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建設業におけるDXとは?建設DXの基本やメリット、実施における手順を解説

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

近年、多くの業界でDXが実施されています。DXは建築業界でも実施されており、DXにより業務の効率化が期待されていますが、概要や手順などを把握していないと、成果を得ることは難しいでしょう。本記事では建設業におけるDXの基本と具体的な技術、導入によるメリットや注意点などを解説します。

建設業におけるDXの必要性について

 

以下では、建築業におけるDXの必要性を解説します。建築業におけるDXの必要性を理解し、施策を考案・実行する準備をしておきましょう。

「2025年の崖」に関する問題

「2025年の崖」とは、経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」によって提唱された問題です。企業が使用しているITシステムが老朽化し、レガシーシステムとなることで、世界のデジタル競争に遅れをとる可能性があると警鐘が鳴らされています。

「2025年の崖」問題が顕在化すると、結果的に2025〜2030年の間に、国内で毎年最大12兆円の損失が発生すると予想されています。この問題を考慮したうえで、建設業界もDXを本格化する必要があると考えられています。

DXは建設業界における問題解決につながる

DXには既存事業における課題を解決に導き、次世代で通用する事業体制を構築できる可能性が秘められています。このため、建設関係の事業者にとって、DXは多くの問題解決につながります。

特に建設業界におけるDXは「建設DX」とも呼ばれ、その必要性は今後も広まっていくでしょう。まずはDXの基本を把握しつつ、建築DXならではの特徴を理解していくことが重要です。

建設業界におけるDXで解決できる課題・メリット

建築業界で実行できるDXには、多くの課題を解決できるメリットがあります。自社が抱えている問題も、建築DXをきっかけに解決を目指せる可能性があります。以下では、建築DXで解決できる主な課題を紹介します。

労働環境の改善

DXによる自動化や技術の導入によって、労働環境の改善が見込めます。なぜなら、時間外労働などによる従業員の負担を、DXの技術を使うことで解決できる可能性があるからです。

DXにより事前の作業間連絡調整や、日々の調整会議の進行を円滑に進められるため、現場の負担軽減が期待できます。

属人化している技術の継承

建築DXは、建設業における技術継承にも有効な手段となります。従来は口頭で伝えてきた内容をデジタルツールでマニュアル化したり、VRやARで実際の作業を仮想空間で体験する方法を導入することで、専門性の高い技術もスムーズに若手に継承可能です。これにより、技術継承が上手くいかず、新入社員や若手が辞めてしまうといった問題の解決につながると期待されています。

建設業界は従業員の高齢化の課題もあるため、DXで技術継承の方法を確立することには、大きなメリットがあるでしょう。

人手不足の解消

建築DXによる作業の自動化や短縮によって、人手不足の現場サポートが可能です。建設業において人手不足は、作業の遅延を招く重大な課題と言えます。建築DXによって人手不足の問題が解消すれば、建設業務を円滑に進められ、従業員のモチベーションが上がる可能性もあります。また、建築DXは危険な作業を機械に任せて、従業員の安全を確保することも可能です。

生産性の向上

DXに関する技術の導入は、生産性向上にも効果があります。日本建設業連合会の「建設業ハンドブック2021」によると、単品受注生産の影響や工事単価の下落によって1990年代後半から建設業の生産性は低下しています。対策として、パソコン・スマートフォン・タブレットなどで情報を確認できるように環境を整えれば、移動時間や待ち時間などを短縮して生産性を向上できます。

技術の導入による新しい事業展開

DXをきっかけに人工知能やクラウドデータなどの新技術を導入できれば、新規の事業展開も検討できます。従来は対応できなかった案件を受注して、利益拡大につながる可能性もあるでしょう。具体的にどのような技術がDXで活用されるのか確認し、自社に導入するものを選別することがポイントです。

建設業のDXで活用される技術

建築DXを導入する際には、実際に建築業で活用されている技術を把握することが重要です。どのような技術があり、どんな成果に期待できるのかを知ることで、自社に必要な技術が明確になります。以下では、建築業で取り入れられているDX技術を紹介します。

BIMとCIM

BIMとは、「Building Information Modeling」のことで、「建物情報のモデル化」を意味する言葉です。一方でCIMとは「Construction Information Modeling」の略称で、「建設情報のモデル化」という意味を持ちます。3次元モデルを活用して情報共有を効率化し、建設業における生産や管理を改善できる点がBIMとCIMの特徴です。

事業で使用する設計内容などを簡単に確認できるため、合意形成がスムーズに行えるメリットがあります。

ARやVR

AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)などの技術を組み合わせ、建築現場をデジタル化するのも建築DXの1種です。例えば作業のシミュレーションを実施したり、建設予定の建物を仮想世界でリアルに表現し、施工時に想定される問題を事前に確認したりできます。

現実世界と仮想世界を融合するそれぞれの技術は、 XR(クロスリアリティ)と呼ばれます。

AI(人工知能)

AI(人工知能)を使って、作業の効率化や安全性の確保などを行う手法も実施されています。例えばAIをセンサーに導入すると、点検作業を自動化できます。また、機械をAIで制御できれば、人を使わずに遠隔からの作業が可能となります。これにより、作業の自動化によって人員を削減できるうえ、危険な作業を回避できる点がAIの特徴です。

ドローン

無人航空機であるドローンを活用すれば、建設現場などを上から撮影・確認できます。人の目が届きづらい場所も、ドローンであればスムーズにチェックして問題の早期発見につなげられます。そのほか、ドローンは測量やレーザースキャナなどに役立つため、建築事業における下見の役割を担えます。

今後、技術が発展すればドローンを使った運搬なども行える可能性があるでしょう。

クラウドデータ

建設業では、1つの仕事に多くの情報が必要です。このため、情報をまとめて保存・管理し、スムーズな共有を可能とするクラウドシステムは重要なDXとなります。工程管理ツールや機械の稼働状況などを把握するツールなどと連携し、情報をまとめることも考えられます。

建設業でDXを進めるための手順

建築業でDXを進めるためには、基本手順の把握が必要です。以下を参考に、建築DXにおける具体的な手順をチェックしてみてください。

現場を確認して課題を明確にする

まずは建築現場を確認し、どのような課題があるのか把握します。問題を目視で確認し、言語化することで必要な技術を明確にできます。現場で働く従業員の声も聞き、経営者視点では発見しづらいポイントをチェックすることも重要です。課題を洗い出したうえで、DXの担当者や経営層と情報を共有することが最初のステップです。

目標や必要な技術・ツールを確定させる

課題解決に必要な目標を設定し、DX技術の導入におけるスケジュールを検討します。また、建設DXにおける技術やツールを確認し、実際に導入するもののピックアップもこの段階で実行しましょう。同時にデジタル人材の確保や、専門サービスへの外部委託なども考えるのがポイントです。

小規模でDXを開始する

準備が整ったら、まずは小規模でDXを開始します。いきなり広範囲でDXの技術を導入すると、現場が混乱したり、効果が分かりにくかったりする可能性があります。状況によっては従業員のモチベーションや生産性を低下させる要因になるため、小さな範囲から実行し、少しずつ浸透させていく形が理想です。

データ収集を進める

DXによる効果を高めるには、データ収集が欠かせません。実際にDXを実施したことで得られたデータをまとめて、機械学習などに活用します。データ量が増えることで、AIなどをより高度に扱えるようになります。

大型のデジタルサイネージにその日の情報を表示して共有時間を短縮したり、工程表などを開示してトラブルを防止したりできます。

効果測定を行って次回に活かす

DXによる効果測定を実施し、どのような成果を得られたのか、どんな課題が残ったのか確認します。取得したあらゆる情報をデータ化して収集し、内容を分析して次のDX施策に活用することが基本的な流れです。建築DXではここまでの流れを繰り返し、少しずつDXを事業に浸透させていくことがポイントになります。

建設業でDXを進めるうえでのポイント・注意点

建築業におけるDXを進めるためには、具体的なポイントと注意点を踏まえて計画を立てるのが重要です。以下では、建築業のDXを実践する際に、事前に把握すべきポイント・注意点を解説します。

自社に必要なDX技術を見極める

コストや時間の問題から、すべてのDX技術を取り入れることは難しいです。的確に自社に必要な技術を導入できるように、DX技術の種類や特徴を把握し、選別する工程が必要となります。導入の流れや効果をシミュレートし、成果に期待できるものから優先して活用することがポイントです。

実際に効果があったのかは分析してみないと分からないため、導入と効果検証を繰り返し、自社に必要なDXを明確にしていきましょう。

従業員の理解を得る

DXを推進させるには、従業員の協力が欠かせません。従業員がDXの必要性に懐疑的だと、導入がスムーズに進まない可能性があります。事前に従業員に説明し、建設DXの必要性を伝えておく準備が求められます。建築DXの具体例を紹介したり、従業員にとってどのようなメリットがあるのかを説明したりするのが、理解を得るためのコツです。

アンケートなどを実施し、従業員がDXにどのような認識を持っているのか確認するのも重要です。

脱炭素・カーボンニュートラルの問題にも目をむける

建設業は、脱炭素やカーボンニュートラルの問題と直面しています。国内では2050年までに「カーボンニュートラル」実現を目指すとして、さまざまな施策が検討されています。建設業に携わる企業も、DXをきっかけに脱炭素やカーボンニュートラルを意識し、貢献できる施策の実現を目指す必要があります。

あらためて脱炭素やカーボンニュートラルについての知識を深め、自社がDXを導入することで得られる成果を確認してみると良いでしょう。

建設DXで脱炭素の取り組みが重要視される理由

建設時のCO2排出量は、決して少なくありません。国内におけるCO2排出量の1/3が、住宅・建築物によって発生しています。そのため建築業界はさまざまな工夫を通して、CO2を削減することが求められています。例えば資材調達・設計や施工・運用や改修・解体などの各段階において、CO2の排出量を抑制する施策を取り入れています。

日本建設業連合会では、2030~40年度のできるだけ早い段階で、2013年度比の40%削減を目標としています。この目標を達成するためには、各企業が建築DXに協力して、具体的な施策を打ち出していく必要があるでしょう。

数値参考:https://www.nikkenren.com/kankyou/pdf/indep_plan_7_web.pdf

建設DXの事例

東急建設株式会社

1.事例概要

現場定点写真を、全天球カメラ(360°カメラ)を用いて撮影し、位置情報を持たせることで現場版ストリートビュー(バーチャルツアー)を作成することができる。株式会社リコーが提供している SaaS(Software as a Service)を利用することで、現場の環境からでも簡単に作成ができる。平面図と写真がリンクして分かりやすく、定期的に更新することで進捗写真にも利用できる。

作成したバーチャルツアーは、発注者との現場状況の情報共有によって、遠隔での打ち合わせ時に円滑な情報共有が可能である。現場状況を 360°撮影し、共有することで安全管理、品質管理などにも寄与する。また、工事関係者以外の平面図などに慣れ親しんでいない一般の方々に対しても、QR コードを掲示物に貼付することで、直感的な案内方法として、バス停への誘導案内などにも活用している。

引用: https://www.nikkenren.com/publication/fl.php?fi=1202&f=DXcase_202203.pdf

西武建設株式会社

1.事例概要

甚大な自然災害が増えている昨今、災害発生個所の迅速な現況把握とその現況をもとに設計をおこなうニーズは高まる一方である。そのような中、UAV を用いて現地状況を早急に確認することや、災害発 生箇所の崩落形状を3次元で包括的に把握することは、災害発生要因の正確な推定や適切な復旧方法を 提案するために非常に有用である。 当社では、災害発生の一報を受けた後、現地確認し安全が確保できた段階で、近傍に配置している社 内資格を有した技術者が UAV を用いて、現地航空写真を撮影し、現場状況の全景撮影を行う。この写真 により災害箇所全体を視認できるため、応急処置範囲や対策箇所の優先順位をつけ、災害発生時から応 急処置まで早急な対応が可能となる。

応急処置終了後、災害発生箇所から目視できる範囲の離れた箇所で、地上型3Dレーザースキャナや UAV型3Dレーザースキャナを使い、地形計測する。通常の測量では災害箇所に立ち入らなければ測 量が出来ないが、最大 250m離れた箇所においても地形データを取得できるため、安全かつ早期立入り 可能な状態で点群データを取得できる。計測後、内業として、点群データを点群解析(計測点の結 合),点群処理(余分な点の除去)などの処置を施した後,3DCAD取り込み、ソフトの機能を使う ことで、精度の高い等高線を有した地形図や縦横断面図を作成することができる。また、国土地理院の DEMデータ(数値標高モデル)と重ね合わせることで、大まかな崩落形状や崩落土量の算出等も可能に なり、有用な対策の提案が可能となる。

引用: https://www.nikkenren.com/publication/fl.php?fi=1202&f=DXcase_202203.pdf

まとめ

DXは多くの業界・企業に浸透し、さまざまな効果を引き出しています。建築業界も例外ではなく、積極的にDXを取り入れて事業の中身を変革していく必要があるでしょう。特に建築業のDXは、脱炭素やカーボンニュートラルを実現するためのCO2削減に大きく影響します。建築業を営む企業が適切なDXを実施することは、未来をつくる礎になるでしょう。この機会に建築DXの基本を確認し、具体的な施策を導入する準備をしてみてはいかがでしょうか。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO₂排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。

また、建設会社からCO₂排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるディベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO₂排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは、建設業界のCO₂対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業界に特化したCO₂排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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