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クリーンエネルギーとは?種類やデメリット、取り組み事例について解説

クリーンエネルギー

地球温暖化対策の1つとして、クリーンエネルギーの利用が挙げられます。このクリーンエネルギーは脱炭素社会の実現に向けて、非常に重要な役割を持っています。

そこで本記事では、クリーンエネルギーの種類やメリット・デメリットを詳しく解説します。国や企業の取り組み事例も紹介するので、各企業の環境関係の担当者の方はぜひ参考にしてください。

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クリーンエネルギーとは?

クリーンエネルギーは、温室効果ガスの排出を抑えたエネルギーで、主に太陽光や風力などの再生可能な自然エネルギーから作られます。地球温暖化の主要因である化石燃料の使用への懸念が高まる中、クリーンエネルギーはその代替手段として注目を集めています。

自然から得られるエネルギーを利用するため、資源の枯渇を心配する必要がないことが大きな特徴です。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、クリーンエネルギーの普及は不可欠とされています。特に天然資源の乏しい日本にとって、持続可能なエネルギー源として、今後ますます重要な役割を果たすと考えられています。

クリーンエネルギーの種類

クリーンエネルギー

前の項ではクリーンエネルギーについて解説しました。クリーンエネルギーには、いくつかの種類があります。ここでは、代表的なクリーンエネルギーを5つ紹介します。

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • バイオマス発電

太陽光発電

太陽光発電は、太陽の光を利用して発電する方法です。太陽光が太陽光パネル表面設置されている太陽電池に当たると太陽電池内で電位差が発生する仕組みを利用して、太陽光を電気に変換します。太陽光発電の発電効率は20%程度です。家の屋根に太陽光パネルを設置するだけで発電できるため、一般家庭でも取り入れやすいクリーンエネルギーです。しかし、日照時しか発電できない、発電量が天候に左右されるというデメリットに注意する必要があります。

風力発電

風力発電は、風の力を利用して発電する方法です。風の力によって回る風車の回転運動が、発電機に伝わることで、運動エネルギーを電気に変換します。風力発電の発電効率は約40%です。風の強い地域や海上で利用されることが多く、風を受ける羽根の部分は、風速や風向に合わせて自動で傾きや向きが調整されるため効率良く発電行えます。

しかし太陽光発電同様、天候に発電量が左右されるというデメリットがあります。さらに、風力発電は大規模な設備のため、周辺の景観や騒音問題によって設置場所が限られるという点もデメリットです。

水力発電

水力発電は、水が流れる力を利用して発電する方法です。ダムや河川の高い場所に溜まった水が低い場所へ落ちるときに生じる力で、水車を回転させて電気を作ります。

水力発電は水資源が豊富な日本において、発電効率は80%と高く、供給量の安定した発電方法です。しかし新たなダムの建設は容易ではなく、ダムの建設によって生じる環境破壊のリスクが懸念されています。

地熱発電

地熱発電は、地球内部の熱を利用して発電する方法です。地球の内部には、マグマによって熱せられた地下水などが溜まる地熱貯留槽という層があります。地熱発電は、その地熱貯留槽に向かって井戸を掘り、熱した地下水から発する蒸気でタービンを回転させて、電気を作ります。

日本国内にある地熱資源を利用できるため枯渇する心配もなく、エネルギー安全保障の強化も期待できる発電方法です。しかし、発電には大規模な設備工事や研究・開発が必要となり、コスト面でのデメリットが大きくなっています。また、地熱発電の発電効率は8%程度です。

バイオマス発電

バイオマス発電は、バイオマス(再生可能な生物資源)を利用して発電する方法です。バイオマスの燃焼熱により発生させた蒸気でタービンを回転させて、電気を作ります。バイオマス発電で使用される原料は、可燃ごみや木材、廃食油、生ごみなど様々です。

燃焼によってエネルギーを発電する点において、バイオマス発電は火力発電と変わりません。しかし、原料となる動物や植物といった有機物は、成長する過程でCO2を吸収します。これにより、燃焼で排出されたCO2の排出量と相殺できる仕組みとなっています。

またバイオマス発電には、本来廃棄されるはずだったごみなどをエネルギー源に変えられるという大きなメリットがあります。しかし、化石燃料の火力発電の発電効率が40%前後であることと比較して、バイオマス発電の発電効率は約20%と低く、原料調達の不安定さなどから、国内での普及は進んでいないのが現状です。

クリーンエネルギーのメリット

クリーンエネルギー

ここでは、さらに詳しくクリーンエネルギーのメリットを解説します。

  • CO2の排出量を抑えることができる
  • 災害時の対策につながる

CO2の排出量を抑えることができる

クリーンエネルギーのもっとも大きなメリットが、CO2の排出量を抑えられる点です。現在、世界的に大問題となっている地球温暖化の主な原因であるCO2の増加を抑制するためには、まず排出量を減らし、最終的にはゼロにしなければなりません。

そこで大きな役割を果たすのが、クリーンエネルギーです。クリーンエネルギーの普及によって、CO2の排出源である化石燃料の使用を減らすことができるため、結果的に地球温暖化の抑制につながります。

災害時の対策につながる

クリーンエネルギーは、災害時の対策にも効果的です。従来の化石燃料を原料とするエネルギーは、火力発電所など大規模な施設でなければ、発電できません。しかし、クリーンエネルギーは、太陽光パネルなど一般家庭にも設置できる設備でも発電可能です。そのため、災害時に発電所が稼働停止した場合でも、電力を得ることができます。

安全保障につながる 

日本のエネルギー自給率は2021年度時点で13.3%・全体の37位と、他のOECD諸国と比較して低い水準にあります。

クリーンエネルギー

引用:2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)|資源エネルギー庁

つまり、生活の基盤となるエネルギーを作り出す資源のほとんどを、海外からの輸入に依存しているということです。海外に依存していると国際情勢によっては、エネルギーを安定的に確保することが難しくなり、私たちの生活にも大きな影響を与えます。そのため、自国での生産が可能な資源であるクリーンエネルギーの普及を進めることで安全保障にもつながります。

クリーンエネルギーのデメリットと課題

前の項では、クリーンエネルギーのメリットを解説しました。クリーンエネルギーにはデメリットも存在します。ここでは、クリーンエネルギーのデメリットや課題について解説します。

  • 発電コストが高い
  • 発電量が安定しない

発電コストが高い

クリーンエネルギーは、従来の化石燃料を原料とするエネルギーよりも、発電コストが高い傾向にあります。以下の表は、経済産業省資源エネルギー庁が発表した、電源別発電コストの試算結果です。風力や太陽光といったクリーンエネルギーの発電コストが、石炭や火力など化石燃料のエネルギー発電コストよりも高いことがわかります。

クリーンエネルギー

引用:発電コスト検証について/経済産業省 資源エネルギー庁

徐々にコストは下がってきていますが、設備投資などの初期投資にコストがかかるため、企業でも気軽に導入することが難しくなっています。また、化石燃料での発電に比べて、発電効率が悪いという点が改善されなければ、クリーンエネルギーの普及はまだまだ進まないと予想されています。

発電量が安定しない

クリーンエネルギーのデメリットの1つが、発電量が安定しないことです。前述した通り、クリーンエネルギーの原料は、太陽光や風力など再生可能エネルギーとなっています。これは、「枯渇リスがない」「エネルギー自給率の向上」などのメリットとなる一方で、発電量が天候などに左右されやすく、夜や風の弱い日には発電量が低下します。

そのため、エネルギーストレージ技術やバックアッププランの必要性もあげられています。

クリーンエネルギーの国の取り組み

ここまでで、クリーンエネルギーの概要について詳しく解説しました。次に、クリーンエネルギーへの国の取り組みを2つ紹介します。

  • 固定価格買取(FIT)制度の制定
  • クリーンエネルギー戦略

固定価格買取制度(FIT制度)の制定

2012年に再生可能エネルギーの普及を目的とした、固定価格買取制度(FIT制度)が始まりました。固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度です。

これによって、導入コストの高い再生可能エネルギーの導入を後押ししています。電力を買い取る費用の一部は消費者の電気代に上乗せされ、買い取った電力は通常の電気として供給されます。

クリーンエネルギー戦略

現在、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、企業や国民一人ひとりが取り組むべき具体的な筋道を示す、「クリーンエネルギー戦略」の議論が進められています。2020年に政府が「2050年までにカーボンニュートラルを目指す」ことを宣言して以来、「グリーン成長戦略」や「エネルギー基本計画」「地球温暖化対策計画」などの策定によって、取り組みを進めてきました。

計画は具体的な政策は示されておらず、具体的な政策に関しては「クリーンエネルギー戦略」で議論がなされています。クリーンエネルギー戦略は、以下の図のようにこれまで策定した計画を軸に、長期的な取り組みによる経済社会システム全体の脱炭素社会の実現を目指しています。

クリーンエネルギー

引用:クリーンエネルギー戦略 中間整理/経済産業省 産業技術環境局・資源エネルギー庁

クリーンエネルギーの企業の取り組み

前の項で、クリーンエネルギーの国の取り組みを紹介しました。次に、クリーンエネルギーの建設業の取り組みを2つ紹介します。温室効果ガスの排出量削減が求められる中、建設業では建物の建設時や使用時に大量のCO2を排出しています。そのため、脱炭素社会の実現を進めるにあたり、建設業の取り組みは必要となってきます

株式会社大林組

大林組は、創業以来、時代や産業、そして、人々の生活基盤などがめまぐるしく変化する世の中において、建設事業の分野で社会の基盤づくりを担ってきました。

大地を切り拓き、道路をつくり、橋をつくり、建築物や構造物をつくる。

それによって、産業、文化、経済が活性化し、人々の生活水準が向上し、豊かで住みよい社会が築かれてきました。

大林組の歴史は、まさに、そうした時代の要請に真摯に向き合い、応えてきた歴史そのものといえます。

しかし、社会全体が産業の発展や経済の成長、文化的な生活を手に入れた一方で、現在、地球温暖化をはじめ持続的発展を阻害する新たな社会問題が浮かび上がってきました。

そこで、2011年、大林組は2050年を目標とする「低炭素・循環・自然共生」社会の実現に向けた中長期環境ビジョン「Obayashi Green Vision 2050」を策定し、グリーンエネルギー事業の推進など環境に配慮した社会づくりに取り組んできました。さらに2019年にはこれを発展させ、「地球」「社会」「人」の調和によるサステナビリティと大林グループのサステナビリティを同時に追求することを「 Obayashi Sustainability Vision 2050 」で宣言し、目標達成に向けて各事業を展開しています。

引用:大林組がめざすこと/株式会社大林組

東急建設株式会社

東急建設は、国際イニシアチブであるRE100へ加盟しており、2030年までに建設現場を含めた全ての事業用電力を100%再生可能エネルギーに転換することを目標に掲げています※2。東急建設では、この再エネ化を、追加性のある再生可能エネルギー導入によって進めるために、クリーンエナジーコネクトと協業しながらバーチャルPPAサービスを活用して実現する計画です。

 今回手始めとして、東急建設の建設現場向けにクリーンエナジーコネクトが、2023年3月までに日本国内で計4MW-DC(45カ所)の東急建設専用のNon-FIT低圧太陽光発電所を開発し、発電した電力を卸電力取引市場へ売却、電力の環境価値についてクリーンエナジーコネクトから東急建設へ長期(20年間)にわたって提供するバーチャルPPAサービスのスキームを活用します。バーチャルPPAサービスのスキームを活用した建設現場への再生可能エネルギー導入としては、国内の建設業界で初めての取り組みとなります。

※1 追加性:企業の選択した調達方法が再生可能エネルギーへの投資を促進し、化石燃料の代替に繋がっていることを表すもので、再生可能エネルギーの調達に積極的な企業の中で、重要視されています。

※2 「RE100」へ加盟、2030 年までに使用電力 100%再エネ化 (2021年3月31日リリース_東急建設)

本計画が実現すれば、年間約440万kWh分の電力の環境価値が、追加性のある再生可能エネルギーによって生み出されることとなり、これによりおよそ1,900t-CO2の二酸化炭素の削減に貢献することとなります。これは東急建設の建設現場における電力使用に伴う年間二酸化炭素排出量のうち、約20%に値するものです。

 東急建設はこれを機に、長期経営計画”To zero、 from zero.”で提供価値の一つに掲げる「脱炭素」の早期実現に向け、再生可能エネルギー電力の転換を加速させてまいります。

 クリーンエナジーコネクトは、脱炭素経営企業・RE100参加企業等のお客様にとって最適なグリーン電力の導入計画の立案から実行支援、そして導入後の効果検証および目標達成までのグリーン電力ソリューションをスピーディーかつ柔軟に、ワンストップで提供します。Non-FIT太陽光発電に加え、今後は蓄電池や風力発電、EMS等を組み合わせることにより、24時間365日での再生可能エネルギー利用率向上を進めるなど最先端のグリーン電力・脱炭素ソリューションを開発・提供していく計画です。今後も、お客様と共にグリーン電力の普及・拡大に向けた取り組みを一層加速させ、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

引用:国内初となる 建設現場を対象としたバーチャルPPAサービス契約を締結/東急建設株式会社

クリーンエネルギーは一般家庭でも使える 

クリーンエネルギー

ここまでで紹介したのは国や企業の取り組みですが、一般家庭でもクリーンエネルギーを活用できます。一般家庭でも取り入れやすいクリーンエネルギーの1つが、太陽光エネルギーによる電気です。太陽光パネルを屋根に設置することで、自宅で使用する電力の一部をクリーンエネルギーに変えることができます

また、太陽光パネルで発電した電力は、一般家庭であっても前述した固定価格買取制度(FIT制度)によって、電力会社に買い取ってもらうことが可能です。他にも一般家庭でクリーンエネルギーを使用するもう1つの方法として、電力会社の切り替えがあります。

クリーンエネルギーで発電した電気を供給する電力会社に切り替えることで、一般家庭でも温室効果ガス排出量削減の取り組みに参加できます。電力会社を切り替えても、配電方法は従来のままのため、設備の交換や設置も必要ありません。

電力会社によって、供給電力全体におけるクリーンエネルギー由来の電気が占める割合は異なります。また、料金が大きく変わることもあるため、電力会社の公式サイトなどで確認して、納得できる会社を選びましょう。

まとめ

本記事では、クリーンエネルギーについて詳しく解説しました。クリーンエネルギーは温室効果ガスを排出しない、もしくは排出量を抑えて作られたエネルギーです。2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、環境への影響が少ないクリーンエネルギーの開発・普及は必要不可欠となります。

国や企業は、さまざまな形でクリーンエネルギーへの取り組みを推進しています。しかし、従来使用されてきた化石燃料由来のエネルギーよりも発電コストがかかる・供給が不安定などといった理由から、まだまだ普及は進んでいません。

太陽光パネルの導入や、電力会社の切り替えなど、一般家庭でも参加できるクリーンエネルギーへの取り組みはあります。世界規模で考えると小さい事かもしれませんが、一人ひとりが意識することで現状を改善していきましょう。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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