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時計 2023/11/20 アップデート 2024/7/22

令和5年度まとめ  マリコン業界の脱炭素の取り組み先進事例3選!

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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建築・土木業界が脱炭素の動きを一段と強めているなか、海洋土木業界(=マリコン業界)でも同様の動きが加速しています。海洋インフラでは、港湾や海上空港のように長期間にわたって多くの人々が利用する巨大建造物がほとんどを占めます。このため、国内の脱炭素目標を達成する上で、マリコン業界が果たすべき役割は小さくありません。

それでは、企業はどのような手法で脱炭素を推進しているのでしょうか。マリコン業界の脱炭素についてご紹介します。

マリコン業界でも進む脱炭素の動き

マリコン+脱炭素のテーマで最初にイメージされるのは、洋上風力発電です。太陽光に代わる再生可能エネルギーとして期待されている風力発電では、立地条件の難しさなどから建設サイトを陸から海へシフトする動きが広がっており、洋上風力発電所の施工は脱炭素に大きく寄与できる分野として注目を集めています。

(イメージ画像)

マリコン業界による脱炭素への取り組み事例

そしてマリコン業界の脱炭素の動きは洋上風力発電だけではありません。海洋工事のノウハウを生かし脱炭素を推進している企業が多数あります。今回はマリコン業界が推進する具体的な取り組みを3つご紹介します。

①りんかい日産建設、環境対応型作業船『八洲丸』を投入

りんかい日産建設株式会社は2023年5月、サスティナブルな視点から設計したバージアンローダー船『八洲丸(やしままる)』を竣工させました。

『八洲丸』は政府が策定した2030年度のCO2削減目標および、我が国の2050年脱炭素を達成するための『環境負荷対策船』として建造されており、脱炭素だけでなくNOx二次規制や海洋汚染対策などの面でも環境に配慮した最新仕様となっています。

『八洲丸』にはバイオ燃料に対応できる内燃機関が搭載されており、ウィンチはすべて電動化されました。停泊時は陸上からの受電が可能であり、船内電力のためにディーゼル発電機を作動させる必要がありません。船内の作動油に生分解性潤滑油を導入したことでも注目されています。

出典:りんかい日産建設株式会社「環境問題に対応した作業船「八洲丸」(やしままる)お披露目式が開催されました

②東亜建設工業、シンガポール共和国・トゥアス港コンテナ集積場及びバスターミナル建設工事を受注

東亜建設工業株式会社(以下、東亜建設工業)は、2022年度より経営企画本部にカーボンニュートラル推進部を立ち上げ、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

具体的には、東亜建設工業とシンガポールの建設会社が共同で、シンガポールのトゥアス港のコンテナ集積場とバスターミナルの建設工事を受注しました。

この工事は、東亜建設工業の中期経営計画で掲げている、海外工事における現地建設会社との協業や、ODA以外の工事拡大、多工種化の推進を実現するものとなります。

また、トゥアス港は、2040年代の完成を目指して開発が進められている中、開発・建設によるCO2排出量が課題となっています。今回の工事では、PSA社の方針に沿って、共同企業体から提案した低炭素型コンクリートの活用が採用されました。

これにより、トゥアス港の建設におけるCO2排出量の削減が期待されています。

東亜建設工業は、この工事の完成に向け着実に施工を行い、トゥアス港の発展に貢献するとともに、気候変動の緩和と気候関連問題への適応に向けた取り組みを進めています。

出典:東亜建設工業株式会社「シンガポール共和国・トゥアス港 コンテナ集積場及びバスターミナル建設工事を受注」

③若築建設、陸上風力発電施設の効率的な組み立て工法「ウインドブレイン工法」を開発

※以下は2023年1月13日にリリースされた内容をそのまま引用しています。

“ウインドブレイン工法の開発について

このたび若築建設株式会社は、大型化する陸上風力発電施設を効率よく組み立てられる「ウインドブレイン(wind-blade-install)工法」を開発し、施工実機の製作に着手しました。製作・試験に約1年を見込み、実現場へ適用は 2024 年度以降を予定しています。

ウインドブレイン工法は、4MW 級の風車をジャッキアップ式装置で組み立てるもので、従来工法で用いる移動式大型クレーンを必要としません。組立装置は、支柱、昇降ステージ(クライミング装置)、門型フレームで構成されており、中型クレーンによる部品の吊り込み以外は、自装置によるリフトアップで風車を組み立てます。ナセル、ブレードを含む各パーツを昇降ステージごとリフトアップしてステージ上で組み立てを行うことから、従来工法に比べ安全性が大きく向上します。

山岳地に 4.2MW の風車を5基建設するケーススタディでは、本工法の採用により建設サイトの面積を約 45%、建設コストを約 8%低減でき、全体工期についても同等または若干の短縮が見込めることを確認しています。また本工法を採用する大きなメリットとして環境負荷の低

減があげられます。建設サイト面積が約半分となることで森林伐採面積が約半分となり、用地造成工事に伴う CO2 排出も大きく低減することができます。”

引用:若築建設株式会社「ウインドブレイン工法の開発について 」

まとめ

建設業界の脱炭素の動きは陸上のみならず裾野を広げながら海上にも広がってきました。四方を海に囲まれている日本では、海と上手く付き合うことで脱炭素に弾みをつけることが可能です。

マリコン業界に与えられた使命は、豊かな海を守り、海を舞台に脱炭素へ貢献することです。その具体策が環境対応技術の開発・導入や洋上風力発電の建設であり、マリコン各社にとってのビジネスチャンスでもあります。

今回はマリコン業界の最新動向をご紹介しました。以下の記事では業界ごとに先進事例をご紹介しています。

土木業界編はこちら:「令和5年度まとめ 土木業界大手の脱炭素の取り組み先進事例4選!

建築業界編はこちら:「令和5年度まとめ 建築業界大手の脱炭素の取り組み先進事例5選!

リバスタでは、建設業における脱炭素の取り組みをサポートしています。脱炭素の取り組みに関することでお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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出典まとめ:

りんかい日産建設株式会社「環境問題に対応した作業船「八洲丸」(やしままる)お披露目式が開催されました

東亜建設工業株式会社「シンガポール共和国・トゥアス港 コンテナ集積場及びバスターミナル建設工事を受注」

若築建設株式会社「ウインドブレイン工法の開発について 」

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