セミナー情報
2024/3/3 2024/6/14
脱炭素社会への第一歩、ZEB(Zero Energy Building)と創エネの魅力
こんにちは、リバスタ編集部です。編集部の呼びかけに集まってくれたSDGsに興味のある学生たちが「リバスタ学生記者」として興味のあるテーマについて調べてもらいました。記者メンバーは「建設業界の脱炭素」についてはじめて触れるとのことですが、調べるうちに、どんな気づきを得たのでしょうか?
上智大学で経営を学ぶ大方さんは「ZEB」について取り上げました。ZEBは建設業×脱炭素を語る上では欠かせないワードです。大方さんの身近な建物の事例から理解を深め、気づきを得られたようです。ぜひご覧ください。
このテーマを選んだきっかけ
こんにちは。建設業における脱炭素社会に向けての取り組みを調べていく中で、私たちが日常から脱炭素社会に向かうために必要なものは何かを考えさせられるよい機会となり、今回記事を書かせていただきました。ぜひ読んでいただけると幸いです。
脱炭素社会、サステナビリティ、環境への配慮など、これらの言葉は今や私たちの日常に溶け込んでいます。持続可能な未来を築くために私たちが探求し、実現しようとしている理念の一部です。しかし、これらの理念を実際の建物や生活にどのように結びつけ、実現するのでしょうか?その答えの一つが「ZEB(Zero Energy Building)」と「創エネ」だと考えます。正直、私は今までこの二つの言葉を聞いたことがありませんでした。しかし調べていくうちに、ZEBと創エネが一番身近な存在なのではないかと考えるようになりました。これらは今後の脱炭素社会の中で新しい未来を築くための鍵と言えるでしょう。(上智大学3年 大方梨愛)
ZEB(Zero Energy Building)、創エネとは何か?
まず、ZEBとは一体何なのでしょうか?「ZEB=Zero Energy Building」は、建物が年間を通じてほぼゼロのエネルギーを消費し、必要なエネルギーを自給することを意味します。つまり、建物が消費するエネルギーを再生可能エネルギー源から供給し、その結果、エネルギー収支がゼロになるのです。これは、CO2の排出を大幅に削減し、環境に優しい建設物を実現するための手法です。そしてこれまでのエネルギー効率の改善につながると考えられています。
そして、ZEBを実現する鍵となる「創エネ」、つまり「創出されたエネルギー」は、再生可能エネルギー源を利用して電力を生成するプロセスを指します。太陽光発電、風力発電、水力発電などがその例です。これらのエネルギー源は環境に対する影響が少なく、再生可能であるため、脱炭素社会を実現するために非常に重要な役割を果たします。創エネを活用すれば、建設物はエネルギーを自給し、余剰エネルギーを貯蔵できるのです。
しかし、全ての建物を完全にZEB化することは費用や効率の面で難しい場合があります。そういった場合のために、4段階に分けた評価を設置し、ZEBの普及・拡充を行っています。これから4段階の評価について紹介していきます。
・「ZEB」・・・年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロまたはマイナスの建築物
・「Nearly ZEB」・・・ZEBに限りなく近い建築物として、ZEBReadyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物。
・「ZEB Ready」・・・ZEBを見据えた建築物として、断熱性が高く、省エネルギー設備が効率的に搭載された建築物」
・「ZEB Oriented」・・・ZEBを見据えた建築物として、断熱性が高く、省エネルギー設備に加え、さらなる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物」
参照:環境省「ZEBの定義」
このように一次エネルギー消費量をゼロにするのではなく、省エネでエネルギー使用量を削減しながら創エネで使用するエネルギーをつくり、エネルギー消費量を結果的にゼロとすることで自然環境に負担をかけずに活動できます。
※画像はイメージです
意外と身近なZEB化建設物の実例
ZEBと創エネは、持続可能な未来を構築するための魅力的な手段として、ますます注目を浴びています。これらは、公共建設物や教育施設にも導入されつつあり、私たちの生活により身近になってきています。たとえば、岐阜県の瑞浪市立瑞浪北中学校は新築校としては全国初の「スーパーエコスクール」で、地形や風土を活かした省エネ技術、再エネによる創エネ技術、環境教育による省エネ活動によってZEB化を達成しました。これは、学生たちにとって模範となり、環境への配慮が教育の一環として実践されていると思います。
さらに、たとえ新築でなくても既存の建物でもZEB化改修工事ができるのです。今まで、既存の使用されている建設物は施工面や費用面でZEB化が難しいとされてきました。しかし、福岡県久留米市の環境部庁舎は一次エネルギーを106%(創エネ含む)削減し、日本における既存の公共建設物としては、初めて「ZEB」に認証されました。
この新たなアプローチは建設業界全体に影響を与えつつあります。建設物の設計から施工、運用までのプロセスが再評価され、エネルギー効率の向上が図られています。その結果、CO2排出量の削減と持続可能性の追求が前進しています。
このように、「ZEB」と「創エネ」は、私たちの住環境をより持続可能なものに変え、脱炭素社会への道を切り拓く手助けをしてくれます。ZEBそして創エネについて学び、普及させることは、環境保護と未来への投資の一環になると考えています。私たちの日常生活が変わり、建設業界が進化する中で、より健康的で持続可能な未来を築くために私たちも積極的に関与し、行動を起こす必要があるのではないのでしょうか。そして、ZEBと創エネがその未来を切り開く一歩となると信じています。
参照:環境省「ZEBポータル事例紹介新築事例6」
参照:環境省「ZEBポータル事例紹介改修事例9」
この記事を書いてみて
今回このような記事を書かせていただいたことで、ZEBと創エネについての理解から脱炭素やサステナビリティに対する関心がより高まりました。周りにある建物がどのように脱炭素に向けて貢献しているのかを知ることで、自身がその建物を使用する際に環境問題に考慮している建物だということが分かり、より安心安全に利用できると感じています。
私は大学で経営を学んでいるのですが、環境マネジメントについて学ぶ中、記事執筆の機会と出会い、脱炭素に向けた取り組みはビジネス環境において持続可能性と競争力を結びつける重要な手段であることが分かりました。ZEBと創エネは環境に対する企業の社会的責任(CSR)やサステナビリティ戦略に大きな影響を与える要因になると考えます。企業が環境に配慮した建物を採用し、創エネを活用することは、エネルギーコストの削減につながり、競争力を高めることが期待できると思います。また、環境に優しい施設を提供することで顧客やステークホルダーからの評価も向上すると思います。さらに、建設業界はどの業種よりも、建物の資材や設計、施工過程の中で環境に配慮しているのではないかと気づくことができました。この気づきによって、もっと建設業界の脱炭素に向けた取り組みを知ってもらいたいと感じ、就職活動を始める上で業種の幅が広がりました。
この記事を書いた学生記者
上智大学 経済学部 経営学科3年
大方梨愛(おおかたりえ)
※記事執筆時の情報です。
出典まとめ
環境省「ZEBの定義」
環境省「ZEBポータル事例紹介新築事例6」
環境省「ZEBポータル事例紹介改修事例9」
<記事リンク:学生記事①>
<記事リンク:学生記事③>
建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。
この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
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