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再生可能エネルギーは何種類?国内の発電に占める割合も解説

近年、世界中で地球温暖化の原因となる温室効果ガスを削減する「脱炭素」への意識が高まっています。特に、石炭や石油などの化石燃料からエネルギーを得る際、温室効果ガスの一種であるCO2を大量の排出するため、化石燃料を使わないエネルギー政策が必要とされています。

そんななか最近注目を浴びているのが再生可能エネルギーです。水や太陽光などの再生可能エネルギーは半永続的にエネルギーを得られるため、地球環境を汚染することなく、人類の発展に貢献できます。そんな再生可能エネルギーへの代替が企業単位で徐々に始まってきているのが現状です。

当記事では再生可能エネルギーの種類とそれぞれの再生可能エネルギーの特徴を解説します。さらに、再生可能エネルギーが国内のエネルギー需給において占める割合も説明するので、ぜひ参考にしてください。

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再生可能エネルギーの定義

再生可能エネルギー(renewable energy)とは、太陽光や風力など自然界に存在している枯渇しないエネルギーを指します。低炭素かつ国内で生産できるエネルギー源のため、脱炭素の実現において再生可能エネルギーの導入が期待されています。

日本では、再生可能エネルギーに関する定義が「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」で規定されました。法律による定義では、再生可能エネルギーは「非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるもの」を指します。

再生可能エネルギーの特徴のひとつとして、温室効果ガスを排出しないことが挙げられます。そのため、2050年までに温室効果ガス排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルの実現に向けたエネルギー源として注目および需要が高まっています。

さらに、再生可能エネルギーは輸入に依存する化石燃料と異なり、国内で供給できる点も特徴です。エネルギー自給率が低い日本において、再生可能エネルギーの普及がその改善にも効果をもたらすことが期待できるでしょう。

法律で規定されている再生可能エネルギーは7種類

再生可能エネルギーの種類は法律によって7種類に規定されています。

【再生可能エネルギーの種類】

種類 概要と特徴
太陽光

 

<概要>

太陽光を直接電気に変換する方法

<特徴>

  1. 設置する地域に制限がない
  2. 新たに用地を用意する必要がなく、屋根や壁などの未利用スペースに設置できる
  3. 山岳部、農地など送電設備のない遠隔地の電源として活用できる
  4. 災害時などに非常用電源として使用できる
風力 <概要>

風力による風車の回転運動による発電

<特徴>

  1. 日本ではおもに陸上に設置されている
  2. 火力並みの発電コストなので経済性も確保できる可能性がある
  3. 高効率で電気エネルギーへの変換が可能
  4. 風があれば夜間でも発電できる
水力 <概要>

高所から低所に落下させた水力によって回転する水車を活用した発電

<特徴>

  1. 自然条件に関わらず安定的な電力の供給が可能
  2. 歴史ある発電方法のため技術やノウハウが豊富
地熱 <概要>

地下の熱水や水蒸気を活用した発電

<特徴>

  1. 発電に使用した高温蒸気や熱水を農業、養殖、暖房などに再利用可能
  2. 昼夜を問わず安定的な発電が可能
太陽熱 <概要>

太陽の熱エネルギーによって発生させた水蒸気による発電

<特徴>

  1. エネルギー源そのものに対する導入コストがかからない
  2. 特別な知識や操作が不要で使用できるシステム
バイオマス <概要>

動植物などを原料とする生物資源を燃焼およびガス化させることによる発電

<特徴>

  1. 大気中のCO2から作られているので燃焼させてもCO2排出は差し引きゼロ
  2. 廃棄物の再利用や減少につながるため循環型社会の構築につながる
  3. 国内の農山漁村にある資源を利活用するため農山漁村の活性化を図れる
  4. 廃棄していたものを資源として活用するため地域環境の改善に貢献できる
その他の自然界に存在する熱 <概要>

水力、地熱、空気熱などを活用した発電方法

<特徴>

  1. いずれも自然環境に優しい純国産のエネルギー源として推進が望まれている

 参照:経済産業省「再生可能エネルギーとは

経済産業省は、法律によって規定されている再生可能エネルギー以外に「雪氷熱利用」「温度差熱利用」「地中熱利用」も紹介しています。いずれも国内の自然界に存在しているエネルギーを活用して発電を行える方法として、すでに活用されています。

なお、再生可能エネルギーの種類別に存在する導入における課題や活用事例などを知りたい方は経済産業省「再生可能エネルギーとは」を確認してみてください。

太陽光

太陽の光をエネルギー源として活用する方法です。太陽光発電の場合は、シリコンなどの半導体に太陽光が当たると電気が発生する現象を活用します。

太陽光発電システムは設置地域に制限がなく、屋根や壁などのスペースに設置できるため、新たな用地の用意が必要ありません。また、太陽光発電は、山岳部や農地など送電設備のない地域での電力として活用でき、停電時の発電も可能なため災害時の非常用電源としての活用も可能です。

風力

風力による風車の回転運動をエネルギー源として活用する方法です。発電機を通じて風車の回転運動を電気に変換します。陸上および洋上での発電が可能ですが、日本では、導入可能な適地が限定的であるため、陸上発電が主流になっています。

風力は、エネルギー源から電力に変換する割合を示す「変換効率」が良く、風があれば夜間でも発電可能なエネルギー源です。そのため、風力発電は導入量が増加しており、2000年以降設置基数は2,000基以上、設備容量は335.7万kW(キロワット)となっています。

水力

水が流れる力をエネルギー源として活用する方法です。水力発電は、水が高所から流れ落ちる力を利用する大規模なダムによるものから、河川の流水や上下水道などを活用する中小水力発電までさまざまな規模のものがあります。

水力は、資源に恵まれた日本では、国内で賄える安定供給が可能なエネルギー源として昔から活用されてきました。水力発電では、大規模なダムはすでに飽和状態にあるため、今後は中小規模の水力発電所の建設が増えると見込まれており、経済産業省では「2030年度の再生可能エネルギー導入込量」において、太陽光発電に次ぐ発電電力量を見込んでいます。

参照:経済産業省「再生可能エネルギー政策の直近の動向 

地熱

地熱は、火山帯に位置する日本において、戦後早くから注目されてきたエネルギー源です。地熱発電は、地中の「地熱貯留層」まで井戸を掘り、周辺に溜まっている蒸気や熱水を取り出し、その力をエネルギー源として活用する発電方法です。

地熱発電は、昼夜を問わず安定的な発電が可能なうえ、化石燃料のように枯渇することがないため、長期的な供給が期待できるエネルギーです。また発電に使用した蒸気や熱水を、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用できます。

太陽熱

太陽の熱エネルギーを活用する方法です。電力のエネルギー源として活用する場合、太陽熱によって発生させた水蒸気を活用して発電します。

また、電力としての活用だけでなく、太陽集熱器に集めた熱エネルギーを給湯や冷暖房などに活用する方法もあり、給湯利用の多い介護施設などにも導入されています。エネルギー源に導入コストがかからず、特別な知識や操作が必要なく利用できるため、導入しやすい再生エネルギーといえるでしょう。

バイオマス

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念であり、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義されています。バイオマスは、廃棄物などの燃焼やガス化によって、発電のみならず「熱」や「燃料製造」などのエネルギー源として活用されています。

バイオマス発電は、未活用の廃棄物を燃料としており、廃棄物の再利用や減少など循環型社会の構築に貢献します。また、バイオマス発電は、農山漁村に存在する家畜排泄物や林地残材、家庭から出る生ごみなども資源として活用できるため、自然循環環境機能の維持や地域環境の改善も期待できます。

その他の自然界に存在する熱

水力、地熱をはじめ、空気熱や海洋の温度差など自然界に存在する熱をエネルギー源として活用する方法です。

たとえば、「空気熱」はヒートポンプを利用して空気が持っている熱をエネルギー源とし、給湯器やエアコンなどの設備に活用されています。ヒートポンプによって、空気を冷却および加熱することによって「冷熱」「温熱」を供給します。また「海洋温度差発電」は海面と深海の温度差をエネルギー源として利用します。

なお、海の波力や海流のエネルギー、潮の満ち引きなど自然界に存在する位置エネルギーや運動エネルギーの活用に関しても研究が進められています。

国内のエネルギー需給における再生可能エネルギーの割合

再生可能エネルギーは、国内のエネルギー需要において普及拡大に至っていない状況です。2022年の国内の自家消費を含む全発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は22.7%(前年22.4%)となっており、化石燃料がおもなエネルギー供給源となっています。

【2022年国内の発電電力量における再生可能エネルギーの割合】

種類 割合(2021年) 割合(2022年)
太陽光 9.3% 9.9%
水力 7.8% 7.1%
バイオマス 4.1% 4.6%
風力 0.9% 0.9%
地熱 0.3% 0.3%

参照:特定非営利活動法人 環境エネルギー政策研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)

また、再生可能エネルギーの種類別の発電電力量に関して、太陽光とバイオマスは前年度からわずかな増加がみられるものの、普及には至っていないことがわかります。また、日本の再生可能エネルギーによる年間発電電力量の比率は、EU27か国全体の平均38.4%と比較すると約半分となっています。

このように、国内の再生可能エネルギーの導入が拡大していない背景には、エネルギー密度※の低さに対応できる「広大な土地」や、発電電力量当たりの建設コストなどの課題を解決する必要性があるといえるでしょう。

※単位面積あたりに可能な発電量を表すもの

なお、再生可能エネルギーの導入における課題と解決策に関して確認したい方は「再生可能エネルギー導入における課題と解決策を解説」を参考にしてください。

参照:ISEP 環境エネルギー政策研究所「2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)

将来的なエネルギー需給における再生可能エネルギーの見通し

経済産業省は「エネルギー基本計画の概要」内で、2030年のエネルギー需給における再生可能エネルギーの割合を36~38%とする見通しを発表しています。

【2030年の再生可能エネルギーの需給見通し】

種類 割合
太陽光 14~16%
水力 11%
バイオマス 5%
風力 5%
地熱 1%

経済産業省の見通しに基づいて再生可能エネルギーを電力エネルギーの供給源とした場合、温室効果ガスの排出量を46%まで削減することが期待されています。この温室効果ガス排出量の削減量は地球温暖化対策として国が打ち出している2030年に温室効果ガス46%削減(2013年度比)の目標に合致するものです。

そのため、政府は再エネ促進区域の設定や技術開発の推進を行うとともに、「入札制度の活用(FIT・FIP制度)」「中長期的な価格目標設定」によって再生可能エネルギーの市場への導入促進を2030年に向けた政策対応としています。

再生可能エネルギーの活用事例

2050年カーボンニュートラル実現に向け、高騰する電気代を抑えながら脱炭素の手段としてさまざまな企業が再生可能エネルギーを活用しています。そのような企業と活動例をいくつかご紹介いたします。 

施工から暮らしまで再生可能エネルギー由来の電力供給を目指す住宅メーカー

住宅メーカーの大和ハウスグループは、「風」「太陽」「水」の再生可能エネルギー資源の有効活用をテーマに、発電事業を展開してきました。

2000年からさまざまなタイプの風力発電機を設置し、2007年から風力発電事業へ参入しました。さらに、建築施工技術のノウハウを活かしながら、顧客からの太陽光発電の導入ニーズに応えるソリューション事業を展開したり、水力発電の開発および売電を行ったりしています。

大和ハウスグループは、2018年にはEP100、RE100へ同時加盟しています。これにより、2040年までに、再生可能エネルギー発電事業のさらなる拡大を図りながら施工から暮らしまで再生可能エネルギー由来の電力供給を目指しています。

 再生可能エネルギーを活用できる建築ガラスを開発

AGCグループは、建築・自動車・ディスプレイ用ガラス、電子部材などを提供するソリューション・プロバイダーです。AGCでは、工業での再生可能エネルギーの導入や本社での水力100%電力など、グループ全体で再生可能エネルギーの導入を推進しています。

さらに、日本事業部では、建材一体型太陽光発電ガラス「サンジュール」を開発しました。「サンジュール」は、太陽光発電システム設置の適地が少ない日本において、都市の建設物を活用した発電を行えるよう、建材用ガラスの間に太陽光発電機能を組み込んだものです。

再生可能エネルギーの導入を進めながら、施主、設計、ゼネコンなどを対象とした市場ニーズに応じた製品の開発を行っている事例といえるでしょう。

2050年サプライチェーン全体のカーボンゼロ達成を目指しながら地域の脱炭素を先導

ホームセンターを展開する株式会社カインズでは、太陽光発電の導入を推進しながら店舗の所在する地域の脱炭素への取り組みを進めています。カインズは、2025年までに店舗や倉庫、オフィスなど建屋のカーボンゼロを目標に掲げながら新店舗への太陽光発電の導入を進めてきました。

太陽光発電の導入によって、店舗の年間電気使用量の削減を図りながらサプライチェーン全体でのCO2 削減に取り組んでいます。さらに、顧客に向けて自社の脱炭素への取り組みを発信し、地域のステークホルダーとともにカーボンニュートラルへの取り組みを進めています。 

他社と連携して設備投資を最小限に抑えつつ再生可能エネルギーを導入

東急電鉄株式会社は東急株式会社の傘下で、文字通り東急電鉄の運営をしている企業です。東急電鉄は2022年4月1日から再生可能エネルギー由来の電力のみで運行を開始しました。しかし、これは東急電鉄が再生可能エネルギー由来の電力を創出する設備導入から始めたわけではありません。東京電力エナジーパートナー、株式会社東急パワーサプライといった整った設備を持つ企業と協力する形で運行がスタートしています。このように企業が自社で発電設備を整えるには、数年規模の設備投資が必要です。そのため、すでに設備を整えた企業が創出した再生可能エネルギーを利用するのも1つの手です。

まとめ

再生可能エネルギーとは、再生可能エネルギーは、自然界に存在している枯渇しないエネルギーのことです。再生可能エネルギーの種類は、法律によって「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」「太陽熱」「その他の自然界に存在する熱」の7種類に規定されています。

再生可能エネルギーは、国内のエネルギー需要において普及拡大に至っていない状況です。再生可能エネルギーの普及が拡大していない背景には、エネルギー密度の低さに対応できる「広大な土地」や、発電電力量当たりの建設コストなどの課題を解決する必要性があるといえます。

経済産業省は、2030年のエネルギー需給における再生可能エネルギーの割合を36~38%とする見通しを発表しています。この見通しに基づいた場合、温室効果ガスの排出量を46%まで削減することが期待されており、国が目標とするカーボンニュートラル実現に貢献するといえるでしょう。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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