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設計の仕様が建物運用時のCO2を決める! 建設業が握る脱炭素社会の未来

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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東京都では、産業部門、業務部門、家庭部門、運輸部門、廃棄物部門といった部門別にCO2排出量を集計しています。その中で、建設関連が全体の70%を占めています。

建築関連のCO2排出量は、新築時、運用時、解体時の3つに分けられます。

このうち、運用時のCO2排出量は全体の70%を占めていますが、建物を長く運用すると80%にも上昇します。

建築設計の仕様によって運用時のCO2排出量が決まるため、設計段階で運用時の排出量を抑えれば、建物を長く使うことによりCO2削減が可能です。

この記事では、建築業界がCO2排出に貢献している現状を理解し、脱炭素社会を実現するための建築設計の観点から考えてみました。

CO2は建設業が圧倒的に排出している

建設に関わるCO2排出量がどれくらいかをご存じでしょうか。

世界の産業別のCO2排出量の割合では、建設業関連のCO2排出量は37%です。産業の中でも大きな割合を占めていることがわかります。

一方、部門別で東京都のCO2排出量を見てみると、図のとおり、なんと建設関連のCO2排出量が70%を占めています。世界の産業別のCO2排出量の割合では、建設業関連のCO2排出量は37%です。産業の中でも大きな割合を占めていることがわかります。

(画像出典:Global Alliance for Buildings and Construction 2021(英文)、住友林業「LCA」)

CO2を出している割合は建物が約70%

東京都では産業部門、業務部門、家庭部門などの分野別に、CO2排出量を把握するために分類している点が特徴です。

例えば産業部門では工場が物を作るため、CO2を多く排出していると思われます。

また運輸部門ではガソリンを使用して物を運ぶため、排気ガスから多くのCO2が排出されると考えられでしょう。

しかし、イメージに囚われずに実態を把握することが重要です。

そこで正しい対策を取るため、部門別にCO2排出量を集計したところ、建物に関連する業務部門と家庭部門の割合が全体の70%を占めていたことがわかりました。

画像出典:東京都環境局「2030年カーボンハーフに向けた取組の加速2022

建物運用時のCO2排出量

建物の建設時に排出するCO2は、全体の30%ほどです。この中で大きな割合を占めるのが建築材料です。

また新築時のCO2のうち80%程度が、材料の生産によって排出されています。したがって、新築時に設計者がCO2排出量の少ない材料を選ぶといった対策が有効でしょう。

一方、建物運用時のCO2排出量は全体の70%程度と、非常に大きな割合であることが特徴です。

そのため、カーボンニュートラルの設備を導入することや、通常の設備機器を入れるなどの対策を行う必要があります。

よって、設計者自身が脱炭素の意識を持たなければ、運用時のCO2削減は難しいのが現状です。

(画像出典:Global Alliance for Buildings and Construction 2021(英文)、住友林業「LCA」)

建物は長く使うから、CO2排出量を考慮した設計へ

建物は、数十年間にわたって利用することが一般的です。
そのため、建物の運用期間によるCO2排出量を考慮し、長期的な目線で設計を行うことが大切です。

建物は、昔に比べて長寿命化してきています。日本の建物の平均寿命は32年ですが、アメリカやイギリスでは60年を超えて使うのが当たり前です。日本でも最近は築古のマンションをリノベーションして住む人も増えています。昔に比べて、建物を長く使う人が増えています。

建物を長く使うからこそ、運用時のCO2排出量は大きな影響を及ぼします。

(画像出典:国土交通省「平成28年度住宅経済関連データ 滅失住宅の平均築年数の国際比較 」)

対策方法の事例

設計者が脱炭素を踏まえた行動をしないと、運用時のCO2排出量は変わりません。CO2排出量の削減に向けた設計が重要となります。

省エネ設計をする

たとえば、省エネ設計です。基本に立ち戻って省エネ設計を確実に取り入れることから始めましょう。ライトシェルフを用いた設計にしたり、高断熱の設計にしたりと、できることはたくさんあります。

省エネ設計を取り入れた計画が大切です。

太陽光発電を取り入れる

東京都では、太陽光発電を取り入れることに積極的です。運用時に使う電力を、1年を通してトータル0にできれば、運用時のCO2排出量を格段に減らせます。太陽光発電でなくても、地中熱を利用して発電したり、河川水で発電したり、なにかしらで発電して電力をまかなうことができれば、ZEB化することも可能です。

>ZEBについては「ZEBとは? 知らないと乗り遅れるZEBの基礎知識」の記事で詳しく解説しています。

長寿命化対策をする

また、せっかく省エネ設計をしても、すぐに解体して別の建物を作ってしまったら意味がありません。長寿命化対策をして、長く使うことを考えましょう。長く使うことで、新築や解体時に排出されるCO2を抑えることができます。

低炭素材料を仕様に入れる

新築時の材料を低炭素材料に変えるのも効果的です。低炭素コンクリートを使えば、新築時のCO2排出量を減らすことができます。コンクリートに炭素を固定する技術も登場しました。低炭素、カーボンニュートラルな材料を設計仕様に入れることで、脱炭素の取り組みとなるでしょう。

当たり前のことを当たり前に取り入れることが大切

ここまで上げてきた省エネの知識は、昔から言われているものばかりです。新しい技術もいくつかありますが、昔から言われている省エネを徹底すれば、かなりのCO2削減となります。

脱炭素とデザインを両立する

大切なのは、コストやデザインを優先して省エネや脱炭素を置き去りにしないことです。デザイン性が高い建物は魅力的ですし、安く建物が作れるならそれにこしたことはありません。ですが、省エネや脱炭素を置き去りにした建物は、設計能力が無いと疑われかねない時代が迫っています。脱炭素とデザイン、コストをすべて満たすデザインを新しく考えることが必要です。

高効率の設備を積極的に取り入れる

そのためには、高効率の設備を積極的に取り入れることも必要です。技術の進歩は目覚ましく、最新の高効率設備を取り入れれば、運用時のCO2排出量は大きく減ります。初期費用が高いことはデメリットとして挙げられますが、長い目で見ればCO2を減らすことには大きな意義があります。

初期費用が高い設備は、施主が嫌がることもあるでしょう。ですが、施主を納得させることも設計者には必要です。脱炭素の対策をするメリットを施主に説明して、未来を見据えた話し合いができる関係を築きましょう。

ライフサイクルCO2を計算する

そして大切なのが、ちゃんとライフサイクルCO2(出典:経済産業省資源エネルギー庁「CO2排出量を考える上で押さえておきたい2つの視点」)を計算することです。なんとなく設計してCO2を削減した気になっていては意味がありません。しっかりと計算をして、環境への影響を可視化できれば、社会的意義を数値で示せます。これは施主にとっても大きなメリットとなるでしょう。

まとめ

この記事では、建設業がCO2を排出している現状を理解し、どうすれば脱炭素社会を実現できるのか、建築設計の観点から考えてみました。

東京都における部門別のCO2排出量は建物関連が7割を占めています。その多くのCO2を設計の仕様で減らすことができます。

脱炭素の意義を理解し、設計から脱炭素社会の未来を実現していきましょう。

リバスタは、建設業界のCO2算出や改善サービスに取り組んでいます。ぜひお気軽にご相談ください。

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出典まとめ:

Global Alliance for Buildings and Construction 2021(英文)

東京都環境局「2030年カーボンハーフに向けた取組の加速2022

国土交通省「平成28年度住宅経済関連データ 滅失住宅の平均築年数の国際比較

東京都財務局「省エネ・再エネ東京仕様

LCA学会研究発表「住友林業のLCA事業

日建連「省エネ建築の例

住友林業「LCA

経済産業省資源エネルギー庁「CO2排出量を考える上で押さえておきたい2つの視点

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