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時計 2023/6/26 アップデート 2024/11/20

ZEB Readyとは?省エネ率100%を達成できなくても取得できる!4段階のZEB評価

脱炭素社会への取り組みが進む中、建設業界でもZEB増えているのではないでしょうか。

現在、建設業界ではZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)への取り組みが進んでおり、その入門段階として「ZEB Ready」が設けられています。この制度は、省エネ率が100%に達しなくても一定の基準を満たせば認定可能で、完全なZEBを目指す初歩的なステップとされています。

記事では省エネを促進するために設定されたZEBの段階的な評価について解説します。

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ZEB Readyとは?

ZEB Readyとは、エネルギー消費削減の設計がされている建物であるZEBの一種です。ZEBはエネルギー消費の削減の割合によっていくつかに分類されます。

では、下記よりZEBの具体的な定義、ZEBの種類について説明しましょう。

そもそもZEBとは

ZEBとは、省エネ・創エネという2つの軸により、年間の一次エネルギー消費量を100%削減する建物のことです。

ZEBの定義はこちらです。

引用:平成30 年度ZEB ロードマップフォローアップ委員会とりまとめ|平成30 年度ZEB ロードマップフォローアップ委員会

ZEBは、建物の状態や土地の環境によって創エネが難しいケースがあります。そのため建物や環境によってエネルギー削減の割合が異なり、その割合によって4段階のZEB評価が設けられているのが特徴です。

ZEBの種類

ZEBの種類は下記のように4つに分類されます。

引用:環境省「ZEBの定義

下記より4つの種類について、それぞれの特徴を説明しましょう。

ZEB

ZEBは、省エネと創エネによって年間の一次消費エネルギー量100%削減を目指した建築物です。省エネ・創エネによって室内環境を維持しながら、年間の一次エネルギー消費量ゼロを実現します。

Nearly ZEB

Nearly ZEBは、ZEBに限りなく近い建築物として定義されています。再生可能エネルギーを除く基準一次消費エネルギー量から50%以上削減を目指しているのが特徴です。温室効果ガス排出をしない再生可能エネルギーを含む基準一次消費エネルギー量から、75%以上100%未満を削減することで、年間の消費エネルギー量ゼロを実現します。

ZEB Ready

ZEB ReadyはZEBを見据えた先進建築物です。外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備え、省エネによって年間の消費エネルギー量を50%以上削減を目指します。

ZEB Readyとして認証されるための定義・判断基準は、下記のようになっています。]

再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から50%以上の一次エネルギー消費量削減に適合した建築物

引用:ZEBの定義|環境省

この条件を満たしていればZEB Readyに認証されます。

ZEB Oriented

ZEB Orientedは、年間の一次エネルギー消費量に関して30〜40%削減を実現した建築物です。延べ面積10,000㎡以上の建築物が対象となっており、ZEB Readyを見据えた建築物として定義されています。

事務所、学校、工場などは40%以上、ホテル、病院、百貨店、飲食店などは30%以上一次エネルギー消費量削減を実現しなくてはいけません。さらに現時点でWEBPROでの未評価技術を導入することが要件となっている点が、他のZEBとは異なる点です。

関連記事:ZEBとは? ZEBの種類と定義・基準などの基礎知識を解説

ZEB Readyを目指すメリット

ZEB Readyの達成にはどのようなメリットがあるのか、下記より紹介します。

「ZEB Oriented」よりも実現しやすい

ZEB Readyのメリットは、ZEB Oriented​​より実現しやすい点です。ZEB Orientedはエネルギー削除基準がZEB Readyより少ないですが、延べ床面積や未評価技術の導入が基準の中に含まれている特徴があります。

そのような基準がなく1次エネルギー消費量の基準が50%以上削減のZEB Readyは、実現しやすいといえるでしょう。

ZEB認証によるイメージ向上

イメージアップにつながることも、ZEB Readyのメリットです。認証を受ければエネルギー削減の基準をクリアした証拠となるため、環境問題に配慮した建物という社会的な評価を得られます。多大な信頼性を獲得できるのも、ZEB Readyのメリットです。

不動産価値が上がる

従来の建物より不動産価値が上がるのも、ZEB Readyのメリットです。今の時代に対応した先進的な建物という評価を受けられるため、不動産所有者は資産価値が上がります。またZEB Ready認証の建物があるエリアは、街のイメージアップにもつながる効果が期待できます。

補助金が受けられる

ZEB Readyは国や自治体の補助金の対象であるため、財政的な負担の軽減が可能です。補助金には以下のような種類があります。

それぞれ、延べ面積などの条件によって受給できる金額が変化するので、事前に受給条件などを確認しておきましょう。

関連記事:ZEBに使える3つの補助金制度の比較と事例紹介

関連記事:【2024年】建築業界に関する補助金制度が大きく変わる!ZEB・脱炭素達成への大幅な支援を公表、環境省による建設業界の補助金とは?

ZEB Readyの事例

次に、ZEB Readyの事例を紹介します。

滋賀県高島市役所庁舎

滋賀県高島市にある市役所庁舎は、市役所の増改築にあたりZEB Ready認証を獲得し、環境問題に対応した建設を実践しました。

この市役所庁舎は、ZEB Readyによる最新の省エネルギー技術と自然エネルギーを積極的に導入しているのが特徴です。それによりCO₂​​​​​削減および快適性・機能性の向上が実現しました。​​

参照:改修ZEB事例|環境省

北海道網走郡美幌町役場新庁舎

北海道網走郡美幌町にある役場新庁舎は、環境問題に対応した建設をコンセプトに掲げ、ZEB Ready認証を受けた庁舎です。

消費エネルギー削除に加えて、災害発生時による停電などライフラインの不具合に対処できることを目的としています。再生可能エネルギー活用による最低限の電力確保により、停電が起きても業務を継続できる体勢を整えているのが特徴です。

参照:公共建築物(庁舎)における ZEB 事例集|国土交通省

ZEBの設計や建築に関わる事業者はZEBプランナーの登録を検討する

設計や建築に関わる事業者は、ZEBプランナーの登録をおすすめします。その理由は、オーナーがZEBの補助事業を実施する場合、ZEBプランナーの関与が必要になるためです。

ZEBプランナーは、建築設計やコンサルティング等を行う事業者のことです。ZEB設計ガイドライン・プランナーが保有するZEBの設計知見を活用して、ZEB実現に向けた相談窓口を設置し、オーナーをサポートします。

ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業調査発表会 2022」によると、2021年度にZEBプランナーが受注した実積数は1049棟のうち10%(106棟)がZEBです。そのうちZEBプランナーが受注した実積数で最も多かったのは72%(760棟)のZEB Readyという結果となっています。

ZEB Readyに関するよくある質問

ZEB Readyに関する質問をまとめました。よく挙がる質問とその回答を紹介します。

ZEBとZEB Readyの違いは?

ZEBとZEB Readyの違いは、エネルギー量です。

  • ZEB:省エネ+創エネで0%以下まで削減
  • ZEB Ready:省エネで50%以下まで削減

ZEB Readyは「ZEBをより先進させた、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物」という定義になっています。 ​​

ZEB Ready認証とは何ですか?

ZEB Ready認証とは、建築物省エネルギー性能表示制度のことです。ベルスは国土交通省が主導する建築物の省エネルギー性能に特化した、第三者評価機関による認証制度を指します。省エネルギー性能に優れた建築物は、ZEB Readyとして認証されます。

ZEB Readyの基準値はいくつですか?

ZEB Readyの場合、次の計算法で基準値を算出します。

  • 設計エネルギー使用量 ÷ 基準エネルギー使用量

この計算で0.25以上0.5以下という数値が出れば、ZEB Ready達成の基準値となります。

ZEB Readyになるのはいつから?

先述したとおり、0.25以上0.5以下という数値でZEB Readyとして認められます。政府の施策では、2030年度までに新築建築物の平均はZEB Readyクラスを目指すという方針が発表されています。

参照:政府実行計画(概要)

まとめ

ZEB Ready(ゼブレディー)とは省エネによって年間の一次エネルギー消費量を50%以下まで削減する建物です。ZEB Readyの認証基準は、太陽光発電を導入した創エネを行わなくとも、省エネのみで満たせます。

建設業界においては、まず、設計段階からエネルギー効率の高い材料の選定、建物の方位や構造を工夫することで自然光の利用を最大化し、冷暖房負荷を低減する設計が求められます。また、高性能の断熱材の使用や、エネルギー効率の高い設備の導入が求められます。

2030年度までに、新築建築物の平均でZEB Ready相当となることを目指すことが閣議決定されました。省エネ率100%のZEBの実現と普及に向けて、基準を満たせるレベルから取り組みを進めてみてはいかがでしょうか。

建設業界では、入札段階や工事成績評点で施工時や竣工後の建築物においてCO2排出量の削減が評価され、加点につながる動きが生じています。また、建設会社からCO2排出量を開示し削減方針を示さないと、発注者であるデベロッパーから施工者として選ばれにくくなる状況も起きており、建設会社にとってCO2排出量の管理・削減は喫緊の課題です。

リバスタでは建設業界のCO2対策の支援を行っております。新しいクラウドサービス「TansoMiru」(タンソミル)は、建設業に特化したCO2排出量の算出・現場単位の可視化が可能です。 ぜひこの機会にサービス内容をご確認ください。

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この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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