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時計 2023/11/13 アップデート 2024/8/26

建設業界が抱える脱炭素の課題は?解決策になる取り組みも解説

国土交通省によると日本のエネルギー消費量の約3割は建築物によるものとされています。 建設業界においても脱炭素への取り組みを進めている企業も多いです。

この記事では建築業界における脱炭素の課題や解決策となる取り組みに関して解説します。企業の取り組み事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。

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建設業界における脱炭素の課題は建設機械によるCO2排出量の多さ

建設業界における脱炭素の課題は建設機械によるCO2排出量の多さです。建設機械のエンジンは、化石燃料を使用するためCO2排出量の削減が難しいことが背景にあります。

そもそも建設や解体などには建設機械を使用せざるを得ないため、工事現場に由来するCO2排出量が削減しにくく、建設業における脱炭素を阻む要因となっていました。

ただし、建設機械業界においても脱炭素に向けた取り組みは進められています。建築機械の燃費効率の改善や、省エネ型建設機械の開発などによって建設業界のCO2削減に貢献しています。

建設業界における省エネ・再エネの制度

建設業界の脱炭素を促進するため、省エネや再エネに関わる「建築物省エネ法」が制定されています。「建築物省エネ法」とは、建築物のエネルギー消費性能の向上を目的とした法律のことで、断熱性能やエネルギー消費に関する数値目標を定めています。

「建築物省エネ法」は複数回にわたって改正されており、直近では2022年6月に改正建築物省エネ法が公布されています。改正の背景には、国内の約3割を占めている建設及び建設に関連する業界のエネルギー消費量 と2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題として建設業界の取り組みが急務となっていることが挙げられます。

また、国内の木材需要の約4割を建築物分野が占めています。そのため、建築物省エネ法は、建築物の省エネ性能の向上を図りながら、建築物分野で使用する木材利用の規制を合理化し、木材利用を促進するために改正された制度ともいえます 。

なお、国土交通省では「低炭素型建設機械認定制度」を創設し、建設業界のCO2排出量削減を目指しています。省エネ化を達成した建設機械の普及により、建設業におけるCO2排出量の抑制が期待できるでしょう。

参照: 国土交通省「住宅:建築物省エネ法について

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への期待

建設業界の脱炭素を担うのがZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)への対応です。ZEBとは「省エネ」と「創エネ」への取り組みによって建物における年間の一次エネルギー消費量実質ゼロを目指す建物のことで、従来の建築物とは異なる設計方法や設備の導入が必要となります。

建設業界では環境省が推進している温室効果ガス排出削減目標である「SBT(Science Based Targets)」 の達成に向けて、再生可能エネルギーが活用され始めています。

また、中大規模建築物については2030年までに省エネ基準をZEB基準の省エネ性能に引き上げることが義務化されており、再生可能エネルギーの発電設備の建設と併せて市場の拡大が期待 できる状況といえるでしょう。

なお、ZEBの定義や種類など確認したい方は「ZEBとは? 知らないと乗り遅れるZEBの基礎知識」を参考にしてください。

建設業ができる脱炭素への取り組み

建設業の脱炭素における課題解決策としてさまざまな取り組みがあります。

【建設業界ができる脱炭素の例】
・CO2排出量の把握
・低炭素建設機械の導入
・低炭素素材の使用や工法の工夫

現場での施工に関連する取り組み以外にも、脱炭素に向けてできることがあります。自社でのCO2排出の原因を見直し、できるところから脱炭素に取り組んでみましょう。

CO2排出量の把握

脱炭素に取り組む場合、まずは企業でのエネルギー使用におけるCO2排出量を計算してみてください。具体的なCO2排出量の把握は、脱炭素に取り組むうえで課題の発見や改善策の考案に役立つ可能性があります。

企業における電気やガスの使用によるCO2排出量の把握が、脱炭素に向けた具体的な取り組みを促すきっかけづくりになる場合もあります。たとえばCO2排出量を把握することで、電気代に直結する現場の労働時間をはじめとしたリソースやコストの見直しから脱炭素を進めることも可能です。

また、事業活動におけるすべての温室効果ガスを算出する「サプライチェーン排出量 」の把握により、優先的に脱炭素を進めるべき工程を明確化するのも有益な方法です。建設業でサプライチェーン排出量の対象となるのは、住宅建設の原材料調達から住宅の解体までの工程を含む温室効果ガスの排出量です。

なお、温室効果ガスの排出量が多い「特定排出者」は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき温室効果ガスの排出量を算出し、国に報告することが義務づけられています。 具体的なCO2の排出量の計算方法を知りたい人は、「二酸化炭素排出量の計算方法を解説」を参考にしてください。

低炭素建設機械の導入

建設業でCO2排出量増加の主要な原因となっているのは建設機械の利用です。化石燃料を使用するエンジンが主流の建設機械業界においても脱炭素に向けた取り組みが行われています。

たとえばリチウムイオンバッテリーを取り入れた建設機械、電動の油圧ショベルや掘削機など化石燃料を使用しない建設機械の市場投入が進められています。また、ディーゼルエンジンに代わる建築機械や水素エンジンを搭載した建築機械を導入する動きも見られます。

低炭素の建設機械は普及に向け国土交通省が認定制度の創設を検討している段階です。「低炭素型建設機械」 として認定された建設機械を取得する場合、国土交通省の融資制度を受けられる可能性があるため、今後の展開に関しては国土交通省の発表を確認しましょう。

なお、水素は建築機械のエンジン以外にも発電などに活用されています。水素エンジンをはじめ脱炭素における水素の活用に関して知りたい人は「水素と脱炭素の関連性は?エネルギー源としてのメリット・デメリットも解説」を参考にしてください。

低炭素素材の使用や工法の工夫

施工時の脱炭素に向けた取り組みとして、低炭素素材の使用や工法の工夫によってCO2排出量を削減する方法があります。

たとえば低炭素型コンクリートの活用によって、CO2排出量を削減する取り組みがあります。低炭素型コンクリートはセメント製造時の材質の一部または大部分を産業副産物である混和材に置き換えたものです。

また、工数自体を短縮しCO2を削減する方法があります。プレキャストは橋脚等の柱部材などを架設場所以外の場所で制作して運搬する工法で、工数そのものを短縮することで建設機械等により排出されるCO2排出量を削減 できます。

なお、低炭素素材の選定を含めた設計段階における脱炭素への取り組みとしてはZEB化の促進なども挙げられます。ZEBの種類や定義などに関しては「ZEBとは? 知らないと乗り遅れるZEBの基礎知識」を確認してください。

建設業界に関連する脱炭素への取り組み事例

建設業界に関連する脱炭素の取り組み事例が複数あります。

たとえば、ICT施工によるCO2削減が挙げられます。ICT施工とは建設現場における作業効率化を図るシステムのことで、作業効率化による工数削減で建設現場全体としてのCO2を削減します。

また、事業活動における直接的なCO2削減ではなく、グリーンプロジェクトの実施による取り組みもあります。グリーンプロジェクトとは、「脱炭素事業」のことで業種を問わず取り組みが進められています。

建設業界に関連するグリーンプロジェクトは、再生可能エネルギー事業や住宅や建築物の年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにするZEH化やZEB化への対応が挙げられます。

なお、企業として行うべき脱炭素への取り組みに関して知りたい人は「脱炭素社会に向けて企業が取り組むべきことは?必要な理由や事例も解説」を参考にしてください。

まとめ

建設機械によるCO2排出量の多さは、建設業界における脱炭素の課題です。電動化など建設機械の低炭素化は国土交通省が認定制度の策定を検討している段階です。

建設業の脱炭素における課題解決策となる取り組みには「CO2排出量の把握」「低炭素建設機械の導入」「低炭素素材の使用や工法の工夫」が挙げられます。まずはCO2排出量を把握することによって、優先的に対応できる工程が明確化します。

施工段階での脱炭素に向けた取り組みとして「低炭素建設機械の導入」「低炭素素材の使用や工法の工夫」を検討してみてください。建設機械やコンクリートの製造に伴うCO2排出量などを削減できるでしょう。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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