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時計 2023/9/20 アップデート 2024/2/27

令和5年度まとめ 建築業界大手の脱炭素の取り組み先進事例5選!

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

日本国内で排出される温室効果ガスのうち、住宅やビルなどの建築物に関連する割合は全体のおよそ1/3であり、そのほとんどは完成した建築物の運用段階におけるCO2排出によるものです。

建築物は一度完成すると長期間にわたって利用され、CO2を排出し続けます。
この点だけでも日本政府が宣言した「2050年カーボンニュートラル」を達成するうえで、建築業界が果たすべき役割は小さくありません。

今回は建築分野でも加速している脱炭素への取り組みについて、大手企業の最新事例を交えながらご紹介します。

建築業界におけるCO2排出動向

建築業界が排出するCO2の多くは工事現場に由来します。
工事現場から排出されるCO2は建設機械や発電機の燃料消費、仮設照明や現場事務所の空調などのために購入する電力によるものです。

日本建設業連合会による「2021年度CO2排出量調査報告書」によると、2021年度に会員企業56社の工事現場から排出されたCO2は247万トン(推計)であり、統計を取り始めた1990年度からは6割近い減少となっています。

建築業界における脱炭素への取り組み事例

建築業界が取り組んでいる脱炭素への取り組みは、ZEBやZEHに代表される運用段階での排出量削減を考慮した設計、施工時における排出量の削減、グリーン購入や低炭素・脱炭素資材の開発などです。

大手を中心に進んでいる脱炭素への最新事例について見てみましょう。

① 三井住友建設が四国支店で完成させたZEBモデル社員寮

「2050カーボンニュートラルに向けたロードマップ」を推進している三井住友建設株式会社(以下 三井住友建設)では、年間の一次エネルギー収支をゼロ化するZEB建築の実証モデルを2023年1月に完成させました。

顧客への提案モデルとして同社四国支店の社員寮「大志寮」(愛媛県新居浜市)をZEH-M化したもので、環境配慮設計により一次エネルギー消費量を38%削減することに成功、さらに太陽光発電設備に蓄電設備と蓄熱設備を組み合わせることにより太陽光発電量の100%自家消費を実現しています。

三井住友建設では「大志寮」をモデルとして環境配慮設計の展開と提案を積極的に進めることで脱炭素社会の実現に貢献する方針です。

② 鹿島建設×住友林業による大型木造建築「ジューテック本社ビル」

鹿島建設株式会社は2023年3月に東京都港区で初めてとなる耐火木造建築物「ジューテック本社ビル」を完成させました。地下1階地上8階建てのビルには、純木質耐火集成材「FRウッド®」が使用されています。

多くのCO2を固定できる木質素材の活用は建築分野における脱炭素へのキーワードの一つとなっており、木造建築の大型化に向けた技術開発が大手ゼネコンを中心に進んでいます。

「ジューテック本社ビル」が固定するCO2は126.8トンであり、これは414本分のスギが約40年かけて吸収するCO2量と同等です。港区に小さな森林が生まれた効果があります。

各社の技術開発により今後も木質・木造建築の大型化が進むと見られています。また、国産木材の使用は新たな植林を生み、森林の成熟化によって今後のCO2吸収量が減少する日本の森林を若返らせる二次的効果も期待できます。

③ 竹中工務店の工事現場は、再生可能エネルギー由来のグリーン電力を採用

株式会社竹中工務店(以下 竹中工務店)は同社グループ全体のCO2削減目標達成に向け、2023年2月以降に着工した工事現場において、原則として再生可能エネルギー由来のグリーン電力を採用しています。

同社の作業所から排出されるCO2のうち、Scope1(重機などの稼働に使う軽油由来)が約75%、Scope2(タワークレーンや場内照明、仮設事務所などに使う電力由来)が約25%であり、積極的にグリーン電力を採用することで、Scope2におけるCO2排出量の削減を目指しています。

さらにScope 1についても、今後バイオマス燃料および水素燃料等を採用することで、CO2排出量削減を目指す方針です。

また同社の工事現場においては、CO2削減長期目標達成に向け、意識向上を図るべく、「CO2排出量モニタリングシステム」の導入および、仮囲いのある工事現場には「チャレンジ!ゼロCO2」をうたった看板やステッカーの表示を2月1日より開始しています

④ 大和ハウスグループが進める「まちづくり」でのカーボンニュートラル

大和ハウスグループでは自社販売する住宅やマンション、商業・事業施設のネット・ゼロ・エネルギー化と再生可能エネルギーを供給することにより、2050年までに「まちづくり」におけるカーボンニュートラル実現を目指しています

原則、すべての建物に太陽光発電設備を設置し、2030年までに新築の建築物全棟をZEH・ZEB化します。
分譲マンション事業では当初目標よりも2年前倒しして、2024年度から「プレミスト」全棟をZEH-M化することを既に決定しました。

自社施設では新築施設の原則ZEB化や、既存施設の省エネ設備更新や運用改善などを継続し、「EP100」で掲げる“エネルギー効率2倍”の目標達成を目指します。

同時に、使用する電力をグループで保有・運営する再エネ発電所由来の再エネ価値を活用することで「RE100」を実現、「EP100」との合わせ技により、SBTで認定された2050年ネットゼロの達成を目指しています。

また、大和ハウスグループでは2025年度までに主要サプライヤーの90%以上とSBT水準のGHG排出量削減目標を共有するといった野心的な計画にも取り組んでいます。
建物のZEB化や再エネ事業にいち早く取り組んできた同社の特性は、カーボンニュートラルに向けた今後の取り組みに大きく寄与するものと見込まれています。

⑤ 三井ホームが推進するカーボンマイナスな木造住宅

三井ホーム株式会社(以下 三井ホーム)は2023年2月、住宅の建設から解体・廃棄までのライフサイクルにおいてZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)をさらに進化させたカーボンマイナス住宅の提案をより積極的に推進すると明らかにしました。

建築業界が2025年の省エネ基準、2030年のZEH・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)水準への適合義務化を控えている中、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅の提案を積極的に推進することで脱炭素社会の実現に向けて貢献します。

三井不動産グループとして早くから環境配慮型住宅の提供に取り組んできた三井ホームは、1985年に「優良省エネルギー住宅」の認定を取得して以来、自然の力を利用する【パッシブデザイン】とエネルギーをコントロールする【アクティブ技術】を融合させた住宅の提案を進めてきました。

「三井ホームのLCCM」は、三井ホームが長年にわたり培ってきた環境配慮技術から生まれたものです。
2050年カーボンニュートラルに向けて木質系建築物へ需要が高まる中、環境に対する同社の先進的な取り組みは環境意識の高い購買層において新たな需要を掘り起こす可能性があります。

まとめ

2050年カーボンニュートラル宣言によって加速した脱炭素への流れは、建築業界にも多くの課題を与えています。
今や脱炭素への取り組みは企業や団体にとって必要不可欠な条件の一つとなってきています。

これまでは大手企業が中心となって進展している建築業界における脱炭素社会への取り組みは今後、中小・零細企業へと拡がっていくことでしょう。
大切なことは企業経営者や生活者個人がSDGsや脱炭素についてのリテラシーを高めることにありますが、建築業界特有のピラミッド構造が拡散の契機になると見込まれています。

大手企業がScope3のカテゴリーに本格的に手を付けることにより、取引先となる中小企業やその先の企業まで脱炭素問題に意識を向ける社会がそこまで来ています。
建築業界全体が脱炭素に積極的に取り組んでいけるように、や適正な体制を構築できるかが重要なポイントとなるでしょう。

リバスタは、建設業界のCO2排出量の算出や脱炭素の支援に取り組んでいます。ぜひお気軽にご相談ください。

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出典まとめ:

(一社)日本建設業連合会「2021 年度 CO2排出量調査報告書

三井住友建設株式会社 「年間エネルギー収支ゼロ『ZEH-M』を実現した社員寮が完成

ジューテックホールディングス株式会社
鹿島建設株式会社
住友林業株式会社
木に包まれたオフィス「ジューテック本社ビル」完成

林野庁 「よくある質問

株式会社 竹中工務店 「CO2削減長期目標達成に向け、全ての作業所でグリーン電力を積極的採用

株式会社 竹中工務店 「竹中グループCO2削減長期目標を設定 2023年度中のSBT認定取得を目指す

大和ハウス工業株式会社 「まちづくりでの脱炭素

三井ホーム株式会社 「三井ホームはLCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅を推進します」

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