基礎情報

時計 2023/8/1 アップデート 2024/7/11

ネットゼロとは?カーボンニュートラルとの違いや実現に向けた取り組みを解説

ネットゼロ

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

脱炭素に関する調査や取り組みの中で、「ネットゼロ」という言葉に触れることもあるでしょう。しかし、ネットゼロの定義やカーボンニュートラルとの違いが分からないという人もいますよね。

当記事では、ネットゼロについて、カーボンニュートラルとの違いや実現のための取り組みを踏まえて解説します。

ネットゼロとは?

ネットゼロとは、温室効果ガスの排出量を正味ゼロにすることです。「ネット」には、全体や総計という意味があり、排出と吸収のバランスを取ることで温室効果ガスの排出量を相殺し実質ゼロにすることを意味します。

たとえば、企業が削減しきれなかったCO2排出がある場合、過剰分に相当する他社の植林活動や再生可能エネルギー技術開発などに投資を行うことでネットゼロの実現が可能です。CO2削減のための活動に投資をすることにより、自社のCO2排出量を相殺して実質ゼロとみなすことができます。

現在、エネルギーの多くを化石燃料に依存している日本では、温室効果ガスの排出量をゼロにすることは困難です。しかし、温室効果ガスの排出量削減活動への投資により排出量を埋め合わせるカーボンオフセットや、植林活動などにより大気中のCO2吸収量を増やすことでネットゼロの達成に近づけるでしょう。

ネットゼロとカーボンニュートラルの違い

ネットゼロの類義語として「カーボンニュートラル」があります。ニュートラルとは「中立」という意味で、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて全体としてゼロにすることです。

カーボンニュートラルとネットゼロは、対象となる項目や目標として掲げられている内容にいくつかの違いがあります。

【ネットゼロとカーボンニュートラルの違い】

ネットゼロ カーボンニュートラル
対象 Scope1
Scope2
Scope3
Scope1
Scope2
目標 ・地球の気温上昇を、産業革命以前と比べ1.5℃以内に抑える ・2030年度の温室効果ガス46% 削減(2013年度比)
・2050年までにCO2排出量を実質ゼロにする
主な手法 ・大気中から温室効果ガスを除去し、永続的に貯蔵する ・温室効果ガスの排出量削減と吸収量の増加を目指す

 

脱炭素には、温室効果ガスの排出段階ごとにScope1~3として分類するサプライチェーン排出量の考え方があります。カーボンニュートラルの場合、自社以外での間接排出に当たるScope3は対象外ですが、ネットゼロではScope3も対象です。

また、カーボンニュートラルは温室効果ガスの削減に重点を置いています。一方で、ネットゼロでは大気中の温室効果ガスを除去することにより、地球の気温上昇を抑えることを主な目標として掲げています。

ただし、経済産業省ではカーボンニュートラルを「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること」と説明しており、排出量から吸収量を差し引いた合計がゼロとなるネットゼロと同義としています。

ネットゼロの実現に向けて企業ができる取り組み

脱炭素に向けた企業のさまざまな取り組みが、ネットゼロの実現につながります。

【ネットゼロの実現に向けた企業の取り組み】
・再生可能エネルギーの導入
・省エネ対策の実施
・緑化事業への取り組み
・脱炭素経営への転換

脱炭素が注目される中で企業が積極的にネットゼロの実現に取り組むことは、エネルギーコストの削減だけでなく、他社との差別化による企業価値の向上などのビジネスチャンスの創出にもつながるでしょう。

再生可能エネルギーの導入

ネットゼロを実現するために、再生可能エネルギー設備を導入する方法があります。温室効果ガスが発生する主な原因は化石燃料由来のエネルギーであるため、化石燃料に頼らない再生可能エネルギー設備を導入することで、温室効果ガスの排出量を削減できるからです。

たとえば、オフィスに太陽光パネルを設置することにより、太陽光発電でオフィス内の電力を賄うことができるため、温室効果ガスの削減につながります。

また、設置場所や容量などの条件が合う場合は、企業の所有する敷地を貸し出して再生可能エネルギー設備を設置するPPAモデルを利用する方法もあります。売電収入を得ることはできませんが、電気料金を安く抑えることができるほか、初期費用やメンテナンスも不要です。

ネットゼロを目指すためには、温室効果ガスをできる限り排出しないことが重要となります。自社のエネルギーを再生可能エネルギーに転換することで、企業全体の温室効果ガス排出量を大幅に削減できるでしょう。

なお、再生可能エネルギー設備の導入が難しい企業は、グリーン電力証書を購入することによって再生可能エネルギーを使用しているとみなすことができる制度もあります。グリーン電力証書について知りたい方は、一般社団法人 日本品質保証機構のホームページ「グリーンエネルギー認証」を確認してみてください。

省エネ対策の実施

省エネへの対策を行うことも、ネットゼロの実現につながります。温室効果ガスの排出量を完全にゼロにできなくても、省エネによって削減ができれば埋め合わせが必要な量が少なくなり、ネットゼロを達成に貢献できるためです。

たとえば、オフィスでの節電も省エネ対策のひとつです。部分消灯やPCの節電設定、エアコンの設定温度の調整などにより電力使用が抑制され、CO2排出量を削減できます。また、省エネ性能の高い空調装置や電気製品を導入することにより、同じ使用量でも消費電力を抑えることが可能です。

省エネ対策は新たな設備を導入しなくても対応が可能であり、企業が取り組みやすい手法です。環境への配慮だけでなくエネルギーコストの削減にもつながるため、オフィスの部分消灯やPCの省エネモードへの切り替えなど、身近なところから省エネ対策を取り入れてみましょう。

緑化事業への取り組み

緑化事業への取り組みも、ネットゼロの達成に有効な手段です。樹木にはCO2を吸収する作用があるほか、建物に緑を取り入れて直射日光を避けることにより、ヒートショックの防止やエアコンの使用を抑えることにもつながるためです。

近年注目されているのが、オフィスや施設を植物で覆い、建物の表面温度の上昇を防ぐ屋上緑化や壁面緑化です。日本でも、すでに複数の商業施設や保育施設、企業のオフィスビルなどで緑化事業が導入されています。

また、他の企業や団体が行う植林活動などへの投資によって、カーボンオフセットとして埋め合わせることも可能です。植林や森林保護活動などによって樹木を守ることは、CO2の吸収量を増やすことにつながります。

植物を取り入れて建物全体のエネルギー使用を抑えることや、植林によってCO2の吸収量を増やすことも、ネットゼロの実現に向けた取り組みです。東京や京都、大阪などでは、一定規模以上建物の建築に際して屋上や壁面の緑化を義務付けている自治体もあり、緑化事業は地球温暖化対策として期待されています。

脱炭素経営への転換

ネットゼロの達成に積極的に取り組みたいと考えている企業は、脱炭素経営への転換も検討しましょう。脱炭素経営とは、企業活動の一環としてではなく、気候変動対策を目標とした事業方針を定めて全社を挙げて脱炭素に取り組むことです。

脱炭素経営を導入する場合は、以下の手順で行うことが推奨されています。

【脱炭素経営に取り組む手順】

手順 概要
1. 知る ・脱炭素についての情報収集を行う
・現状の経営方針を踏まえ、脱炭素経営の方向性を検討する
2. 測る ・自社のCO2排出量を算定する
・算定結果をもとに、削減できる部分を特定する
3. 減らす ・削減ターゲットの分析を行い、削減計画を立てる
・計画に沿って削減対策を実行する
・必要に応じて計画の見直しを行う

脱炭素経営は企業全体での取り組みであり、組織体制の調整や設備導入など手間や初期費用が発生する場合がありますが、長期的に見た場合のエネルギーコスト削減や企業価値の向上など複数のメリットがあります。

さらに、脱炭素が注目される中で、環境問題に積極的に取り組む企業への投資を行うESG投資なども広まっています。脱炭素経営は企業のイメージアップや他社との差別化につながり、資金調達においても有利となるでしょう。

カーボンネガティブとは?

カーボンネガティブとは、大気中に排出される温室効果ガスの量よりも、吸収および除去される量が上回る状態のことです温室効果ガスの排出量と吸収量を実質ゼロにするカーボンニュートラルやゼロエミッションよりも、脱炭素が進んでいる状態です。

カーボンネガティブの実現のため、温室効果ガスを回収・吸収し,貯留・固定化することで大気中から除去するネガティブエミッション技術(NETs)が注目されています。米国や欧州では大企業がネガティブエミッション技術の開発に投資する動きも見られており、今後の普及が期待されています。

【ネガティブエミッション技術の例】

ネガティブエミッション技術 概要
BECCS バイオマスエネルギーの燃焼により発生したCO2を捕集・貯留する技術
DAC 大気中の温室効果ガスを直接捕集する技術。
回収した温室効果ガスを貯留する技術(CCS)との組み合わせはDACCS、燃料や化学品に利用することはDAC-Uと呼ばれる
土壌炭素貯留 バイオマスを土壌に貯蔵・管理する技術。
有機物の自然分解によるCO2発生を防ぐ
バイオ炭 有機物を熱分解により炭化しを土壌に埋設することにより、炭素を固定する技術
風化促進 玄武岩などの岩石を粉砕・散布し、風化を人工的に促進する技術。
風化の過程(炭酸塩化)でCO2を吸収する
海洋肥沃
(ブルーカーボン)
海洋に養分を散布することにより生物学的生産を促す技術。
大気中からのCO2の吸収量の増加を見込む
植林・再生林 樹木によるCO2吸収を促進する技術

参考:経済産業省「ネガティブエミッション技術の検討方針について

エネルギーの大部分を化石燃料に頼っている日本において、温室効果ガスの排出量を完全にゼロにすることは困難です。ネガティブエミッション技術の普及により、大気中に蓄積された温室効果ガスを除去できれば、ネットゼロやカーボンネガティブの実現に近づくでしょう。

なお、カーボンポジティブもカーボンネガティブと同義で使われています。「カーボンネガティブ=温室効果ガスの除去」に対して、「カーボンポジティブ=温室効果ガスの吸収」という考え方であり、どちらも同じ意味を示す言葉であることを覚えておきましょう。

まとめ

カーボンニュートラルやネットゼロは、温室効果ガスの排出量を吸収量で相殺することにより実質ゼロとすることです。それぞれ細かな定義の違いがあるものの、多くの場合は同義で使用されています。

カーボンニュートラルやネットゼロを実現するためには、脱炭素への取り組みが不可欠です。日本でも省エネや創エネ、脱炭素経営に取り組む企業が増えており、積極的に脱炭素に取り組むことは企業にとってもイメージアップや資金調達におけるメリットとなります。

しかし、エネルギーの大部分を化石燃料に頼っている日本において、温室効果ガスの排出量をゼロにすることは困難です。温室効果ガスの排出量と吸収量を相殺するため、大気中の温室効果ガスを除去する「ネガティブエミッション技術」の開発が進められており、カーボンニュートラルやネットゼロの実現が期待されています。

 

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO₂排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。

また、建設会社からCO₂排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるディベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO₂排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは、建設業界のCO₂対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業界に特化したCO₂排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

お問合せはこちら

本ウェブサイトを利用される方は、必ず下記に規定する免責事項をご確認ください。

本サイトご利用の場合には、本免責事項に同意されたものとみなさせていただきます。当社は、当サイトに情報を掲載するにあたり、その内容につき細心の注意を払っておりますが、情報の内容が正確であるかどうか、最新のものであるかどうか、安全なものであるか等について保証をするものではなく、何らの責任を負うものではありません。

また、当サイト並びに当サイトからのリンク等で移動したサイトのご利用により、万一、ご利用者様に何らかの不都合や損害が発生したとしても、当社は何らの責任を負うものではありません。

お問合せ