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時計 2024/8/1 アップデート 2024/10/9

LCCO2とは?概要や具体的な取り組みについて解説

LCCO2とは

建築においても、CO2の削減に向けてさまざまな取り組みが実施されています。建設現場で使用される木材の選定や配送方法など、LCCO2に考慮することで環境に配慮した施行をすることができます。

建物のCO2に関しては、「LCCO2」と呼ばれる手法を通して、建築から廃棄までのCO2排出総量の算出と削減に向けた具体策の提案が進められているのはご存知でしょうか。

本記事ではLCCO2の基本や算出方法、メリット・デメリットなどを解説します。

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LCCO2とは何か?

LCCO2とは何か?

LCCO2は建築業界において、環境問題を考えるうえで重要な指標となっています。まずはLCCO2の基本を把握し、その特徴を理解する必要があります

以下では、LCCO2の概要について解説します。

「ライフサイクルCO2」の略称

LCCO2とは、「ライフサイクルCO2」の略称です。建築物の建築から廃棄までのライフサイクル全体を見渡し、CO2の総量を算出して年間排出量を評価します。

LCCO2は国際規格の「ISO14000シリーズ」を構成する規格であるため、重要度は高まっています。建築物はそのほかの製造物よりもライフサイクルが長く、それゆえにエネルギーの消費量やCO2の排出量が環境に大きな影響を与えると危惧されています。

そのため、LCCO2を参考に建物ごとのCO2排出量を計算し、総量を抑えるための施策の導入が求められています。LCCO2は「ライフサイクルアセスメント(LCA)」に含まれる評価手法の1つであり、そのほかの手法と組み合わせて利用されることも特徴です。

ライフサイクルアセスメント(LCA)について

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、製品のライフサイクルに関する要素を定量的に評価する手法を意味します。具体的には投入資源・環境負荷・生態系に対しての環境の影響などが基準となり、それぞれの面で評価を行います。

このライフサイクルアセスメント(LCA)は、LCCO2・LCE・LCCに分類できます。LCEとは「ライフサイクルエネルギー」のことを指し、消費エネルギーに関する数値を算出する方法です。一般的に消費エネルギーは建物を建設するときよりも、運用するときの方が多くなります

そのため、建物内で消費されるエネルギーも環境に大きく影響しています。そこでLCEを基準に消費エネルギーを考慮し、省エネを進めることが求められています。

LCCとは「ライフサイクルコスト」を意味し、建物などの製品に対して生涯を通して発生するコスト(費用)を指します。建物には、建築後も保全のための修繕や維持にコストがかかります。

そのため、建設費用だけでなく、その後の利用時に発生するコストまで考慮してプロジェクトを進めることが重要視されています。

このように自社の製品に対して、LCCO2だけでなくLCEとLCCも含めて検討することがあらゆる業界で必要となっています。

LCCO2を算出する方法

LCCO2を算出する方法

LCCO2の算出にはさまざまな方法があります。具体的な算出方法を理解できれば、スムーズに計画の立案に進めるでしょう。以下では、LCCO2を算出する方法をいくつか紹介します。

「建物のLCA指針」計算ツールを使用する

建物のLCA指針とは、日本建築学会のLCA指針策定小委員会によって作成されたものです。日本建築学会は1997年からLCA指針策定小委員会を設置し、その後1999年に建物のLCA指針を作成・公開しています。

建物のLCA指針にはLCCO2に関する評価について、さまざまな情報が記載されています。2013年2月に刊行された改訂版である2版には、以下の内容が含まれています。

  1. 改定中の建物のLCA指針に反映予定の重要内容
  2. 現状におけるLCAの活用状況と課題
  3. 直近の国内外のLCA文献レビュー
  4. 評価で活用可能なデータベース
  5. マルチクライテリアでの評価
  6. IDEA用評価ツール
  7. 評価で活用可能な参考文献リスト

上記の第4版の内容を参考に、LCCO2を算出することが可能です。また、LCA指針策定小委員会は建物のLCA指針の改訂版出版を検討しており、2024年3月には改定版の講習会を実施する予定です。

CASBEEの評価ツールを使用する

CASBEEとは、「建築環境総合性能評価システム」を指します。CASBEEは築物・街区・都市などにおける環境性能を、あらゆる視点から総合的に評価するためのツールです

2001年に国によって一般社団法人日本サステナブル建築協会のもとに設置された評価ツールであり、LCCO2の算出に活用できます。建設事業者や設計事務所などで使用されており、一部の地方公共団体では届出制度としての導入も進んでいます。

日本サステナブル建築協会はこのCASBEEの研究開発と同時に、評価員登録制度や評価認証制度の運営行っています。

また、海外向けの普及事業も促進しているため、今後CASBEEによる評価が海外で重要視される可能性もあります。CASBEEは自由に利用可能ですが、第三者に向けて正当性・透明性を重視した情報公開を実施する際には、第三者機関が審査をするCASBEE評価認証制度の利用が検討されるでしょう。

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専門家に相談する

LCCO2を算出する際には、専門家に依頼して総合的な判断を仰ぐのも1つの方法です。建築に関するコンサルティングやソリューションの開発・提供を行っている企業は、LCCO2に関する専門知識も豊富に保有しているケースがあります。

そこで建築に関する環境問題とLCCO2に関するノウハウについて、専門家相談します。建物のLCA指針やCASBEEを使う場合、算出は自ら行う必要がありますが、専門家に依頼すれば算出やその内容を踏まえた分析、具体的な施策の提案など期待できます

特に、初めてLCCO2の算出を行い、計画立案を行う場合はまず専門家に意見を求めると良いでしょう。

LCCO2の必要性とは

LCCO2の必要性とは

LCCO2は建築や製造を行う際に重要な指標として広まっています。今後はLCCO2に準じているかどうかが重要な情報となるでしょう。以下では、LCCO2の必要性について解説します。

CO2削減につながる

LCCO2を行うことでCO2排出削減につながるでしょう。なぜなら、LCCO2によってCO2の排出量を計算できれば、それに合わせて必要な対策を考えられからです。CO2削減対策を施すこと排出量予想を下回る数値に抑えることが期待されます

CO2の排出削減はあらゆる業界において欠かせないものとなっています。しかし、目指すべき指標がない状態では、そもそもどの程度のCO2が排出されるのか、それがどのようなデメリットにつながるのかさえ判断が難しくなります。

LCCO2はそのような曖昧な状態を看過しないための指標となりえるため、今後はより重要視されるでしょう

将来を見据えた建築の基準となる

LCCO2は将来的には建築の基準値としても必要になることが予想されます。各業界においてCO2の排出は大きな課題ですが、特に建築は建物のライフサイクルが長いため、長期間にわたってCO2排出量削減に取り組む必要があります

LCCO2はそういった将来のCO2排出量も考慮するため、未来に向けた対策の考案も可能となります。LCCO2を意識した取り組み未来のCO2削減につながるでしょう

LCCO2を意識した活動が企業の評価を高める

LCCO2を意識した活動は、企業評価を高めることにつながる可能性もあります。CO2の削減に向けた施策は、建物や製造品を購入する側にとっても重要な指標です。自分たちの未来を守るうえで、より環境に配慮した商品を優先することは、現代のスタンダードになりつつあります。

しかし、消費者からすると、何を基準にして環境に優しい製品を選べばいいのかわからないケースも多いです。そこでLCCO2を指標とし、明確な基準を消費者に提供することが必要とされています。

完成した建築物のアピールポイントになる

LCCO2による評価は、完成した建築物のアピールポイントとして活用できます。LCCO2による高い評価を受けていることは、環境にとっても利用する消費者にとってもよい影響を与えます。

特に、長期間の利用が予想される建築分野において、LCCO2の評価基準は有益な情報となるでしょう。

LCCO2のメリットとは?

LCCO2のメリットとは?

LCCO2を踏まえて行動・計画を進めることには、さまざまなメリットがあります。それは社会的な規模ではもちろん、企業単位でも多くのメリットにつながるでしょう。以下では、LCCO2の活用・理解における主なメリットを解説します。

LCCO2を軸に新技術の開発などに期待できる

LCCO2の評価基準や内容を軸にして、新技術の開発など期待できる点は大きなメリットです。CO2の削減および環境問題の解決には、まだまだ多くの課題があります。課題解決のためには現状の維持では不十分であり、最新技術を活用した新しいアプローチが求められています。

LCCO2はそういった新技術の開発と運用を進めるうえで、1つの指標として作用する可能性があります。環境問題の改善促進期待できる点は、LCCO2のメリットになるでしょう。

職場環境を見直すきっかけになる

LCCO2は、各企業の職場環境を見直すきっかけにもなります。LCCO2の基準で高い評価を得るためには、事業や職場環境の根本的な問題から改革する必要があるパターンも多いです。そのため、LCCO2の実施を通して、問題のある職場環境や無駄の多い作業プロセスを変えていける可能性があります。

それは結果的に業務効率化や生産性の向上につながり、企業の利益を高めることにもなります。

国際規格を考慮していることをステークホルダーに評価される

LCCO2は国際規格の1つであるため、規格に適合しているとステークホルダーから高く評価されるきっかけになります。環境問題への対応を重視している投資家にとっては、LCCO2の評価が判断材料の1つになり得るでしょう。

また、消費者にもLCCO2の基準についてアピールできるため、競合他社と差別化して自社を選んでもらう理由をつくれます。

より将来的に価値のある建築物の構築につながる

LCCO2の基準を考慮した活動は、将来的に価値のある建築物の構築にもつながります。仮にCO2の排出量やエネルギー消費を意識せずに建築物を建設すると、将来その建物が問題視される可能性があるからです

改修だけでなく、最悪の場合立て直しといった問題解決が迫られるケースも想定されるでしょう。そのため、建設を始める前からLCCO2を基準にして、将来的にも通用する建物の構築を進めることにメリットがあります。

企業と従業員の意識を変えられる

LCCO2は企業と従業員の意識を変えるきっかけにもなり得ます。LCCO2について理解を深めることで、事業におけるCO2問題への意識が高まります。

従業員一人ひとりが環境問題を意識しながら仕事ができるようになれば、よりスムーズにLCCO2の基準を満たした建設が可能となるでしょう。

LCCO2のデメリット・注意点とは

LCCO2のデメリット・注意点とは

LCCO2を理解して実践に移行する際には、デメリットや注意点も考慮する必要があります。LCCO2における具体的なデメリットや注意点を、以下で解説します。

LCCO2に関する専門知識が求められる

LCCO2に関する行動を起こす際には、専門知識が求められます。社内にLCCO2や環境問題に関するエキスパートがいない場合、改めて専門知識を学ぶ機会が必要になるでしょう。その場合、LCCO2および関連する作業を実践するのに時間がかかるため、現在の事業に支障が出る可能性もあります。

計画的な環境整備が必要

LCCO2を基準にしたCO2問題への対処には、計画的な対応が必要となります。社内の環境整備や意識改革などは、無理に行うと従業員からの反発を招く可能性があります。そのためある程度の時間をかけて、計画的に少しずつ問題を解消していくことが望ましいでしょう。

業務内容の大幅な見直しが必要になることも

LCCO2の基準と現在の社内状況によっては、業務内容の大幅な見直しが迫られる可能性もあります。業務内容・プロセスがCO2の排出量の増加を手伝っている場合、根本的な部分から見直しをかけることも検討されるでしょう。その場合、新しい設備の導入などによって、コストが発生する可能性もあります。

どの程度の予算を使えるのか計画したうえで、最適な環境の構築を目指すのもポイントです。

社内だけで対応しきれない可能性もある

LCCO2の評価基準を活用した行動は、社内だけで対応しきれないケースも多いです。専門知識の不足、具体的なアクションを策定する難しさなどが影響して、なかなか成果に結びつかないことも珍しくありません。そのためLCCO2の評価を高める際には、専門家の意見や知識を積極的に取り入れることが重要です。

まとめ

LCCO2は建築物の製造に関するライフサイクル全体を見渡し、CO2の総量を算出する手法です。年間排出量を評価することで、事前に最適な対応が可能となるでしょう。そのため建設業はLCCO2への理解を深めて、積極的に指標を活用していくことが重要となります。

将来的にLCCO2の評価価値が高まることも予想されるため、この機会に詳細を確認しておくのがおすすめです。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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