基礎情報
2024/7/11 2024/9/20
グリーンビルディング認証とは?概要・メリット・取得方法を解説
世界規模の温暖化・環境問題が深刻化する近年において、国内の各企業も脱炭素に関する取り組みが活発に行われています。そのようななか、建設業界ではグリーンビルディング認証が注目されています。
グリーンビルディング認証とはどのような内容なのか、今回は、グリーンビルディング認証の概要・取得のメリット・取得の手順などについて、詳しく解説します。環境問題に対応した経営を強化したい方は、ぜひ参考にしてください。
グリーンビルディング認証とは?
「グリーンビルディング認証という名称はよく聞くが、いまいち内容がわからない」
「そもそもグリーンビルディングって何?」
そのような疑問を持っている方々もいると思います。グリーンビルディング認証を理解するためのポイントとは、次の3点です。
- グリーンビルディング認証の概要
- 主要なグリーンビルディング認証制度
- 認証基準と評価項目
次より上記3つのポイントについて、それぞれ説明いたします。
グリーンビルディング認証の概要
グリーンビルディングおよびグリーンビルディング認証の定義は、以下のとおりです。
グリーンビルディング
グリーンビルディングとは、近年の環境・社会の現状を把握して、環境に配慮して建てられた不動産の総称です。不動産における一連の行程(立地選定・設計・建設・運用・解体)すべてが環境・社会に対応していることが条件です。
環境・社会に対応した条件を満たしたうえで運用をされている不動産が、グリーンビルディングなのです。
グリーンビルディング認証
グリーンビルディング認証とは、公的機関によって運営されているグリーンビルディングの認証制度です。第三者の機関が、対象不動産がグリーンビルディングに準拠した基準で建築されているかどうかを評価し認証を行います。
この認証を受けた不動産が得られることは、グリーンビルディングであるための各種基準を満たしているという高い評価です。第三者である公的機関から、環境・社会への配慮の意識が高いという証明をもらうため、グリーンビルディング認証は高く評価されています。
主要なグリーンビルディング認証制度
代表的なグリーンビルディング認証制度は以下のとおりです。
DBJグリーンビルディング認証
日本政策投資銀行(DBJ)が運営している制度が、DBJグリーンビルディング認証です。「総合評価」「簡明性・簡便性」「プライズ」という3つの評価項目を設けて、グリーンビルディングの基準を満たしているかの審査を行なっています。
公式サイト:DBJ Green Building認証|金融サービス|日本政策投資銀行(DBJ)
CASBEE
CASBEE(キャスビー)は、一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターが運営している認証制度です。7つの認証制度があり、環境性能をさまざまな視点で不動産を総合的に評価します。
公式サイト:CASBEE(建築環境総合性能評価システム)
BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
BELSは、一般社団法人住宅性能評価・表示協会によって運営されている認証制度です。国交省制定のガイドラインに基づき、消費者にとってわかりやすい審査・認証を行なっています。
公式サイト:BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)について | 一般社団法人 住宅性能評価・表示協会
東京都トップレベル事業所認定
東京トップレベル事業所認定は、環境局が運営している認定制度です。地球温暖化対策が、知事が定めた基準を満たしており、優秀と認められた場合に認定されます。
公式サイト:トップレベル事業所|大規模事業所における対策|東京都環境局
LEED
LEEDは、アメリカの非営利団体USGBC(U.S. Green Building Council)が運営している認証プログラムです。認証の項目を満たすとポイントが付与され、そのポイント数によって4段階の認証レベルに分けられます。
認証基準と評価項目
グリーンビルディングの認証基準・評価項目は、運営機関によって若干の違いがあるのが特徴です。
機関によっては、認証基準を満たした数によってレベル分け・スコアリングを設定しているところもあります。対象としている評価項目を満たす数が多いほど、レベル・スコアが高くなる仕組みです。各機関は主に以下のような評価項目を設定しています。
- 二酸化炭素排出量の削減および省エネルギーの実現
- 資源の効率的な活用および循環
- 生態系の保護
- ウェルビーイング
- レジリエンス
- 社会的公平および包摂
上記の項目に対して、どのような対策の立案および実践、顧客の評判を得ているかを機関は確認します。対策およびその成果を多く上げている不動産は、それだけ認証レベルも高くなる仕組みです。
グリーンビルディング認証を取得するメリット
グリーンビルディング認証を企業が取得した際、以下のような45つのメリットが得られます。
- 環境への貢献
- エネルギー効率の向上
- 市場価値の向上
- 健康と快適性の向上
上記4つのメリットそれぞれの具体的な内容について、次より説明いたします。
環境への貢献
グリーンビルディング認証取得で得られるメリットは、環境問題への貢献度が高いことの証明です。認証を取得できれば、環境問題・温暖化への対策に取り組み、安全な商品を扱っている証拠になります。消費者だけでなく株主・自社の従業員にも良好な関係の構築の実現が可能です。
消費者に対しては、深刻化する環境問題への対策を実際に行なっているアピールになり、より環境価値の高い商品を取り扱っている証明になります。環境負荷を減らすことで社会貢献を行うと共に、消費者・株主・取引先・自社の従業員といったステークホルダーにアピールできることも認証取得のメリットです。
また、環境負荷の低減により環境基準を満たした商品の取り扱いやクリーンな社風の醸成などを通してブランディングも実現し、多方面に好印象を与えられる効果も期待できます。
エネルギー効率の向上
建物がグリーンビルディング認証を取得した場合、その建物は環境に与える負荷を軽減していると共に、省エネ化が行われていることも意味します。
グリーンビルディング認証における審査で高く評価される点は、太陽光・風力などの再生可能エネルギーによる発電設備の導入や、廃棄物のリサイクルを適切に行っているか、の2点です。
また、断熱性の向上などによりエネルギーの使用効率が向上することで電気の使用量が削減できることに加え、建物内で使用する電力に再エネ由来電力を使用することでCO2の排出削減を行うことができます。
市場価値の向上
グリーンビルディング認証の取得により、不動産の市場価値の向上というメリットもあります。
近年、環境保護に関心が深い方々が急増している点です。グリーンビルディング認証を取得している企業・不動産はますます注目度が高まり、このような層からの関心が高まるでしょう。
さらに、省エネ効果が高いことも市場価値向上にプラスに働きます。環境に優しい建物である上に、省エネ効果も得られるためにグリーンビルディング認証取得により建物の市場価値が向上すると考えられます。
健康と快適性の向上
グリーンビルディングの認証機関のなかには、審査基準としてウェルビーイングを重要な項目として挙げているところもあります。ウェルビーイングとは「心身ともに健康的であり、社会的にも孤立・困窮のない満たされた状態」という概念です。
グリーンビルディング認証の取得を、自社の効率化・コスト削減・ブランディングだけではなく、ウィルビーイングの概念に沿って実践することも大事なポイントとなっています。ウィルビーイングの実現により、その建物に住む人たちが満たされた状態になることがグリーンビルディングの役割の一つだと言えます。
グリーンビルディング認証の取得方法
グリーンビルディング認証を取得するためには、以下のポイントが大切です。
- 認証取得の準備ステップ
- 必要な書類と提出手順
- 評価プロセスと審査基準
- 取得後のフォローアップと維持管理
グリーンビルディング認証の取得方法は、認証機関によって異なる仕組みです。今回はDBJグリーンビルディング認証の取得方法を参照し、上記4つのポイントについてそれぞれの内容を説明します。
認証取得の準備ステップ
DBJグリーンビルディング認証取得の申し込みをする前に、自社がDBJグリーンビルディングの概念を満たしているか、確認します。DBJグリーンビルディングの概念は以下のとおりです。
- 建物の環境性能
- テナント利用の快適性
- 危機対応力
- 多様性・周辺環境への配慮
- ステークホルダーとの協働
自社の環境・方針を見直して、上記の概念にあてはまっているかどうか、確認しましょう。
必要な書類と提出手順
DBJグリーンビルディング認証の場合、必要なのはスコアリングシートへの記入および提出です。スコアリングシートには合計87の質問項目があり、それらにすべて答える必要があります。
提出物はスコアリングシートと必要最小限の図面等です。提出先は一般財団法人 日本不動産研究所(JREI)になります。
評価プロセスと審査基準
シートの内容に問題がなければJREIからの通知が送られ、次のステップである物件実査・インタビューの審査に移行します。審査基準はシートにて回答した87の項目ですが、質問内容は87項目以外のこともありますのでしっかりとした準備が必要です。
物件審査・インタビューが終了すると、認証判定会議のステップに進みます。認証判定会議をクリアすれば、認証取得となります。
取得後のフォローアップと維持管理
認証判定会議により申請内容が承認されると、所定の発行手続きのお知らせが通知される仕組みになっています。この手続きが完了すれば、正式に認証が付与されます。
認証が付与されたあとは、日本政策投資銀行との共同運営サイトへ掲載されます。
グリーンビルディング認証を受けるとロゴマークが使用可能になり、IR資料・決算説明会用資料、CSRレポートなどの各種資料に認証の情報が掲載が可能になります。他にもロゴマークは名刺や盾、ステッカー等への使用も可能です。
日本政策投資銀行DBJグリーンビルディング認証チーム及び日本不動産研究所は、認証取得前と認証取得後の両方で相談を受け付けています。このため、アフターケアも万全となっています。
グリーンビルディング認証の取得を検討している場合、日本不動産研究所が相談の窓口となっているため、取得の手順で不明点がある場合は相談をおすすめします。
まとめ
近年、問題の深刻化が加速している地球温暖化及び環境汚染は、企業の運営においても重要な要素となっています。この風潮の中で特に不動産において注目されているのが、CO₂排出抑制など環境問題に対応している証明になるグリーンビルディング認証です。
グリーンビルディング認証は、環境問題対策だけでなく、企業のブランディング、市場価値の向上の効果も期待できます。この認証制度を導入するには、事前にその概念・導入した際のメリットとデメリット、取得のための手順をしっかりと把握することが大事です。
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この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
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