基礎情報
2024/1/14 2024/11/21
建築業がSDGsの目標に向けてできる取り組みを解説
SDGsとは、国連が定めた環境保全、経済成長、社会的公正を目指す国際的な目標であり、建設業界にもかかわりの深い項目があります。建設業界におけるSDGsへの取り組みには、エネルギー効率の高い建材の使用、廃棄物の削減、リサイクルの促進、労働環境の改善などが含まれます。
本記事では、SDGsとは何か解説し、SDGs達成に向けて建設業ができる取り組みを具体的に解説します。建設業がSDGsに取り組むメリットや事例なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
SDGsとは17の持続可能な国際目標のこと
SDGsとは、2015年に国連総会で採択された17の持続可能な国際目標のことです。SDGsは気候変動への対策や貧困、格差などに関する17の目標が設定されており、それぞれの目標には169のターゲット(達成基準)と232の指標が定められています。
SDGsの17の目標は2030年までの達成を目指しており、貧困の撲滅、地球保全などすべての人が平等に平和と豊かさを享受できるようになることを目的に定められました。SDGsは目標の実現に向けて「地球を守る」「人間を守る」「繁栄」「平和」「パートナーシップ」に関する5つの決意を宣言しています。
2015年の採択後、SDGsの達成に向けた世界的な取り組みが始まりました。日本でも2016年に総理大臣を本部長、官房長官、外務大臣を副本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置し、国内実施と国際協力の体制を整えています。
なお、SDGsの目標には、脱炭素をはじめとした気候変動に関する目標も複数含まれていますので、脱炭素に関連するSDGsの目標について知りたい方は『SDGsと脱炭素の関連性と取り組み事例について』を参考にしてください。
SDGsと建築業の関係性
SDGsと建築業には深い関係があります。SDGsの17個の目標すべてについて、建築業が貢献できることはありますが、特に3つの目標について直接関係性があります。
引用:国際連合広報センター
具体的にはSDGsの目標の9番・11番・12番に、建築業と密接な関係があります。
- 9番:産業と技術革新の基盤を作る
- 11番:住み続けられるまちづくり
- 12番:作る責任・使う責任
9番については、インフラの整備や技術開発を通して基盤を作っていくことが可能です。またより良い建築を作っていくことで、持続可能な社会を実現できるのが11番であり、さらに12番を徹底することによって、環境に配慮し責任を果たしていくことが可能です。
このように、SDGsと建築業については深い関連性があり、建築業が積極的にSDGsを推し進めることで社会や環境の問題を改善していくことができるのです。
SDGsの目標において建設業ができること
SDGsとして設定されている17の目標において建設業ができることがあります。東京都はホームページで建設業が直接取り組みやすい目標だけでなく、17のすべての目標における取組の例を「東京SDGsボード」で公表していますので、この取組例をご紹介いたします。
【SDGs 17のゴールと建設業ができる取り組み】
目標 | 取り組みの例 |
---|---|
1.貧困をなくそう |
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2.飢餓をゼロに |
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3.すべての人に健康と福祉を |
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4.質の高い教育をみんなに |
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5.ジェンダー平等を実現しよう |
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6.安全な水とトイレを世界中に |
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7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに |
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8.働きがいも経済成長も |
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9.産業と技術革新の基盤をつくろう |
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10.人や国の不平等をなくそう |
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11.住み続けられるまちづくりを |
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12.つくる責任つかう責任 |
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13.気候変動に具体的な対策を |
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14.海の豊かさを守ろう |
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15.陸の豊かさも守ろう |
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16.平和と公正をすべての人に |
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17.パートナーシップで目標を達成しよう |
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この建設業の取り組み例の中ではたとえば、「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」では、ZEHや省エネおよび創エネの普及促進を挙げています。また「12.つくる責任つかう責任」「15.陸の豊かさも守ろう」では、建設資材や工法においてできる取り組みがあります。建設業では、7、12、15の目標と相性がよく、積極的な取り組みが期待されています。
また、建設業ではSDGsの17ある全ての目標に関して取り組めるため、現場や雇用など幅広い観点でできることを確認してみてください。
企業がSDGsに取り組むメリット
建設業に限らず、企業がSDGsに取り組むことで以下のようなさまざまなメリットを得られる可能性が高まります。
【建設業企業がSDGsに取り組むメリット】
- ビジネスチャンス、企業価値向上
- 投資や雇用において有利になる可能性が高まる
- 省エネなどによるコスト減
- 自治体の登録や認証の取得で入札加点になる地域もある
企業がSDGsに取り組むことによって新規事情の獲得などビジネスチャンスにつながる可能性があります。また、SDGsに取り組んでいる企業として企業イメージや企業価値が向上したり、投資を受けたり有能な人材を獲得しやすくなったりするなど企業力を高め、企業成長を図れる場合もあります。
さらに、省エネによるコスト減や自治体の登録やエコアクション21 やISO 14001などの認証取得で入札加点になる地域もあるなど、SDGsに取り組むことは、企業にとってさまざま面でメリットがあるといえるでしょう。
ビジネスチャンス、企業価値向上
建築企業がSDGsに熱心に向き合うことにより、企業の価値が向上してビジネスチャンスとなる可能性があります。なぜなら、SDGsに取り組んでいる企業だと広まれば、企業イメージが向上するからです。建築を発注する企業は、SDGsを意識している企業を選択するようになってきています。社会・経済・環境に配慮した企業と、そうではなく自社事業の利益だけを考えている企業とでは、企業価値も異なると判断されるようになってきているのです。
SDGsに資するサービス・事業を展開していくことによって、多くの賛同が得られ、結果的に企業・事業の利益につながっていきます。SDGsに取り組むことで、新規事業が舞い込んでくる可能性が高まるのです。
すぐに結果にはつながらないかもしれませんが、SDGsへの取り組みによるビジネスチャンスを狙い、事業展開を行っていくと良いでしょう。
投資や雇用において有利になる可能性が高まる
建築業者がSDGsに取り組むことで、投資や雇用の場面で利益が発生する可能性があります。投資家や技能労働者の中で、SDGsに関心を持っている人が増えてきているからです。例えば、企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内)の調査によれば、技能労働者の中で20代の若者はSDGsに大きな興味を抱いています。特定分野の事業だけでなく、社会全体の課題解決に意欲的な若い人が増えているのです。
建築業においては、次世代の育成・若者の採用面で苦戦していますが、SDGsに取り組むことで若い層の雇用を増やしていくことができるかもしれません。投資面でも同様のことがいえます。社会的課題への貢献に興味を持つ投資家が増えているため、SDGsに資する企業への投資がより一層増えていく可能性があるのです。SDGsへ取り組むことで、投資や雇用の面で他社と差をつけていくことができるかもしれません。
省エネなどによるコスト減
建築業でSDGsに取り組むと、省エネなどによりコストを削減することができます。たとえば、省エネを実現する設備を導入すると、国や地方自治体などから補助金を受け取ることができるケースがあります。この場合は、ダイレクトに経費を減らすことが可能です。ZEH(ゼッチ)と呼ばれるエネルギー消費量を実質的にゼロにした省エネ住宅を建築すると、補助金を受け取ることができます。住宅ローンの優遇措置もあるため、顧客にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。
他にも、省エネを意識することで、各種のランニングコスト・経費が削減できます。エネルギー費が高騰している今、省エネは大きな効果があるコスト削減策といえるでしょう。
自治体の登録や認証の取得で入札加点になる地域もある
SDGsに取り組む建築業者については、各自治体が入札加点となることがあります。すべての自治体が導入しているわけではありませんが、多くの自治体がSDGs取り組みを入札加点としているのです。具体的には、SDGs登録制度・SDGs認証などといった登録・認証が取得可能です。登録や認証を取得することで、10点など大きな入札加点を受けることができます。
自分の地域が入札加点となるかどうかについては、「自治体名+SDGs+入札」などでインターネット検索すると分かります。登録や認証においては、特別な費用はかからず無料で申請可能です。
建築業において入札加点は大きな魅力でしょう。建築業者がSDGs対策を講じる大きなメリットといえます。
企業がSDGsに取り組まないことによるデメリット
一方で、企業がSDGsに取り組まないことによるデメリットも存在します。
【建設業がSDGsに取り組まないことによるデメリット】
- 消費者や求職者の判断基準としてマイナスになる可能性がある
- 投資において不利になる可能性がある
たとえば、SDGsに取り組んでいない企業として消費者がサービスを選ぶ際や、求職者が応募先として選ぶ際の判断基準から外れてしまう可能性もあります。さらに、SDGsに取り組んでいないことによって企業としての信用度が低いと判断され、投資などにおいて不利になる可能性もあります。
SDGsに取り組まないことによって環境や社会への配慮ができないだけでなく、企業としての利益や成長が阻まれる可能性もあるといえるでしょう。
消費者・求職者向け
企業がSDGsに取り組まなかった場合、消費者・求職者に対する企業としての魅力を訴求できない可能性が高まります。
なぜならば、SDGsには、「ジェンダー平等の実現」「働きがいも経済成長も」な「住み続けられるまちづくりを」などの目標が含まれており、これらを含むSDGsに向けた取り組みを行う企業に消費者や求職者は好感を持つ傾向があるからです。
たとえば、リクルーティングサイトを運営する企業が行った調査によると、SDGsに取り組む企業に対する「好感」を示す学生は87.1%でした。また、消費者庁による「令和4年度第3回消費生活意識調査」では、「同じようなものを購入するなら環境や社会に貢献できるものを選びたい」と回答した消費者は 53.8%と半数以上に上っていました。このことからも消費者の多くがSDGsへ関心を持っており、企業のSDGsへの取り組みを肯定的にとらえていることが分かります。
引用:令和4年度第3回消費生活意識調査結果について|消費者庁
このように、SDGsへの取り組みを行っていないことによって、採用活動における優秀な人材を獲得できる可能性や、同業他社との競争において消費者に自社の商品やサービスを選んでもらうきっかけを逃してしまう可能性があるといえるでしょう。
投資家・金融機関向け
企業がSDGsに取り組まなかった場合、投資家や金融機関からの評価において不利になってしまう可能性があります。なぜならば、社会課題を解決するための取り組みであるSDGsに対応していない場合、投資や融資を受ける際の評価において事業継続性に難点がある企業と見なされるためです。
今までは、企業価値をキャッシュフローや利益率で判断していました。しかし、2006年に提唱された責任投資原則(PRI)によって、従来の財務的価値に加えて、非財務的なSDGsといった取り組みを評価すべきという考えが投資家に浸透してきています。
事業拡大を計画する際にSDGsへの取り組みが事業計画に盛り込まれていないと、目標とする額の資金調達が困難になる場合もありますので、SDGsに対応していることは企業にとって重要になりつつあります。
なお、投資家や金融機関に限らずベンチャーキャピタルやクラウドファンディングによる資金調達においても、企業の将来性を測るひとつの指標として「SDGsへの取り組み」は欠かせないものとなっています。これらの理由で建設業界のみならず多くの業界でSDGsへの取り組みが注目されています。
建設業が行えるSDGsへの取り組み事例
建設業がSDGsの取り組みを進める際に参考になる事例があります。
【建設業のSDGsへの取り組み事例】
目的 | 事例 |
二酸化炭素地中貯留技術の開発 |
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ZEBの推進 |
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再生可能エネルギーの活用 |
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たとえば、SDGsの取り組み事例として、工場や発電所等の排気ガスからCO2を分離および回収し、地中に圧入する技術開発が挙げられます。また、省エネと創エネによって消費する建物の消費エネルギーを実質ゼロにするZEBの推進によって脱炭素を目指す方法や、再生可能エネルギーを集放熱源とする、低コストかつ高効率なヒートポンプシステムの研究開発を行っている事例もあります。
他にも、SDGsの目標の一つである「11.住み続けられるまちづくりを」の実現に向け、雨水流出抑制とヒートアイランド現象緩和するための技術開発を行った企業があります。「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」を目指し、工事に伴う交通規制などのソーシャルロスを大幅に低減するための「工程短縮」や、専用の床版撤去・架設機など「安全施工」を行っている企業もあり、建設業界では様々な企業がSDGsの取り組みを進めています。
なお、SDGsへの取り組みを「宣言書」として策定している企業も複数あります。SDGsの宣言書を作成したい企業は、「宣言書」において中長期的な目標として行える開発目標と具体的な方法を表明し、施策を検討してみてください。
事例①『建設業界の先駆者である大成建設のSDGsへの取り組み』
大成建設株式会社(以下大成建設)は、2020年に政府が脱炭素社会実現を宣言した以前より、環境問題をSDGsにおける重要な課題ととらえ、10年以上にわたり環境経営を推進してきました。大成建設では、SDGsの「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」「13.気候変動に具体的な対策を」をメインに取り組んでいます。
たとえば、同社では、全作業所での冷暖房温度の抑制やアイドリングストップや施工現場でのCO2排出削減、全社員のCO2削減に向けた活動の状況を定量評価できるシステムを導入するなど、「13.気候変動に具体的な対策を」の達成に向けて、サプライチェーン全体を通して取り組めるようなさまざまなアクションを実行しています。
また、AIによる建設現場のCO2排出量計測・集計システムを開発し、建設現場で活用することによって「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」に取り組んでいます。さらに、同社では、現場に入退場する車両の映像と人工知能(AI)によって車両種別ごとの燃料使用量を把握するシステムを開発し、現場での試行を開始しています。
このように、大成建設ではサプライチェーン全体での2050年カーボンニュートラル達成を長期目標に掲げ、環境経営を行いながらSDGsへの取り組みを進めている企業事例といえるでしょう。
参照:大成建設株式会社の環境経営の秘密:脱炭素社会に向けた取り組みとサステナビリティ戦略 #01(前編)|CO2メディア by RVSTA
事例②『環境経営の中で行うSDGsへの取り組み』
「パパの会社はSDGsについてどんなことをしているのか教えて」と聞かれて答えられなかった、という社員の声がSDGsに向けた本格的な取り組みのきっかけとなった企業の事例があります。
りんかい日産建設では、子供からの問いかけに対して自社のSDGsへの取り組みを答えられなかった、という社員からの声を受け、本格的なSDGへの取り組みがはじまりました。
同社では、自然にインパクトを与える建設業だからこそ行うべき環境への「緩和と適応」をテーマに、SDGsの「13.気候変動に具体的な対策を」をメインに取り組んでいます。
現場でのCO2排出量の削減を目指すべく、CO2排出量の計測や数値化を行うことにしました。計測できないものは管理できない、という判断のもと、サプライチェーン排出量における「上流」での将来的な原材料の選択の可能性なども見据え、スコープ1,2,3のすべてを把握するようにしています。
また、2022年を同社の「サステナビリティ経営元年」とし、部門を横断した「RN THE FUTURE PROJECT」を発足しました。このプロジェクトは、2030 年SDGs達成や2050年のカーボンニュートラル実現を目標に、社員の意識改革につながるSDGs勉強会をはじめ、社員とステークホルダー全体の行動力になるような実践的な取り組みを推進しています。
参照:「緩和と適応」―建設会社が環境へ与えるインパクトにどう向き合うのか。りんかい日産建設が取り組むCO2削減とサステナビリティ経営(前編)|CO2メディア by RVSTA
事例③『SDGsにもつながるZEH・ZEB化への取り組み』
建設業では住宅やビルなどの運用段階におけるCO2 削減を行うZEH・ZEB化によってSDGsの「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を達成しようという試みがみられます。ZEH・ZEBは、省エネと創エネによってそれぞれ住宅やビルなどの年間の一次エネルギー消費量を収支ゼロにする建築物のことです。
たとえば、大和ハウスグループでは2050年までに「まちづくり」におけるカーボンニュートラル実現を目指し、すべての建物への太陽光発電設備の設置や、新築の建築物全棟を対象とした2030年までのZEH・ZEB化を推し進めています。
また、三井ホーム株式会社は、ZEHを進化させた「LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅」を推進していくことを明らかにしています。「LCCM住宅」は、住宅建設時から解体および廃棄までのライフサイクルにおけるCO2排出量を収支ゼロにする住宅のことで、2030年のZEH・ZEB水準への適合義務化に対応し、建設業での脱炭素実現に貢献するものとして期待されています。
なお、その他の脱炭素への取り組みを通した建設業のSDGsへの取り組みを知りたい方は「令和5年度まとめ 建築業界大手の脱炭素の取り組み先進事例5選!」を確認してみてください。
SDGsの建築に関するよくある質問
以下では、建築業界とSDGsに関して、よくある質問と回答を紹介します。建設業でのSDGs取り組みに関して疑問点がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
建築とSDGsの関係は?
建築業とSDGsには密接な関係があります。SDGsが目指している17個のゴール(目標)それぞれについて、建築業者ができることがあるのです。建築物や社会インフラを整備し管理していく建築業は、持続可能な社会の実現に直接関係しているともいえるでしょう。SDGsの17個のゴールのうち、3つは建築業と直接的な関係があります。
- 9番との関係:産業などの基盤を建築していくことで技術革新に寄与する
- 11番との関係:持続可能な状態で住まえる建築物を作っていく
- 12番との関係:環境負荷の少ない建築をつくることで責任を果たす
他にも、SDGs達成のために建築業ができることは多数あります。建築業は、社会・経済・環境を建築を通して直接的に良くしていくことができるのです。
建設業がSDGsに取り組むべきなのはなぜですか?
建築業・建設業は積極的にSDGsに取り組むべきです。社会的な責任を果たすという理想のためだけではありません。建築業がSDGsに取り組まないことで、経営上の大きなデメリットが生じてしまうからです。まず、消費者・技能労働者などが、SDGsに無関心な企業だとしてマイナス評価を下す可能性があります。
現代において、社会問題に興味が薄いと思われてしまうような企業は、時代遅れだとして敬遠されてしまいかねません。また、投資や融資などの場面で、事業の継続性に問題がある企業とみなされる可能性もあります。持続可能な事業を行うことが重要なのです。このように、SDGsに取り組まないことでデメリットがあるからこそ、建築業者はSDGsに真摯に取り組むべきなのです。
SDGsにおける建設コンサルタントの役割は?
SDGsのゴールを達成する場面で、建設コンサルタントは非常に重要な役割を担っています。SDGsは17個の目標と169個のターゲットからなる複雑な開発目標です。建設コンサルタントは、複雑なSDGsに精通することで、建設業界とさまざまな業界をつなぐことができる職種だといえるでしょう。
社会にはさまざまな業種がステークホルダー(利害関係者)として存在しています。建設コンサルタントはこれらの業種と連携し、社会課題を解決に導いていくことができるのです。
SDGsの建設業のCO2削減目標は?
建設業・建築業はSDGsにしっかり取り組むために、CO2削減目標を設定しています。具体的には日本建設連合会が「建設業の環境自主行動計画」において、「CO2排出量を2030〜2040年の早い時期に2013年度比で40%削減する」という中間目標を設定しました。
長期目標としては、「施工段階におけるCO2排出量を2050年までに実質ゼロとする」という目標が設定されています。CO2排出量が比較的大きい工業分野だからこそ、理想とする目標を設定し、その実現のための取り組みを推進しようとしているのです。
まとめ
SDGsとは、2015年に国連総会で採択された17の持続可能な国際目標のことです。建設業界におけるSDGsへの取り組みは、省エネ技術の導入やリサイクル可能な材料の使用、効率的な物流管理など、具体的なアプローチが含まれます。
建設業に限らず企業がSDGsに取り組むことによって、企業価値を向上させ、投資や雇用において有利になる可能性が高まり、省エネなどによるコスト減も見込めるでしょう。また、建設業に限らずSDGsに取り組まない企業は、環境や社会への配慮ができないだけでなく、企業としての利益や成長が阻まれる可能性などのデメリットが生じる可能性もあります。
技術開発や工数短縮などによってSDGsへの取り組みを進めている建設業の事例も複数見られます。SDGsへの取り組みを「宣言書」として策定している企業も複数あります。SDGsの宣言書の作成は、開発目標と具体的な方法を表明し、中長期的な目標として施策を検討してみてください。
建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。
リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。
この記事の監修
リバスタ編集部
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。
「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
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