設計やコンサルティング等を行う事業者のことです。

ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業調査発表会 2022」によれば、2021年度にZEBプランナーが受注した実積数は1049棟のうち10%(106棟)がZEBでした。ZEBプランナーが受注した実積数で最も多かったのは72%(760棟)のZEB Ready です。

まとめ

ZEB Ready(ゼブレディー)とは省エネによって年間の一次エネルギー消費量を50%以下まで削減する建物です。ZEB Readyの認証基準は、太陽光発電を導入した創エネを行わなくとも、省エネのみで満たせます。

2030年度までに、新築建築物の平均でZEB Ready相当となることを目指すことが閣議決定されました。省エネ率100%のZEBの実現と普及に向けて、基準を満たせるレベルから取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

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