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2024/6/26 2024/10/21
SDGsに関する補助金まとめ|申請時のポイントや注意点も合わせて解説
SDGsは世界規模の基準として、よりよい社会の実現を目指すための方法として浸透しています。国や自治体はもちろん、個人や企業もSDGsに関心を持ち、生活・事業の範囲でできることを見つけていく必要があります。しかし、SDGsに関する本格的な活動を行うにはコストがかかります。
そこでおすすめなのが、SDGsに関する補助金を使う方法です。本記事では、SDGsにおける補助金の詳細や利用時のポイントを解説します。
そもそもSDGsとは?
SDGsに関する補助金を使うには、そもそも「SDGsとは何か?」という基本から理解を深める必要があります。SDGsが何かわからないと、具体的に何をすべきなのか、そのためにどんな補助金が利用できるのかが判断できません。以下では、SDGsの基本について解説します。
SDGsとは「持続可能でよりよい社会の実現」を目指すこと
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」を意味する言葉です。具体的には「持続可能でよりよい社会の実現」を目指すことが、SDGsの基本的な概念となります。
SDGsは2015年に国連総会で採択された施策であり、発展途上国と先進国自身がそれぞれ取り組むユニバーサルな行動規範として認識されています。詳細は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されていて、2030年までに持続可能でよりよい社会の実現を目指すことが掲げられています。
SDGsにおける「17のゴール」について
SDGsには、17のゴールと169のターゲットが設定されています。これらを軸にして「誰一人取り残さない(leave no one behind)」という気持ちを軸にして、さまざまな施策を実行しています。17のゴールは特にSDGsを理解するうえで、重要な情報となるでしょう。具体的には、以下のゴールがSDGsの基本となっています。
- 貧困を無くそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
- 経済成長と雇用
- 産業と技術革新の基盤を作ろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 緑の豊かさを守ろう
- 平和と公正を全ての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
環境問題から人権問題まで、さまざまな要素をゴールに設定しているのが特徴です。これらのゴールを達成し、さらに持続して守り抜いていくことが、SDGsの基本として考えられます。
SDGsの実現はすべての企業にとって重要
SDGsの主体は国だけでなく、自治体・企業・個人がそれぞれの立場から、SDGsについて考えて行動することが求められています。特に企業はSDGsに関する具体的な行動や計画が、ステークホルダーから要求される立場にあります。
SDGsについて真剣に学び、自社ができる最適な行動に移ることが、今後の企業活動には欠かせないものとなるでしょう。
SDGsを推進するにはコストがかかる?
SDGsに関する行動・計画は重要ですが、実際に推進する際にはコスト面が問題になる場合があります。行動したい気持ちがあっても、予算が無いと実行できません。以下では、SDGsに関するコスト問題について解説します。
SDGs推進には環境設備などが必要
SDGsを推進して環境問題などへの対策を行うには、多くのコストがかかります。例えば従来の事業プロセスを見直して、新しい技術や設備を導入する際には、莫大なコストがかかります。従業員を新たに雇用するなど、さらなる出費が重なる可能性もあるため、体力のない企業はSDGsに関する具体的な行動が難しくなるでしょう。
単純な行動にもコストがかかる
SDGsは単純な施策の実施にもコストがかかります。例えば「SDGsにつながる事業を考案する」「従業員にSDGsの重要性を伝える」といった基本的な行動にも、時間と予算が必要です。SDGsにつながる事業を考えるために人を集める場合、その間本来の事業が進められません。
また、SDGsの勉強会やセミナーを開催すると、そのためのコストが発生します。このようにSDGsに関連した取り組みにコストがかかってしまう点が、企業のSDGs活動を難しくしている要因です。
SDGsを推進する製品やサービスの開発にもコストがかかる
SDGsを推進する製品やサービスの開発は、現代社会において重要な施策となります。多くの企業が活用できるテクノロジーやシステムが生まれれば、それを軸にSDGsをさらに進められる可能性が高まります。しかし、当然ながら新製品やサービスの開発にはコストが必要です。
SDGsという目的達成のために多くのコストをかけられる企業は、決して多くありません。そのためコスト面が壁となって、関連する製品やサービスの発展が遅れる可能性も懸念されます。
SDGsの推進には中長期的な目標が必要
SDGsの推進には、中長期的な目標が必要となります。そのためランニングコストがかかり、少しずつ企業を圧迫する可能性もあるでしょう。一時的な施策だけで終了してしまうと、SDGsの目標達成はできません。そのため基本的には年単位で計画を立てて、具体的な行動に移ることが求められています。
SDGsに関する補助金まとめ
SDGsのコスト問題を解決するには、補助金の活用がおすすめです。国や自治体はSDGsに関する事業や行動を起こす企業に対して、積極的に金銭的な補助を実施しています。上手く補助金制度を活用できれば、コスト問題を解決できるでしょう。以下では、SDGsに関する補助金をいくつか紹介します。
地域脱炭素移行・再エネ推進交付金
「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」とは、意欲的な脱炭素の取組を行う地方公共団体などを支援する補助金制度です。民間と共同で意欲的に脱炭素に取り組む地方公共団体が対象となり、地域の脱炭素への移行を推進するための交付金が支給されます。複数年度にわたって、継続的かつ包括的に支援する点が特徴です。脱炭素はSDGsの「13.気候変動に具体的な対策を」に通じます。
具体的には、「脱炭素先行地域づくり事業への支援」「重点対策加速化事業への支援」といった事業内容が、支援対象になっています。
事業再構築補助金
「事業再構築補助金」とは、事業再構築に意欲のある企業を支援する制度です。元々は新型コロナウイルスによって停滞した経済の活性化を目的に、新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換・事業再編という手段を取る企業をサポートする制度でした。
現在も基本は変わっていませんが、対象のなかに「低炭素技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか」という審査項目が含まれています。SDGsの「13.気候変動に具体的な対策を」に通じる事業も対象であると判断できます。
地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業
「地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業」とは、2050年脱炭素社会の実現に向けて、具体的な施策を考案している企業などを対象とした補助金です。「地球温暖化対策計画」等に基づいていることから、SDGsの「13.気候変動に具体的な対策を」に通じます。具体的には、以下の事業内容が対象として想定されています。
・地域の再エネ目標と意欲的な脱炭素の取組の検討による計画策定支援
・公共施設等への太陽光発電設備等の導入調査支援
・官民連携で行う地域再エネ事業の実施・運営体制構築及び事業の多角化支援
・再エネ促進区域の設定等に向けたゾーニング支援
・再エネ促進区域等における地域共生型再エネ設備導入調査支援
そのため、再エネの最大限導入するための調査や、取組みに向けた支援をおこなってくれます。
参照:地域脱炭素実現に向けた再エネの最大限導入のための計画づくり支援事業|環境省
業務用建築物の脱炭素改修加速化事業
「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」とは、建築分野で2050年に達成すべきCO2削減ポテンシャルを持つスペックを、既存建築物に導入する際の補助金です。脱炭素はSDGsの「13.気候変動に具体的な対策を」に通じます。例えば外皮の高断熱化や高効率空調機器などの導入を通して、快適性の上昇とともに温室効果ガスの削減などを進める施策を支援します。
改修後には外皮性能BPIが1.0以下、一次エネルギーの消費量が省エネルギーの基準から用途に応じて30〜40%程度削減されていることが要件となります。
建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業
「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」とは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、まず2030年度の温室効果ガス46%減を達成するための建築物からのアプローチを支援する補助金制度です。具体的にはZEB化・省CO2改修の普及拡大をきっかけに、脱炭素を進めることが目標となります。ZEB化は、消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物であるため、SDGsの「7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に通じます。
将来を考慮して外部環境変化への適応強化や建物の付加価値を向上させ、快適で健康な社会の実現を目指します。
SDGsの補助金を活用するポイント・注意点
SDGsに関する補助金を活用する際には、いくつかのポイント・注意点があります。事前に具体的なポイントを把握して、スムーズに対策を取れるように備えることが重要です。以下では、SDGsの補助金を活用する際のポイントと注意点を解説します。
国や自治体の情報をこまめに確認する
SDGsに関連した補助金を使う際には、国や自治体の情報をこまめに確認するのがコツです。補助金制度の内容は、毎年変更される可能性があります。昨年と同じままとは限らないため、申請前に改めて詳細を確認しておくことが大切です。
補助金によっては廃止になっているケースもあるため、早めに確認できれば別の制度に素早く乗り換えられるでしょう。
申請フローを早めに把握しておく
SDGsの補助金にも、所定の申請フローが設定されています。スムーズに申請が行えるように、事前に基本的なやり方や必要な書類は確認しておきましょう。締切ギリギリになってから対応すると、申請フローがわからずに焦って入力ミスをしたり、必要な書類をそろえられなかったりといったリスクがあります。
時間に余裕を持って補助金の申請を行うことが大切です。
補助金についての担当者を設置する
SDGsの補助金を活用すると決まったら、担当者を設置して必要な作業を任せることも1つの方法です。誰が担当するのか決まっていない状態だと、申請が終わっているのか、どんな準備が必要なのか混乱してわからなくなる可能性があります。
そのため、SDGsの補助金を使う際には、担当者を任命して情報収集や申請、その後の手続きなどをまとめて行えるように備えることが考えられます。担当者の負担が大きくならないように、フォロー体制を整えることが大切です。
補助金のルールをきちんと守る
各種補助金には、応募要件などさまざまなルールがあります。ルールを守らずに申請しても採択されないため、まずはその制度の資料を隅々まで読み込んで内容を理解するのが重要です。そのうえで自社の事業や将来と関係するのか精査し、申請を検討することが基本的な補助金利用の流れです。
SDGsに関する企業の方針を明確にする
SDGsに関する補助金を使う場合は、改めてSDGsに関する企業の方針を明確にしておく必要があります。なぜなら、SDGsへの理解が不足していたり、間違った解釈をしていたりすると、補助金の採択が受けられない可能性が高まるためです。また、方針が明確でないとSDGsへの意識不足をステークホルダーに指摘されるなど、事業に悪影響を及ぼす可能性もあります。
補助金の情報を集めるのと合わせて、今一度SDGsの基本を学ぶのもおすすめです。
SDGsの補助金を活用した事例
SDGsの補助金を活用する際には、事例を参考にすることも1つの方法です。以下では、SDGsに関する事業で補助金を使った事例を紹介します。
株式会社フロムアイコーポレーションの事例
「株式会社フロムアイコーポレーション」は、経済と環境の好循環をつくる「行き場を失った食品の再流通EC事業」を展開する事業計画を策定し、事業再構築補助金を得た事例です。食品の再利用および再流通を促す事業計画がSDGsの概念に合致すると考えられた点が、採択につながったと想定されます。
特定非営利活動法人エミフルの事例
「特定非営利活動法人エミフル」は、川崎市が提供する「SDGs達成に向けたモデル事業創出支援補助金」を活用して、廃棄予定の資源の再利用や障がい者の就労支援事業を展開しています。環境問題だけでなく、就労問題にも着手して地域貢献につなげた点が高く評価されている事例です。
株式会社創研社の事例
「株式会社創研社」は、再生可能エネルギーおよび発電効率の向上と、クリーンエネルギーに対する研究を行う企業です。クリーンエネルギー事業に進出して事業の再構築を図るために、事業再構築補助金を利用しました。補助金を活用して本社と倉庫を一部改修し、3DCADや半自動溶接機などを新規で導入した事例です。
まとめ
SDGsを実現するには、企業単位で具体的な行動を起こす必要があります。しかし、SDGsに関する事業を新規で始める際には、コストという問題が発生します。そこで、関連する補助金制度を活用し、コストを抑えてSDGs事業を進めることがおすすめです。
SDGsに関する事業の推進は、自社のアピールや利益の獲得など、企業にとっても大きなメリットがあります。この機会に補助金の内容を確認し、採択を目指して準備をしてみてはいかがでしょうか。
建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
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この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
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