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時計 2023/11/17 アップデート 2024/5/2

カーボンオフセットとは?仕組みや取り組み方法を解説

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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カーボンオフセットとは、CO2をはじめとする温室効果ガス削減に向けた取り組みを行っても削減できなかった温室効果ガスを他の削減活動によって埋め合わせることです。
カーボンオフセットは、脱炭素の実現に向けた施策のひとつとして国内外で取り組みが進められています。

当記事ではカーボンオフセットの概要や、具体的な取り組み方法を解説します。
企業におけるカーボンオフセットの事例も紹介するのでぜひ参考にしてください。

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カーボンオフセットとは排出したCO2を埋め合わせる取り組みのこと

カーボンオフセットとは、日常生活や経済活動において排出したCO2を、他の場所で実施するCO2削減活動に投資して埋め合わせる取り組みのことです。

具体的には、CO2の排出削減に向けた取り組みを行ったうえで削減しきれなかった排出量に見合う植林や森林保護、太陽光発電の導入など温室効果ガス削減活動に投資を行い、その分をクレジット(排出権)として購入し、CO2排出量の埋め合わせをするという考え方です。

カーボンオフセットには環境問題や脱炭素への対策をはじめ、複数の目的があります。 

【カーボンオフセットの目的】

  • 温室効果ガスの削減
  • 環境負担の軽減
  • 資金調達における優位性

カーボンオフセットに取り組むことによって、事業者などが自らの活動によって排出している温室効果ガスを間接的に削減可能です。

カーボンオフセットを利用して自社の温室効果ガス排出量を削減することは、環境問題への取り組みを行っている事業者として投資家や評価機関からの評価を得られる可能性が高まることから資金調達においても優位になる場合があります。

カーボンオフセットに取り組むことによって、省エネ設備などで抑えきれなかったCO2排出量を別の手段で間接的に埋め合わせ、排出したCO2を実質ゼロとすることが可能です。

カーボンオフセットとカーボンニュートラルとの違い

カーボンオフセットとカーボンニュートラルは、それぞれ取り組みの目的が異なります。
カーボンオフセットは、カーボンニュートラル実現のためのひとつの手段です。

【カーボンオフセットとカーボンニュートラルの違い】

用語 カーボンオフセット カーボンニュートラル
目的 カーボンニュートラルの実現 温室効果ガス排出量を実質ゼロにする
取り組みの概要 温室効果ガスの排出削減の取り組みで、削減しきれなかった量に見合う他者の削減活動への投資などにより排出量を埋め合わせる 温室効果ガスの排出量から植林、森林管理などによる吸収量を差し引き、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする
取り組みの対象 家庭、企業、自治体、国など 家庭、企業、自治体、国など世界全体

カーボンオフセットは「カーボンニュートラルの実現」に向け家庭や企業、自治体などで行われる取り組みであるのに対し、カーボンニュートラルは「温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」世界的な取り組みです。

カーボンニュートラルとは、再生可能エネルギーの普及等により化石燃料の使用を削減することで温室効果ガスを削減すると共に、温室効果ガスの排出量から植林、森林管理などによる吸収量を差し引き、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることです。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて2015年にパリ協定が採択され、世界共通の長期目標として各国で取り組みがなされています。

カーボンオフセットとカーボンニュートラルは、いずれも地球温暖化の抑制を目指すために温室効果ガスの排出量を削減する取り組みですが、それぞれの目的や具体的な取り組みの内容が異なります。

カーボンオフセットの仕組み

カーボンオフセットは、複数の段階を経て成り立ちます。環境省では「カーボン・オフセット ガイドライン Ver.2.0」において3つの取り組みによる実施を推奨しています。

【カーボンオフセットの仕組み】

取り組み 概要
1        知る <CO2排出量の把握>

  • 自らの活動による温室効果ガス排出量の算定
2        減らす <CO2排出量の削減>

  • 自らの活動による温室効果ガスの削減努力
3        オフセット <削減しきれないCO2排出量の埋め合わせ>

  • ほかの温室効果ガス削減、吸収への取り組みに対する資金提供

カーボンオフセットに取り組む場合、まずは「目的」「効果」「費用」「人材」などの項目を把握し、予算を検討することから始めましょう。そのうえで、個人や事業所におけるCO2排出量を把握します。

さらに、CO2排出量の基準を定め、省エネや創エネなどCO2排出量を削減するための取り組みを行うと共に、基準を超過した分をオフセットにより相殺します。
このように、カーボンオフセットは、CO2の排出削減および植林等による吸収を目的とした活動への投資によって、成り立つ仕組みになっています。

なお、企業がカーボンオフセットへの取り組みを実施した場合は、消費者等の理解を得るために「知る」「減らす」「オフセット」の具体的な内容に関して情報公開する必要があります。
公開するべき情報に関しては環境省の「環境表示ガイドライン」を参考にしてください。 

カーボンオフセットの取り組み方法

カーボンオフセットに取り組む場合、複数の方法があります。カーボンオフセットの取り組みには、いずれも「温室効果ガス排出削減・吸収プロジェクト」として認証されたクレジットが用いられ、クレジットの売買によってオフセットを成立させます。

【カーボンオフセットの取り組み方法】

方法 取り組みの概要
製品・サービス <オフセットを行う主体>
製品の製造者、販売者、サービス提供者<オフセットの対象>
製品製造およびサービス提供に伴う温室効果ガス排出量
会議・イベント <オフセットを行う主体>
会議・イベントの主催者<オフセットの対象>
開催に伴う温室効果ガス排出量
自己活動 <オフセットを行う主体>
事業活動を行う組織など<オフセットの対象>
事業活動に伴う温室効果ガス排出量
クレジット付製品・サービス <オフセットを行う主体>
製品の製造者、販売者、サービス提供者<オフセットの対象>
製品およびサービスの購入者、イベント来場者の日常生活に伴う温室効果ガス排出量
寄付型オフセット <オフセットを行う主体>
製品の製造者、販売者、サービス提供者<オフセットの対象>
特定の排出量を対象としない
※地球温暖化防止活動への貢献や資金提供を目的に参加者を募る

参照:
農林水産省「カーボン・オフセット
環境省「カーボン・オフセット ガイドライン Ver.2.0

国内では2013年から環境省、経済産業省、農林水産省が運営するJ-クレジット制度が施行されています。

J-クレジット制度は、カーボンオフセットの一環である「温室効果ガス排出削減活動」「森林整備」による温室効果ガスの削減量および吸収量を国が「クレジット」として認証し、カーボンオフセットの各取り組みにおいて取引を行える制度です。

また、カーボンオフセットは商品やサービスの事業者やイベント主催者、国による制度だけでなく、個人で取り組む方法もあります。
移動手段を電車から自転車に切り替えたり、遠隔地からの輸送時に発生するCO2排出量が少なくなるよう地産地消を心がけたりすることもカーボンオフセットへの取り組みといえるでしょう。

なお、自身の属性に応じたカーボンオフセットへの取り組みを確認し、具体的な進め方に関して知りたい方は環境省が公表している資料を参考にしてください。

カーボンオフセットの事例

カーボンオフセットはさまざまな業種で実施されています。

たとえば、国内の航空会社ではフライトによるCO2排出量と同量のCO2削減、吸収および回避を目的としたプロジェクトを展開しています。

国内各社が行っているカーボンオフセットでは、乗客自らが搭乗した航空便の区間や座席のクラスに応じたCO2排出量を算出し、同等のCO2削減・吸収プロジェクトへの寄付を行うことによって埋め合わせる仕組みを導入しています。

また、印刷業界では、印刷物製造時に排出されるCO2実質ゼロを実現しています。印刷業界のカーボンオフセットは、CO2クレジットの購入と水なし印刷や現像レスCTPなどの技術を組合わせて環境に配慮したモノづくりを行いながら林業等でのバイオマスによる環境事業に投資するなど、地域経済の活性化に貢献しています。

なお、カーボンオフセットの取り組み方法別に企業の事例を知りたい方は、経済産業省が公表している事例を参考にしてください。

まとめ

カーボンオフセットとは、温室効果ガス排出量が基準量を超えた分を「温室効果ガスの削減活動」への投資などによって埋め合わせることです。

カーボンオフセットには「温室効果ガス削減」「環境負担の軽減」「資金調達」など意義があり、脱炭素の実現に向けた取り組みのひとつとして一般的な家庭から企業や自治体などで行われています。

また、カーボンオフセットは「経済活動におけるCO2の排出削」「CO2吸収に関する取り組み」「CO2の削減および吸収を目的とした投資」などの段階を経て、クレジットを購入します。

カーボンオフセットの取り組み方法には、国が認証するクレジット購入以外にも複数の方法があります。脱炭素に向けた施策としてカーボンオフセットを検討している方は、経済産業省が公表している事例などを参考にしてみてください。

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