セミナー情報

時計 2023/6/27 アップデート 2024/6/26

脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~
カーボンニュートラルの現状と背景

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

環境対策は企業の社会的責任の一つですが、建設業界でも脱炭素やカーボンニュートラルを目指す企業が増えています。

一方で、急速に進む脱炭素の流れに対して、とまどいや疑問を持つ企業もあるでしょう。そこで今回は、脱炭素やカーボンニュートラルの基本的知識と現状を解説します。SDGsとの関係も踏まえながら、建設業界でカーボンニュートラルが期待される理由と具体的な事例を見ていきましょう。

【基本】そもそも脱炭素やカーボンニュートラルとは?

脱炭素やカーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因となるCO2の排出量を抑制し、CO2を含む温室効果ガス(以下、当記事ではCO2と総称)を実質ゼロにすることを意味します。脱炭素社会は、この脱炭素やカーボンニュートラルを目指す社会です。日本では、2020年に政府が「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現する」と世界に向けて宣言したことで、世に広まりました。

「CO2排出量を実質ゼロにする」とは

CO2排出量を実質ゼロにするとは、どういうことでしょうか。

これは「CO2の排出抑制」とあわせて「CO2を人為的に吸収する」取り組みを行うことにより、排出量と吸収量のバランスを保ち、CO2の収支をゼロにすることを意味しています。

<「排出抑制」と「吸収」でCO2収支をゼロにする>

  • CO2の排出抑制:化石燃料をクリーンな再生可能エネルギーに変える「再エネ利用」と、エネルギー使用量を極力抑える「省エネ対策」が主な取り組み
  • CO2の吸収:植林や森林管理といった人為的な取り組み

こうした脱炭素やカーボンニュートラルの概念は、日本独自のものではありません。収支をゼロにする取り組みは、環境対策の国際的な枠組みである「パリ協定」の長期目標に足並みを揃えたものです。一過性の取り組みではないため、今後も脱炭素の流れはどんどん進んでいくでしょう。

【基本】地球温暖化が進行すると何が問題なのか

地球温暖化が進行すると、世界規模で気温が上昇します。

世界の平均気温は、2020年時点で18世紀後半の産業革命以前と比べて約1.09℃上昇。現在も上昇傾向が続いています。

(画像出典:JCCCA グラフ「世界平均気温の変化」※URL下部記載)

このように気温や気象パターンが長期的に変化することを気候変動と言い、世界各国で気候変動を食い止めるための取り組みを実施しています。では、気候変動が改善されなければどうなるのでしょうか。

気温上昇が続けば、南極やグリーンランドの氷河が溶けて海水面が上昇し、水没する地域が出ます。乾燥化が進む地域では水資源が枯渇し、砂漠化してしまうこともあるでしょう。また、異常気象の頻度や程度が上がれば、自然災害による被害がより広範囲の地域に及ぶことになります。そして極端な高温は、生態系や食糧生産体系にも大きな損失を与えます。

(JCCCA グラフ「気温が高くなったときの影響」※URL下部記載)

このように地球温暖化による気候変動は、食べ物や水、日々の生活に大きな影響を引き起こします。建設業界、経済にも深刻な影響を与える恐れがあります。 

気候変動は建設業界にも深刻な影響がある

 気候変動によって異常気象が増えると、建設現場の作業効率悪化や資材不足による資材高騰、流通の悪化などが避けられません。また、豪雨や台風が引き起こす土砂災害や浸水被害によって、建築物への損害が甚大になる恐れもあります。

実際、近年は日本でも気候変動が要因とみられる異常気象が頻発していて、損害保険会社の保険金支払額が高騰しています。その結果、火災保険料の元になる参考純率が何度も引き上げられていて、火災保険料は実質的な値上げが続いている状態です。火災保険料の上昇によって、火災保険の補償を十分に用意できない建築物が出てくる可能性もあります。保険で損害をカバーしきれずに経済的なダメージを受ける個人・企業が増えることは、経済全体にも深刻な影響をもたらします。

日本は元々自然災害が多く、今後も建築物が損害を受ける可能性は大いにあります。建設業界は脱炭素だけではなく、極端な異常気象にも耐えられる建築物作りが求められているのです。

SDGs達成のためにもカーボンニュートラルは欠かせない

脱炭素とあわせて語られることが多いSDGsとは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」です。

SDGsには17の目標があり、中にはエネルギーや気候変動、水といった地球温暖化と関わりのある目標もあります。そのため、カーボンニュートラル・脱炭素の実現とSDGsの達成は切っても切れない関係と言えるでしょう。

当然ながら、建設業界でも脱炭素対策とあわせてSDGs達成のための取り組みが各所で進められています。

国が進める建設業界の脱炭素やカーボンニュートラルの事例

建設機械から排出されるCO2排出量は、産業部門の排出量の約2.4%です。業界全体から見た排出量の割合は、そう多くないように感じます。

しかし一般住宅やオフィスビルなど、あらゆる建築物は建築後にも多くのエネルギーを消費し続けるもの。実際、国土交通省の調査によると、日本で消費されるエネルギーのうち、約3割は建築物分野が占めています。そのため、建築業界においては建築物の省エネ対策が脱炭素の重要な位置づけとなっています。

また、建設物分野は国内の木材需要の4割を占めることから、建設業界では木材利用の促進も期待されています。実は、CO2の貴重な吸収源である森林から伐採した木材は、伐採後もCO2を固定する性質があります。建築物の木材利用を増やせば大気中のCO2を減らすことに繋がるため、脱炭素におけるCO2吸収量対策としても注目されています。

このような背景から、建築物に対する脱炭素の期待は大きく、日本政府は関連法を整備するなどして建設業界のカーボンニュートラルを進めています。ここでは、関連法の概要や国が目指す建設業の未来図、実際に始まっている地方自治体の取り組みなどを見ていきましょう。

建設業界における関連法の整備

日本で脱炭素が話題になる前から、建築物が消費するエネルギー量の増加は懸念されてきました。2015年には建築物の省エネ性能向上をはかる「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が公布され、建築物の省エネ化を促進する道筋ができています。

しかし、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、省エネ性能の向上だけでは間に合いません。そこで日本政府は2022年、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。この法案では、従来の建築物省エネ法にあった省エネ性能の向上に加えて、以下の取り組みが盛り込まれています。

  • 建築物への再生可能エネルギー利用設備設置の促進
  • 木材利用の促進

建設業界では、今後再生エネルギーと木材利用の促進が急務となります。

国が目指す建設業の未来図

ここでは、日本政府が閣議決定した「グリーン成長戦略実行計画」や内閣府の「脱炭素ロードマップ」を元に、国が描いている建設業の未来図を見ていきましょう。

<国が目指す建設業界の絵姿>

  • ZEHやZEBおよびLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅、建築物の普及
  • 省エネ改修の推進
  • 高性能断熱材や高効率機器の導入
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 建築物の木材利用促進

たとえば、建設業界最大手の大林組では、すでに次世代燃料や再生可能エネルギーへの転換、省エネ工法の推進、ZEBの推進・拡大などを施策に掲げ、取り組みを始めています。

地方自治体の取り組み

地方自治体でも、2050年カーボンニュートラルに向けてさまざまな取り組みを実施しています。

<建設業に関わる取り組み事例>

  • 京都府京都市:京都市地球温暖化対策条例(愛称:2050京からCO2ゼロ条例)を改正(2020年12月)。特定建築物・準特定建築物に係る再エネ導入義務や建築物排出量削減計画書の作成・提出の強化
  • 神奈川県横浜市:公共建築物における環境配慮基準を改定(2023年2月)。建築物のエネルギー消費性能の基準(事務所や学校などはZEB相当、住宅はZEH水準)や木材の使用量の目標値を設定。2023年4月1日以降に設計を行う公共建築物から適用する

このように、国や地方自治体が率先して建築物の省エネ・再エネ導入を進めていて、大手企業でも追随した取り組みを行っています。もちろん、企業の規模や事業形態によってできること・できないことはあるでしょう。しかし、建築の計画段階から建設、運用、廃棄されるまであらゆる場面でCO2排出量の削減が求められているのはたしかです。まずは自社のCO2排出量を算定し見える化するなど、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

地球温暖化の進行によって起こる気候変動は、建設業界にも大きな影響を与えます。

極端な高温や短時間の豪雨といった異常気象の発生が常態化すれば、建設現場での作業効率は悪化するでしょう。また、異常気象によって干ばつや山火事、水不足が起こることで、資材不足や資材高騰が起こることも懸念されます。

地球温暖化対策として脱炭素やカーボンニュートラルに取り組むことは、こうした気候変動リスクに取り組むことを意味します。つまり、健全な経営を続けるためにも脱炭素の取り組みは必須の対策です。

すでに国や地方自治体はカーボンニュートラルの取り組みを進めていて、関連法の整備も始まっています。建築物は日本で消費されるエネルギー消費の3割を占めているため、建設業界に対する期待も高まっています。この機会に自社でできる脱炭素対策はないか、考えてみてはいかがでしょうか。

入門編②はこちら:脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~<br>建設会社がCO2削減に取り組むメリット
入門編③はこちら:脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~ 計算事例を通してScope3を学ぼう!CO2排出量は一体どれくらいになる?

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO₂排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。

また、建設会社からCO₂排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるディベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO₂排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは、建設業界のCO₂対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業界に特化したCO₂排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

お問合せはこちら

出典まとめ:

外務省「SDGSとは」

首相官邸「グリーン成長戦略の実行計画」よりP53

内閣府 「地域脱炭素ロードマップ」よりP6

京都府京都市「京都市地球温暖化対策条例の概要

横浜市「公共建築物における環境配慮基準

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脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~
カーボンニュートラルの現状と背景

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リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

環境対策は企業の社会的責任の一つですが、建設業界でも脱炭素やカーボンニュートラルを目指す企業が増えています。

一方で、急速に進む脱炭素の流れに対して、とまどいや疑問を持つ企業もあるでしょう。そこで今回は、脱炭素やカーボンニュートラルの基本的知識と現状を解説します。SDGsとの関係も踏まえながら、建設業界でカーボンニュートラルが期待される理由と具体的な事例を見ていきましょう。

【基本】そもそも脱炭素やカーボンニュートラルとは?

脱炭素やカーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因となるCO2の排出量を抑制し、CO2を含む温室効果ガス(以下、当記事ではCO2と総称)を実質ゼロにすることを意味します。脱炭素社会は、この脱炭素やカーボンニュートラルを目指す社会です。日本では、2020年に政府が「2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会を実現する」と世界に向けて宣言したことで、世に広まりました。

「CO2排出量を実質ゼロにする」とは

CO2排出量を実質ゼロにするとは、どういうことでしょうか。

これは「CO2の排出抑制」とあわせて「CO2を人為的に吸収する」取り組みを行うことにより、排出量と吸収量のバランスを保ち、CO2の収支をゼロにすることを意味しています。

<「排出抑制」と「吸収」でCO2収支をゼロにする>

  • CO2の排出抑制:化石燃料をクリーンな再生可能エネルギーに変える「再エネ利用」と、エネルギー使用量を極力抑える「省エネ対策」が主な取り組み
  • CO2の吸収:植林や森林管理といった人為的な取り組み

こうした脱炭素やカーボンニュートラルの概念は、日本独自のものではありません。収支をゼロにする取り組みは、環境対策の国際的な枠組みである「パリ協定」の長期目標に足並みを揃えたものです。一過性の取り組みではないため、今後も脱炭素の流れはどんどん進んでいくでしょう。

【基本】地球温暖化が進行すると何が問題なのか

地球温暖化が進行すると、世界規模で気温が上昇します。

世界の平均気温は、2020年時点で18世紀後半の産業革命以前と比べて約1.09℃上昇。現在も上昇傾向が続いています。

(画像出典:JCCCA グラフ「世界平均気温の変化」※URL下部記載)

このように気温や気象パターンが長期的に変化することを気候変動と言い、世界各国で気候変動を食い止めるための取り組みを実施しています。では、気候変動が改善されなければどうなるのでしょうか。

気温上昇が続けば、南極やグリーンランドの氷河が溶けて海水面が上昇し、水没する地域が出ます。乾燥化が進む地域では水資源が枯渇し、砂漠化してしまうこともあるでしょう。また、異常気象の頻度や程度が上がれば、自然災害による被害がより広範囲の地域に及ぶことになります。そして極端な高温は、生態系や食糧生産体系にも大きな損失を与えます。

(JCCCA グラフ「気温が高くなったときの影響」※URL下部記載)

このように地球温暖化による気候変動は、食べ物や水、日々の生活に大きな影響を引き起こします。建設業界、経済にも深刻な影響を与える恐れがあります。 

気候変動は建設業界にも深刻な影響がある

 気候変動によって異常気象が増えると、建設現場の作業効率悪化や資材不足による資材高騰、流通の悪化などが避けられません。また、豪雨や台風が引き起こす土砂災害や浸水被害によって、建築物への損害が甚大になる恐れもあります。

実際、近年は日本でも気候変動が要因とみられる異常気象が頻発していて、損害保険会社の保険金支払額が高騰しています。その結果、火災保険料の元になる参考純率が何度も引き上げられていて、火災保険料は実質的な値上げが続いている状態です。火災保険料の上昇によって、火災保険の補償を十分に用意できない建築物が出てくる可能性もあります。保険で損害をカバーしきれずに経済的なダメージを受ける個人・企業が増えることは、経済全体にも深刻な影響をもたらします。

日本は元々自然災害が多く、今後も建築物が損害を受ける可能性は大いにあります。建設業界は脱炭素だけではなく、極端な異常気象にも耐えられる建築物作りが求められているのです。

SDGs達成のためにもカーボンニュートラルは欠かせない

脱炭素とあわせて語られることが多いSDGsとは、国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」です。

SDGsには17の目標があり、中にはエネルギーや気候変動、水といった地球温暖化と関わりのある目標もあります。そのため、カーボンニュートラル・脱炭素の実現とSDGsの達成は切っても切れない関係と言えるでしょう。

当然ながら、建設業界でも脱炭素対策とあわせてSDGs達成のための取り組みが各所で進められています。

国が進める建設業界の脱炭素やカーボンニュートラルの事例

建設機械から排出されるCO2排出量は、産業部門の排出量の約2.4%です。業界全体から見た排出量の割合は、そう多くないように感じます。

しかし一般住宅やオフィスビルなど、あらゆる建築物は建築後にも多くのエネルギーを消費し続けるもの。実際、国土交通省の調査によると、日本で消費されるエネルギーのうち、約3割は建築物分野が占めています。そのため、建築業界においては建築物の省エネ対策が脱炭素の重要な位置づけとなっています。

また、建設物分野は国内の木材需要の4割を占めることから、建設業界では木材利用の促進も期待されています。実は、CO2の貴重な吸収源である森林から伐採した木材は、伐採後もCO2を固定する性質があります。建築物の木材利用を増やせば大気中のCO2を減らすことに繋がるため、脱炭素におけるCO2吸収量対策としても注目されています。

このような背景から、建築物に対する脱炭素の期待は大きく、日本政府は関連法を整備するなどして建設業界のカーボンニュートラルを進めています。ここでは、関連法の概要や国が目指す建設業の未来図、実際に始まっている地方自治体の取り組みなどを見ていきましょう。

建設業界における関連法の整備

日本で脱炭素が話題になる前から、建築物が消費するエネルギー量の増加は懸念されてきました。2015年には建築物の省エネ性能向上をはかる「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」が公布され、建築物の省エネ化を促進する道筋ができています。

しかし、2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには、省エネ性能の向上だけでは間に合いません。そこで日本政府は2022年、「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。この法案では、従来の建築物省エネ法にあった省エネ性能の向上に加えて、以下の取り組みが盛り込まれています。

  • 建築物への再生可能エネルギー利用設備設置の促進
  • 木材利用の促進

建設業界では、今後再生エネルギーと木材利用の促進が急務となります。

国が目指す建設業の未来図

ここでは、日本政府が閣議決定した「グリーン成長戦略実行計画」や内閣府の「脱炭素ロードマップ」を元に、国が描いている建設業の未来図を見ていきましょう。

<国が目指す建設業界の絵姿>

  • ZEHやZEBおよびLCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅、建築物の普及
  • 省エネ改修の推進
  • 高性能断熱材や高効率機器の導入
  • 再生可能エネルギーの導入
  • 建築物の木材利用促進

たとえば、建設業界最大手の大林組では、すでに次世代燃料や再生可能エネルギーへの転換、省エネ工法の推進、ZEBの推進・拡大などを施策に掲げ、取り組みを始めています。

地方自治体の取り組み

地方自治体でも、2050年カーボンニュートラルに向けてさまざまな取り組みを実施しています。

<建設業に関わる取り組み事例>

  • 京都府京都市:京都市地球温暖化対策条例(愛称:2050京からCO2ゼロ条例)を改正(2020年12月)。特定建築物・準特定建築物に係る再エネ導入義務や建築物排出量削減計画書の作成・提出の強化
  • 神奈川県横浜市:公共建築物における環境配慮基準を改定(2023年2月)。建築物のエネルギー消費性能の基準(事務所や学校などはZEB相当、住宅はZEH水準)や木材の使用量の目標値を設定。2023年4月1日以降に設計を行う公共建築物から適用する

このように、国や地方自治体が率先して建築物の省エネ・再エネ導入を進めていて、大手企業でも追随した取り組みを行っています。もちろん、企業の規模や事業形態によってできること・できないことはあるでしょう。しかし、建築の計画段階から建設、運用、廃棄されるまであらゆる場面でCO2排出量の削減が求められているのはたしかです。まずは自社のCO2排出量を算定し見える化するなど、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

地球温暖化の進行によって起こる気候変動は、建設業界にも大きな影響を与えます。

極端な高温や短時間の豪雨といった異常気象の発生が常態化すれば、建設現場での作業効率は悪化するでしょう。また、異常気象によって干ばつや山火事、水不足が起こることで、資材不足や資材高騰が起こることも懸念されます。

地球温暖化対策として脱炭素やカーボンニュートラルに取り組むことは、こうした気候変動リスクに取り組むことを意味します。つまり、健全な経営を続けるためにも脱炭素の取り組みは必須の対策です。

すでに国や地方自治体はカーボンニュートラルの取り組みを進めていて、関連法の整備も始まっています。建築物は日本で消費されるエネルギー消費の3割を占めているため、建設業界に対する期待も高まっています。この機会に自社でできる脱炭素対策はないか、考えてみてはいかがでしょうか。

入門編②はこちら:脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~<br>建設会社がCO2削減に取り組むメリット
入門編③はこちら:脱炭素の取り組み入門編~仕組みからはじめの一歩まで~ 計算事例を通してScope3を学ぼう!CO2排出量は一体どれくらいになる?

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO₂排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。

また、建設会社からCO₂排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるディベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO₂排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは、建設業界のCO₂対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業界に特化したCO₂排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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出典まとめ:

外務省「SDGSとは」

首相官邸「グリーン成長戦略の実行計画」よりP53

内閣府 「地域脱炭素ロードマップ」よりP6

京都府京都市「京都市地球温暖化対策条例の概要

横浜市「公共建築物における環境配慮基準

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