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【2024年】建築業界に関する補助金制度が大きく変わる!ZEB・脱炭素達成への大幅な支援を公表、環境省による建設業界の補助金とは?

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

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昨今は脱炭素社会の実現に向けて、環境省による建設業界への補助金制度を用意しています。本記事では、2024年(令和6年)における環境省による建設業界の補助金について解説します。

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【環境省】建設業界の脱炭素に関する補助金を公表

2024年度における建設業界に関する脱炭素の補助金の詳細が、環境省より公表されました。これまでは、建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業という名称で環境省による支援を行っていましたが、脱炭素への取組みを加速させるため補助対象の事業カテゴリなどを刷新しています。ZEB(Net Zero Energy Building)を軸にしたこちらの補助金制度は、多くの建築業者にとって重要な制度になります。以下では、建設業界における2024年度の補助金の概要を解説します。

7種類の支援パターンが存在する

「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」には、以下の7種類の支援パターンがあります。

1.LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業

2.ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業(一部経済産業省連携事業)

3.国立公園利用施設の脱炭素化推進事業

4.水インフラにおける脱炭素化推進事業(国土交通省、経済産業省連携事業)

5.サステナブル倉庫モデル促進事業(国土交通省連携事業)

6.省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業(一部国土交通省連携)

7.CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業(農林水産省連携事業)

それぞれ支援内容が異なるため、詳細の確認が重要です。

2023年・2050年への脱炭素目標への加速が背景

2023年にも、「ZEB実現 実証事業」「レジリエンス強化ZEB 実証事業」による環境省からの補助が行われました。レジリエンス強化型ZEBとは、災害時に強いZEBの実現を目指すのが目的です。2023年度では実験的な部分が多かった一方で、2024年度からは、制度の普及促進のための支援事業にシフトする形になっています。

「ZEB実現 実証事業」は「ZEB普及促進 支援事業」、「レジリエンス強化ZEB 実証事業」は「LCCO2削減型ZEB 支援事業」となり、新たな展開を予定しています。2050年の脱炭素目標の実現に向けて、さまざまな補助を通して課題の確認とより実践的な取り組みの加速を目指したい意向が、背景にあると考えられます。

建設業界に大きく関するZEBの概要

ZEBとは、消費する年間の1次エネルギーの収支をゼロにする建物を指します。建物のなかでは人が生活しているため、何らかのエネルギーが常に消費されています。

そのため使用エネルギーをゼロにはできませんが、ZEBは省エネで使うエネルギーを減らしつつ、同時に創エネで使用するエネルギーを創りだすことで、消費量を正味でゼロにすることを目指します。建設業界はこのZEBをメインにしたさまざまな取り組みを実施し、脱炭素社会の実現に貢献することが求められます。

しかし、ZEBを含めた脱炭素の取り組みにはコストがかかります。そこで補助金を活用して会社の負担を最小限に抑えつつ、脱炭素につながる施策を取ることがポイントになります。

CO2排出量の削減や可視化が急務となっている

脱炭素社会の実現に向けて、現在は課題の確認と解決方法の模索が進められています。特にCO2排出量の削減や可視化は、急務となっています。長く残る建物を建築する建設業も、事業におけるCO2排出量の削減と可視化に取り組むことが求められています。その一環として、ZEBの理解や関連する補助金のチェックが必要になるでしょう。

特に、以下の図のようにライフサイクル全体でCO2排出量を削減する取り組みが進んでおり、「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」も政府から補助金として公表されています。CO2排出量の削減と可視化について、より一層社内体制構築が求められるでしょう。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業とは

「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」とは、業務用施設のZEB化や省CO2の普及に貢献する、高効率設備の導入などを支援する取り組みです。以下では、「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の概要を解説します。

目的・概要

「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」は、2050年のカーボンニュートラル実現を目標とした施策の1つです。2050年に設定した目標を達成するには、2013年度と比較して2030年時点でCO2の排出量を46%減少させる政府目標が重要視されています。

この目標の早期達成を実現するには、建築物などにおけるZEB化・省CO2改修の普及拡大に伴った、脱炭素化の普及が大切だと考えられています。また、建築物などにおいて、外部環境変化への適応強化や付加価値の向上を進め、快適で健康な社会の実現を目指すことも目的になります。

メリット

「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」には、以下のメリットがあります。

・消費エネルギーの削減

・建築物から排出されるCO2を実質ゼロにすることによる温暖化防止

・建物の利用者が支払う光熱費の削減

・住み心地(快適性)の向上

・事業持続性の向上

など

地球環境へのメリットだけでなく、建物を利用する人にとってもさまざまなメリットがある点が特徴です。そのため建設業は今後積極的に、「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」にリソースを割くことが求められるでしょう。

建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業の種類

上記で紹介した「建築物等のZEB化・省CO2化普及加速事業」の、それぞれにメリット・特徴があります。以下では、各種類の概要について解説します。

1.LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業【一部国土交通省連携事業】

「LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」とは、環境省と国土交通省が、一部連携事業として提供しています。建築業界でのZEB化促進に当たって、運用時の脱炭素化だけでなく、建築物のライフサイクルを通じて脱炭素化を目指す事業です。

先導的な建築物に支援を実施し、2050年のカーボンニュートラル実現をリードすることが目的になります。また、建築物の付加価値の向上につながる方法を考案し、快適で健康な社会の実現に貢献することも主な目的です。事業イメージと補助率は、以下のようになっています。間接補助事業であり補助率は(3/5~1/3(上限5億円))となっています。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

補助要件は、以下のようになっています。

・ZEB Ready基準以上の省エネルギー性能を満たす(事業と同様にエネルギー管理体制の整備、ZEBリーディング・オーナーへの登録、ZEBプランナーの関与など)

・上記を満たしたうえで、LCCO2の算出および削減・再エネの導入などの実施

・付随する運用時の先導的な取組も採択時の評価対象になる

また、以下の事業は優先採択となります。

・補助対象事業者が締結した建築物木材利用促進協定に基づき木材を用いる事業

・CLTなどの新たな木質部材を用いる事業

ポイントとして、「ZEB化推進に係る調査・検討事業」も事業内容に含まれます。こちらでは建築物の脱炭素化・ZEB化の先導と推進に向けた、調査・検討などを行うことが目的になります。

LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業のメリット

「​​LCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業」の促進には、以下のメリットがあります。

・建築物における運用時、建築時、廃棄時のCO2の削減につながる

・ZEB建築物の普及拡大を実現できる

・ZEB化に必要なシステムや設備機器の導入を進められる

など

2.ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業【経済産業省連携事業】

「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」とは、長期間使用する建築群やで、ZEB化の普及を支援する事業です。また、間接補助事業であり補助率は2/3~1/4(上限3~5億円)となっております。事業イメージとしては、以下の形になります。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

建物の新築・既存建築物の両面において、さまざまな支援を実施します。具体的には、ZEB化に資するシステム・設備機器などの導入支援が実施されます。また、外皮・空調・給湯・換気・再エネ・電源・BEMSと工事費なども補助されます。補助要件は、以下になっています。

・ZEBの基準を満たすと共に、エネルギーの計量・計測をし、データ収集・分析・評価できるエネルギー管理体制の整備

・需要側設備等を通信・制御する機器を導入

・ZEBリーディング・オーナーへの登録

・ZEBプランナー関与

以下条件を満たす場合、優先採択となります。
・ 補助対象事業者が締結した建築物木材利用促進協定に基づき木材を用いる事業
・ CLTなどの新たな木質部材を用いる事業

例えば国立競技場などは、CLTを使った建物です。木材を使うことで省エネを促進し、木の伐採・植林のサイクル全体の省エネを目指すことが目標になります。また、建材一体型太陽光電池とは、ガラスに組み込んだ太陽光発電を指します。都心の建物は屋根が広くないため、太陽光パネルの設置が難しいという問題があります。

そこでガラスや壁に太陽光の装置を設置する導入方法が、「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」では評価されます。

補助率に関しては、以下の表のようになります。また、上限の補助額は現在未定となっており最新の情報は環境省までお問い合わせください。

参照:https://zero-energy.jp/hojyokin-ichiran-2024-2/2024-kenchikubutu-zeb-syouco2/

また、「非住宅建築物ストックの省CO2改修調査支援事業」に関しては、以下の内容が補助要件となります。

・ZEBプランナーの関与

・BEIの算出

・データの提供および公開

など

ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業のメリット

「ZEB普及促進に向けた省エネルギー建築物支援事業」には、多くのメリットがあります。例えば以下の点は、魅力となるメリットだと言えるでしょう。

・関連システムや設備機器の導入による事業の改善

・高い補助率による資金面のメリット

・カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な施策の実行

など

3.国立公園利用施設の脱炭素化推進事業【環境省事業】

「国立公園利用施設の脱炭素化推進事業」とは、脱炭素の実現につながる取り組みを実践するサステナブルな観光地「ゼロカーボンパーク」における、国立公園利用施設(宿舎事業施設など)を支援する事業です。間接補助事業であり補助率は1/2(太陽光のみ1/3)、上限7,500万円となります。事業イメージ・補助対象・補助要件に関しては、以下のようになります。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

国立公園利用施設の脱炭素化推進事業のメリット

「国立公園利用施設の脱炭素化推進事業」の実践には、以下のメリットがあると考えられます。

・自然環境の保全と調和した施設を実現できる

・CO2排出量の削減につながる

・国立公園全体の脱炭素化を進めるきっかけになる

・再エネ設備や省エネ設備の導入がスムーズに行える

など

4.水インフラにおける脱炭素化推進事業【国土交通省、経済産業省連携事業】

「水インフラにおける脱炭素化推進事業」とは、上下水道施設やダム施設において、再生可能エネルギー設備の設置や省エネ設備の導入などの取組みを促進し、CO2削減目標の達成に貢献することが目的の事業です。また、補助率は(1/2、1/3)となっております。また、上限の補助額は現在未定となっており最新の情報は環境省までお問い合わせください。

具体的な事業イメージは、以下のようになります。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

水インフラにおける脱炭素化推進事業のメリット

「水インフラにおける脱炭素化推進事業」のメリットには、以下のような特徴があります。

・技術検証を進めやすくなる

・水インフラに関するCO2削減を実現できる

・従来型の太陽光発電設備の設置が難しい空間を利用する方法が見つかる可能性がある

など

5.サステナブル倉庫モデル促進事業【農林水産省連携事業】

「サステナブル倉庫モデル促進事業」とは、補助事業による省CO2化、省人化機器や再生可能エネルギー設備の同時導入事例を創出し、サステナブル倉庫モデルの普及を図る事業です。また、上限の補助額や補助率については現在未定となっており最新の情報は環境省までお問い合わせください。事業イメージは、以下のようになります。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

サステナブル倉庫モデル促進事業のメリット

「サステナブル倉庫モデル促進事業」には、以下の内容を実現できるメリットがあります。

・建設業界全体のCO2排出を削減できる

・省CO2化や省人化機器の導入によって、エネルギー消費量を削減できる

・建設業界における担い手不足に対応できる

・災害時のサプライチェーンの維持に備えられる
など

6.省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業【一部国土交通省連携事業】

「省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業とは、あらゆる業務用施設において、熱中症対策になる高効率機器などの導入を支援し、既存建築物のCO2排出量を削減する事業です。また、上限の補助額や補助率は現在未定となっており最新の情報は環境省までお問い合わせください。クーリングシェルターや災害時の活動拠点としての活用も、検討できる点が特徴です。

フェーズフリー性とエネルギー自立性を兼ね備えた「省CO2移動独立型施設(コンテナハウスなど)」の普及促進を目指すのも、本事業の役割です。事業イメージとしては、以下の形が提示されます。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業のメリット

「省CO2化と災害・熱中症対策を同時実現する施設改修等支援事業」に関するメリットには、以下の要素があります。

・既存の建築物におけるCO2排出量を削減できる

・フェーズフリー性(平常時と災害時という社会のフェーズを取り払うこと)とエネルギー自立性を両立させた、「省CO2移動独立型施設」の普及が促進される

・高効率機器への更新を軸とした、既存民間建築物の省CO2化を支援できる

など

7.CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業【農林水産省連携事業】

「CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業」とは、建築分野で、資源を循環利用する循環経済・サーキュラーエコノミーと、脱炭素・カーボンニュートラルを同時に達成するための事業です。省エネ・省CO2につながるCLTなど、木材再利用の方策を検証したり、普及促進に向けた関連情報の整理を行ったりします。また、上限の補助額や補助率は現在未定となっており最新の情報は環境省までお問い合わせください。

事業イメージは、以下のようになります。

参照:https://www.env.go.jp/content/000156343.pdf

CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業のメリット

「CE×CNの同時達成に向けた木材再利用の方策等検証事業」の実践時には、以下のメリットを得られると考えられます。

・建設業で資源の循環利用による「循環経済・サーキュラーエコノミー」の実現を近づけられる

・省エネや省CO2につながるCLTおよび木材再利用の普及が進む

・CLTなどの木材を再利用する手法の確立、およのモデル実証などを実施できる

・省エネや省CO2効果の観点から、効果の高い木材の再利用方法を模索できる

など

まとめ

2024年は、建築業界に関する補助金制度が大きく変わります。

これまでは、建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業という名称で環境省による支援を行っていました。しかし、2050年に向けて建設業界における脱炭素への取組みを加速させるため補助対象の事業カテゴリなどを刷新しています。最新の情報であるため、補助額等は未定の支援事業もありますが、建設業界の脱炭素推進に向けて追い風となりうるでしょう。環境省がどのような事業を展開しているのか、どのような要件を満たす必要があるのかをしっかり確認し、2024年以降も脱炭素の目業達成に貢献できるように努めましょう。特にLCCO2削減型の先導的な新築ZEB支援事業のように建設業界の脱炭素の取り組みに注力しており、今後もライフサイクル単位での脱炭素が求められます。

脱炭素を実現するためには、建築業界だからできるCO2削減の手法を取り入れることが重要です。

CO2削減には、まずCO2排出量の可視化が必要です。リバスタでは建設現場に特化したCO2管理の新サービス「TansoMiru(タンソミル)」をご紹介しております。
導入によってCO2削減の方向性が決められるため、脱炭素対策の具体的な計画を立てて実践していくことが可能です。

この機会にぜひこちらより一度お問合せください。

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