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時計 2023/12/18 アップデート 2024/8/26

SBT認定と中小企業向けSMEsの申請手順:ステップごとに解説!

SBT(Science Based Targets)とは科学に基づいた温室効果ガス削減目標値のことです。

パリ協定では地球の平均気温上昇を産業化以前と比較して2.0℃未満に抑えることを目標としていますが、このパリ協定が求める⽔準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減⽬標値がSBTです。

今回はこのSBTを設定して申請し、認定を取得するための手順を解説いたします。

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SBT認定の種類と業種ごとの申請費用

SBT認定を申請する前の段階としてコミットメントを行うことがあります。
コミットメントは2年以内に目標値を設定しSBT認定を受けることを宣言することであり、費用はかからず期間内に認定を受けなくても罰則もありません。

しかし、宣言した以上実行する必要が出てきますので、SBT認定を申請する意思のある企業がコミットメントを行います。

審査を経て認定されるSBTはNear-term SBTおよびNet-zero SBTの二種類です。

Near-term SBTは申請した年から5年~10年の間に設定されたNear-term SBT⽬標年までに毎年基準年排出量から4.2%ずつ削減していきます。
また、Net-zero SBTは2050年までに排出基準年の90%削減を目標としています。

(画像出典:環境省「【参考②】SBT Net-Zero」)

>Near-term SBTについては「SBTの取り組み ~脱炭素経営の基本と始め方~」の記事でも詳しく解説しています。

 SBT認定の申請にかかる費用のまとめ

SBTiにSBT認定を申請する際にかかる費用を下の表にまとめました。一般的な大企業ではNear-termおよびNet-zeroの認定申請にかかる費用は共に9,500USDです。

しかし、FLAG企業、つまり森林や土地、農業に関わる企業については7,500USDと安く、一方で金融機関については14,500USDと高額になっています。

SMEs(中小企業)については認定手順が簡略化されているために1,000USDと非常に安く、中小企業に参加を促しています。

SBTiにおけるSMEsとは従業員数が500人未満であることが1つの条件ですが、500人未満でも金融機関や石油およびガス会社は除かれます。

SBTiに認定されるための要件

①SBTi要件のすべてを満たすことが必須(must)
https://sciencebasedtargets.org/resources/files/SBTi-criteria.pdf

下記の3つの基準に従うことが必須(must)

 ②GHGプロトコル企業基準
 https://ghgprotocol.org/corporate-standard
 +
 ③Scope2ガイダンス
 https://ghgprotocol.org/scope-2-guidance
 +
 ④企業バリューチェーン(Scope3)算定報告基準
 https://ghgprotocol.org/corporate-value-chain-scope-3-accounting-and-reporting-standard

※上記の他にSBTi要件への適合性を判断するための目標審査プロトコルもSBTが用意しています。
https://sciencebasedtargets.org/resources/files/Target-Validation-Protocol.pdf

コミットメントおよび大企業、SMEs(中小企業)のSBT申請手順

SBT認定の申請は業種や規模により異なっていますが、金融機関やFLAG以外の大企業は今回説明する手順を踏むことになります。
中小企業に関しては大企業よりも費用が安く、容易なルートが準備されていますのでこちらも合わせてご説明いたします。

(任意)コミットメントの申請手順

コミットメントはSBTiのホームページの登録フォームよりオンラインで登録を行った後、コミットメントレターを提出します。
コミットメントレターはpdfファイルで作られており、SBTiのWebサイトにある以下のURLからダウンロードできます。

>「SBT-Commitment-Letter.pdf」のダウンロードはこちらから

記入欄は少なく、宣言内容にチェックを入れると共に企業名、国名、日付を入力し署名をするだけです。
これをSBT事務局に提出すると「コミット」、つまり2年以内にSBTを設定し、認定を受けると宣言したことになります。

Near-Term SBT認定の申請手順

Near-Term SBT認定の申請書類は59ページのワードファイルで、構成は以下のとおり多岐に渡っています。このため、様々な情報を事前に準備しておく必要があります。

1.一般情報

1.1.     検証リクエスト
1.2.     一般情報

2.セクション名

2.1. 温室効果ガスのインベントリ一般質問
2.2. Scope1とScope2の質問
2.3. Scope3の質問
2.4. 除外事項
2.5. 森林、土地、農業(FLAG)の質問
2.6. バイオエネルギーの質問
2.7. 温室効果ガスのインベントリデータ

3.目標値情報

3.1. 提出された目標値

4.進捗報告

5.サポート文書

6.契約と費用請求情報

>「SBTi Target Submission Form」のダウンロードはこちらから

この申請書類を完成させて提出することになります。申請から認定までの手順は以下のとおりです。

  1. 温室効果ガスプロトコル(The Greenhouse Gas Protocol)や各種ガイドラインを参照してScope1から3までの排出量の計算を行います。
  2. 排出基準年および目標年を定め、排出削減計画を立ててNear-term SBTを定めます。
  3. 申請書類を完成させて提出すると共に費用を支払います。
  4. 審査が行われ、提出から30日以内に認定か拒絶かの回答があり、拒絶の場合は理由が書かれています。

ただし、FLAG企業や金融機関、石油およびガス会社は別途定められている手順に従う必要がありますので注意が必要です。

他にも再エネ電⼒証書やバーチャルPPAを利⽤しながら再エネ使用率を2025年までに85%、2030年までに100%となるように計画し、経済的原単位や物理的原単位の削減も行う必要がありますので、調査や申請書類の作成には高度な専門知識が必要になります。

Net-Zero SBT認定の申請手順

Net-Zero SBTはNear-Term SBTをさらに発展させて2050年のゼロエミッションを目指します。
このNet-Zero SBT認定取得のためにはNear-Term SBTが必要ですので、Net-Zero SBT 認定申請の前にNear-Term SBTを定める必要があります。

Net-Zero SBT 認定の申請手順は途中まではNear-Term SBT認定申請の流れと同じですが、Near-Term SBTを設定した後に長期的な削減目標値であるLong-Term SBTを設定する必要があります。
このため、Net-Zero SBT はNear-Term SBT認定を取得した後、もしくはNear-Term SBT認定と同時に申請することになります。

Long-Term SBTの目標年は一般的には2050年ですが、2050年よりも早くても構いません。
また、Long-term SBTのScope1と2に関してはサプライチェーン全体の排出量の95%、Scope3では90%が含まれている必要がありますので、サプライチェーンのほぼ全ての排出量を把握しなければなりません。

Long-term SBT が設定出来たらNet-Zero SBT認定の申請書類の作成を行います。
Net-Zero SBT認定の申請書類は34ページのワードファイルに加えて2つの専用のエクセルファイルなので、これらのファイルに排出量等の必要な情報を記載します。

Near-Term SBT申請書類と Net-Zero SBTの設定ガイダンスはSBTiのホームページに準備されています。

>「GETTING STARTED GUIDE FOR SCIENCEBASED TARGET SETTING」はこちらから

中小企業(SMEs)による申請手順

中小企業によるSBT認定申請は大企業に比べて簡素化されていますので、大企業に比べて申請をしやすくなっています。

しかし、サイトは全て英文で書かれており、申請書類も英語で作成しなければならず、初めて申請を行う場合はどうしていいか分からず戸惑うかもしれません。

このような申請に不安をお持ちの際は是非ともリバスタにお任せください。リバスタでは具体的な手順など丁寧にご説明し、失敗のないようにしっかりとサポートいたします。

中小企業によるSBT認定の申請サポートは申請経験の豊富なリバスタへ是非ともご相談ください。

まとめ

中小企業によるSBT認定を申請するためのガイダンス等の資料はSBTiにより数多く準備されています。
しかし、全て英語で書かれているので申請を行うためには英語で書かれた文章を理解すると共に、目標値設定のための専門知識が要求されます。

このため、申請に自信がない、とお考えの担当者様も多くおられます。そのような場合は是非ともリバスタへご相談ください。
集計方法から申請のサポート(英文含む)・認定取得後の対応まで責任を持って、御社のCO2排出量削減に貢献いたします。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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出典まとめ:

環境省「【参考②】SBT Net-Zero
SBTi「SBT-Commitment-Letter.pdf
SBTi「PowerPoint Presentation
SBTi「SBTi Target Submission Form
SBTi「SBTi-criteria.pdf
GHG Protocol「ghg-protocol-revised.pdf
SBTi「SBTi Target Validation Application for Small and Medium-Sized Enterprises (SMEs)
SBTi「Target-Validation-Application-Checklist-for-Small-and-Medium-Sized-Enterprises.pdf
SBTi 「SME-Terms and Conditions.docx

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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