業界事例

時計 2024/7/30 アップデート 2024/7/31

総合インフラサービス企業を掲げるインフロニア・ホールディングス 脱炭素に向け、グループ会社が生み出すシナジー効果とは(後編)

脱炭素インタビュー インフロニア・ホールディングス(後編)

前編では、各事業会社のCO2排出量削減に向けた施策、ホールディング化によるシナジー効果などについてお話しいただきました。
後編では、カーボンニュートラルなどを進める上でのサステナビリティ推進室の位置付け、総合インフラサービス企業としてサステナビリティ経営に対する今後の展望などについてお聞きしていきます。

経営戦略としてのサステナビリティ

サステナビリティ推進室は、2022年10月に経営戦略部の中に設置されました。「ホールディングスが設立された時点では、経営戦略部とは別にCSR環境部という部署があったのですが、2022年10月にCSR環境部をサステナビリティ推進室に改組して、経営戦略部の下に位置付ける形になりました。サステナビリティを経営戦略の一環として取り組むべきだという社長や役員の考えに基づくものです。会社の方針としても「サステナビリティ戦略の強化」を掲げています。
CSR環境部の時代と業務自体はほぼ変わらないと思うのですが、経営戦略部の中に入っていることによって、例えばIR資料の中にサステナビリティに関する事項を盛り込むであるとか、逆にIRにおいてサステナビリティに関連するどのような情報が求められているのかを認識できているという効果はあると思います。現在は私を含めて9人所属していますが、ほぼ全員が事業会社との兼務です。私は前田建設側のサステナビリティ推進を兼務していますし、各社のCSR環境部や推進室の担当者も兼務しています」(岡崎氏)

経営戦略部 サステナビリティ推進室長 岡崎 充浩氏経営戦略部 サステナビリティ推進室長 岡崎 充浩 氏

サステナビリティ経営を進める上で、岡崎氏は、グループ全体でCO2削減、カーボンニュートラルに向けたさらに力強い推進力が生まれることを期待しています。「CO2削減に関して言うと、急に減る特効薬があるわけではありません。しっかりとした投資判断も必要ですし、それに応えるだけの現場の人材も必要になってくると思います。CO2排出にもコストがかかる時代になってきますから、そこは時代を先取りして投資をすることで、余計なコストがかからないようにしようという意識が生まれてくるといいと思います。グループ全体でカーボンニュートラルを推進する雰囲気がより醸成されてくると、新たなアイデアがどんどん生まれてくるでしょうし、会社としてはより成長し、より持続可能になっていく、と思っています」

CO2削減目標 取り組み内容

CO2排出削減の取り組み内容
インフロニア提供

社会課題解決への取り組み

岡崎氏は「インフラにまつわるさまざまな分野の社会課題解決こそが総合インフラサービス企業の使命」と言います。「グループとして事業展開できる分野が拡大すると同時に、CO2排出量削減など社会からの要求に応えなければならない部分も増えていくと思いますが、グループ一丸となって何ができるかを考える体制が構築されてきていると思います。カーボンニュートラルや、それ以外のサステナビリティに関する課題を経営戦略の中に組み込んでグループとして取り組むのはもちろんのこと、外部に対する提案の中にもサステナビリティを推進する要素が入ってくるといいと思っています」
2024年1月31日に加わった日本風力開発を中心とした再生可能エネルギー事業の推進もその一つとのことです。「日本風力開発には高いポテンシャルと開発実績があるので、日本全体のカーボンニュートラルに大きく貢献できると考えています。グループ全体のCO2排出量削減につながることも期待をしています。また、例えば前田建設のお客様に日本風力開発が作った電気を使ってもらうなど、外部との連携を加速させていくことで、再エネ事業自体もどんどん推進していきたいと考えています」

インフロニアグループ 環境に関する提供技術インフロニアグループが提供する環境に関する技術
インフロニア提供

インフラ運営という付加価値

さらに強みとして挙げるのが、コンセッション事業への取り組みです。「コンセッション事業は、有料道路や上下水道・工業用水、アリーナなど、従来は国や地方自治体が運営していた公共施設について、我々民間が運営権を取得し、長期に運営を行っていくものです。日本では我々がビジネスとしていち早く手をつけた分野です。コンセッション事業においてもやはり脱炭素という切り口が求められます。地方自治体や地域の方々の関心が高い部分ですので、そこへの答えとして、当社がインフラ運営をするとCO2排出量をはじめとした環境負荷がこれだけ削減できますと言えるようになると、地域にとってもプラスになりますし、インフロニアグループとしての価値も上がるのではないかと考えています。そうした動きをより加速させていきたいです。グループ企業だからこそ提案できるメニューが増えていきますし、連携も迅速にできるというメリットもあります。我々が生み出すものにきちんと付加価値をつけて提供できるよう、グループが一体となってメニューを増やしていくという取り組みが今後必要になっていくと思います」

経営戦略部 サステナビリティ推進室長 岡崎 充浩(おかざき・みつひろ)氏

インフロニア・ホールディングス株式会社
経営戦略部 サステナビリティ推進室長
岡崎 充浩(おかざき・みつひろ)氏

終わりに

建築土木、道路舗装、建設機械、再生可能エネルギーと事業分野が異なる以上、CO2排出量削減への課題も各事業会社によって異なります。インフロニア・ホールディングスでは、事業会社ごとに独自の施策を進めながら、さらにグループ会社だからこそ生まれるシナジー効果をうまく引き出すことで、グループ全体のサステナビリティ経営へとつなげています。根底には、総合インフラサービス企業としてさまざまな社会課題の解決に取り組むという思いがあるようです。
グループ会社や関連会社を含めたカーボンニュートラル推進を求められる企業にとって参考になる点も多いのではないでしょうか。

※組織名・役職などの情報は取材当時(2024年5月)のものです。

前編はこちら:
総合インフラサービス企業を掲げるインフロニア・ホールディングス
脱炭素に向け、グループ会社が生み出すシナジー効果とはー(前編)

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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