基礎情報
2024/10/21 2024/11/6
企業価値の向上につながる!脱炭素コンサルティング企業の役割とは?
近年、気候変動への対策として、脱炭素への取り組みが企業にとって近々の課題となっています。
しかし、何をどうすれば良いのかわからず、具体的な行動に移せていないケースが多く見られるのが現状です。
一方、積極的に脱炭素に取り組んでいるところもあり、大きな差が生じつつあります。
内閣府が2022年3月に行ったアンケート調査によると、CO2排出量の削減に着手した上場企業は43.2%であるのに対し、非上場企業は75.1%が脱炭素に向けた取り組みに全く着手できていません。
出典:内閣府-我が国企業の脱炭素化に向けた取組状況 ―アンケート調査の分析結果の概要―
さらに、銀行各社も脱炭素を推進する企業への融資に力を入れており、資金調達面での支援も充実しています。
そんな中、脱炭素への第一歩を踏み出すために重要な役割を果たすのが、脱炭素コンサルティング企業です。
コンサルティング企業に所属するコンサルタントは、専門知識と経験に基づいて、企業の脱炭素に向けた具体的な計画策定や実行支援を行います。
この記事では、脱炭素コンサルティング企業の役割と影響について詳細に解説いたしますので、脱炭素への第一歩を踏み出すためのガイドとしてお役立てください。
脱炭素コンサルティングの定義
脱炭素コンサルティングとは、企業の温室効果ガス排出量削減に向けた活動を支援するコンサルティングサービスです。
具体的には、以下の業務を行います。
- 現状分析:企業のエネルギー使用量や温室効果ガス排出量を分析し、課題を特定する
- 目標設定:企業の経営戦略や環境負荷低減目標に基づいた、温室効果ガス排出量削減目標の設定
- 施策立案:目標達成に向けた具体的な施策の立案
- 実行支援:施策の実行を支援
- 効果測定:施策の効果を測定し、必要に応じて改善を行う
脱炭素コンサルティングは、専門知識と経験を持つコンサルタントが担当することで、以下の効果が期待できます。
- 適切な施策を立案・実行することで、効率的に排出量を削減できる。
- エネルギー使用量の削減や再生可能エネルギーの導入など、コスト削減につながる施策を提案できる
- 温室効果ガス排出量に関する法令や規制を遵守するためのサポートを提供できる
- 脱炭素への取り組みは、企業の社会的責任 (CSR) の観点からも評価され、企業価値の向上につながる
近年、脱炭素への取り組みが重要視されており、脱炭素コンサルティングの需要は急速に高まっています。
このため、企業が脱炭素を成功させるためには、脱炭素コンサルティングの活用が有効です。
代表的な脱炭素コンサルティング企業5選
ここでは、脱炭素を成功に導く、代表的な脱炭素コンサルティング企業5社をご紹介します。
企業名 | サービス名 | サービス概要 |
デロイトトーマツグループ | GHG排出量可視化・削減支援サービス |
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アクセンチュア株式会社 | サステナビリティサービス |
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EYジャパン | カーボンニュートラルに向けた投資促進税制等適用支援サービス |
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KPMGジャパン | 脱炭素化に向けたカーボンマネジメント構築支援 |
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株式会社三菱総合研究所 | GX(グリーントランスフォーメーション)を実現するための事業変革を支援 |
|
※各社のWebサイト・リリースより引用ご紹介にてご紹介しています。
脱炭素の取り組みによる企業価値の向上
近年、企業にとって脱炭素は、環境問題対策だけでなく、企業価値向上の重要な要素となっています。
ここでは、脱炭素が企業にもたらすメリットについて詳しく解説します。
1. 投資家・顧客からの評価向上
近年、投資家や顧客は、企業の環境・社会・ガバナンス (ESG) 経営を重視するようになっています。
ESG 経営において、脱炭素は重要な評価項目の1つです。
積極的に脱炭素に取り組む企業は、投資家や顧客から高く評価され、資金調達や顧客獲得に有利になります。
2. 従業員満足度・エンゲージメント向上
脱炭素への取り組みは、従業員の環境意識を高め、仕事への誇りや満足度を向上させる効果があります。
また、社会貢献に積極的に取り組む企業は、優秀な人材の獲得・定着にも有利になります。
3. イノベーション創出
脱炭素に向けた取り組みは、新たなビジネスチャンスやイノベーション創出のきっかけとなります。
例えば、省エネ技術や再生可能エネルギー技術の開発は、新たな市場や事業を生み出す可能性があります。
4. ブランドイメージの向上
脱炭素への取り組みは、企業の社会的責任 (CSR) の観点からも評価され、企業イメージの向上につながります。
環境問題に関心を持つ消費者にとって、脱炭素に取り組む企業は魅力的に映ります。
経済的なメリット
脱炭素は、環境負荷を低減するだけでなく、企業にとって多くの経済的なメリットをもたらします。
脱炭素経営は、単なるコスト削減策ではなく、企業のバリューチェーン全体におけるサステナビリティを強化する戦略です。
省エネ投資による初期費用は発生しますが、長期的な視点で見れば、エネルギーコストの低減と新たな収益源の創出によるROI(投資収益率)の向上が見込めます。
また、サプライチェーン全体の脱炭素を推進することで、サプライヤーとの関係強化にも繋がり、事業リスクの低減にも貢献します。
1. エネルギーコストの削減
脱炭素には、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用などが有効です。
省エネ設備を導入することで、エネルギー消費量を削減し、CO2排出量を低減できます。
例えば、LED照明の導入や高効率空調設備の導入などが挙げられます。
再生可能エネルギーは、太陽光発電、風力発電、水力発電など、自然エネルギーを利用した発電方法です。
これらの取り組みは、国や自治体からも積極的に推進されています。
国土交通省では「平成28年度版建築物省エネ基準」を策定し、省エネ設備の導入を促進しています。
脱炭素社会の実現には、省エネ設備の導入と再生可能エネルギーの利用が不可欠です。
これらの取り組みは、地球環境の保護だけでなく、経済的なメリットや地域社会の発展にもつながるという点で、非常に意義深いものです。
2. リスク管理・コスト削減
近年、異常気象や資源価格の高騰など、気候変動によるリスクが顕在化しています。
脱炭素を進めることで、これらのリスクを低減し、事業の安定性を高めることができます。
また、エネルギー使用量の削減や再生可能エネルギーの導入など、脱炭素につながる取り組みは、長期的なコスト削減にも貢献します。
3. 融資や補助金の優遇
近年、多くの金融機関や自治体が、脱炭素に取り組む企業に対して、融資や補助金の優遇措置を設けています。
これらの制度を活用することで、資金調達を有利に進めることができ、投資コストを抑えることができます。
4. 新規事業の創出
脱炭素は、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性があります。
例えば、省エネ技術や再生可能エネルギー関連の事業など、脱炭素に関連する新たな市場が拡大しており、これらの分野への参入によって、新たな収益源を確保できます。
具体的な事業例として、以下のものが挙げられます。
- 大型で高効率なコージェネレーションシステムの導入
- グループ会社全体での一体的なエネルギー管理
- データ取得およびネットワーク接続が可能な射出成型機を活用した生産効率化の取組
- シミュレーション技術を活用した開発プロセスの省エネ
- バーチャルパワープラントの構築
- 水素エネルギー利用の意義と水素社会の実現に向けた取組
出典:資源エネルギー庁「平成28年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2017)」
5. 顧客満足度の向上
消費者は環境問題に関心が高まっており、環境に配慮した商品やサービスを求める傾向が見られつつあります。
脱炭素に取り組むことで、企業は環境への取り組みをアピールすることができ、顧客満足度向上や企業イメージの向上につながります。
その理由は、環境問題に関心を持つ顧客は、企業の社会的責任として環境への取り組みを評価し、製品やサービスを選ぶ傾向にあるからです。
環境に配慮した製品やサービスは、顧客に安心感や満足感を与えられるでしょう。
6. 長期的な成長に向けた基盤づくり
脱炭素は、企業の長期的な成長に向けた基盤づくりにもなります。
地球温暖化対策は今後もますます重要になっていくことが予想されており、脱炭素に取り組む企業は、多くの経済的なメリットが得られると共に将来の競争力を強化することができます。
短期的にはコストがかかる場合もありますが、中長期的な視点で取り組むことで、大きな利益を得られる可能性があります。
まとめ 脱炭素コンサルティングは多種多様、選び方の考察
脱炭素コンサルティングは多種多様です。
脱炭素コンサルティング会社を選ぶ際には、以下の6つのポイントを参考にしましょう。
- 自社の課題とニーズを明確にする
- コンサルティング会社の強みや実績を確認する
- 料金体系を確認する
- 複数の会社から見積もりを取る
- 長期的な視点で検討する
- 信頼できる会社を選ぶ
その他、コンサルタントとの相性、アフターフォローの充実度、情報セキュリティ対策なども考慮することが重要です。
自社に最適なコンサルティング会社を選ぶことで、効率的に排出量を削減し、経済的なメリットが得られることが見込まれます。
引用・出典まとめ
・内閣府-我が国企業の脱炭素化に向けた取組状況 ―アンケート調査の分析結果の概要―
・デロイトトーマツグループ「GHG排出量可視化・削減支援サービス」
・アクセンチュア株式会社「サステナビリティサービス」
・EYジャパン「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制等適用支援サービス」
・KPMGジャパン「脱炭素化に向けたカーボンマネジメント構築支援」
・株式会社三菱総合研究所「GXを実現するための事業変革を支援」
建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。
この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
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