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時計 2023/6/26 アップデート 2023/11/13

令和5年度まとめ 土木業界大手の脱炭素の取り組み先進事例4選!

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

世間ではAIが取りざたされるなど、技術の進歩は目覚ましいスピードで進んでいます。それに伴って、土木業界でも脱炭素の取り組みはどんどん進んでいます。しっかりと他社の事例や業界の流れを把握していないと、あっという間に置いていかれてしまうかもしれません。

そんな世の中の状況の中で、土木業界の先進企業である大手企業はどんな取り組みをしているのでしょうか?

この記事では、土木業界の大手企業が脱炭素に向けてどんな取り組みをしているかを、先進の事例をご紹介します。

土木業界大手企業の脱炭素の取り組み4選!

技術の進歩に伴って、脱炭素の取り組みは土木業界でもどんどん行われており、今までの常識的な取り組み以外にも、ここまで脱炭素の取り組みが進んでいるのかと驚くような事例もあります。たとえばプレキャスト化を推進したり、工事監理をシステム化によって合理化したりするのは普通のことでしたが、現在では更にその先を行った様々なことが行われています。

ここでは、土木業界でトレンドとなっている先進事例を4つ、ご紹介していきます。

① ICT施工による脱炭素の取り組み

1つ目はICT施工を導入することです。これはScope1に該当します。

ICT建機のようなICT施工を導入すると、丁張りを減らして目印無しで施工できます。また、施工後のチェックで必要な作業を減らせるでしょう。補助作業が一部不要となるので、効率的に施工でき、生産性が向上します。生産性が向上すれば、建設機械の稼働時間も減り、建設機械から排出されるCO₂も削減が可能です。

たとえば、鹿島建設では、「A⁴CSEL®(クワッドアクセル)」と呼ばれる建設機械の自動運転を核とした自動化施工システムを用いて、ICT施工を実現しています。このシステムは、建設業界の課題である「人手不足・熟練労働者不足への対応」、「生産性向上」、「労働災害撲滅」を目的に開発され、2015年から工事に導入されています。

人が建設機械に作業データを送ると、建設機械が定型的な作業や繰返し作業を自動で行います。このため、必要最小限の人員で複数の機械を同時に動かすことができ、施工の安全性および生産性が飛躍的に向上します。A⁴CSEL®の導入により、単位時間あたりの打設量の増大、建設機械の走行距離の短縮が実現するため燃料使用量が減り、CO₂排出量の抑制につながります。施工時のCO₂排出量削減につなげることで、環境負荷低減にも貢献しています。

② 建設機械による脱炭素の取り組み

2つ目は、土木現場で用いる建設機械を脱炭素対策することです。これはScope1に該当します。

従来の建設機械は軽油を燃料とした動力源を用いるのが当たり前でした。軽油を用いれば、建設機械に不可欠なパワーが出しやすいからです。

ですが、昨今は脱炭素対策を行うのが当たり前の世界になりつつあります。パワーのある建機であることと、脱炭素の取り組みの両立が必要です。

建設機械の燃料を従来の軽油燃料からカーボンニュートラル燃料に置き換えることや、バッテリー電動や燃料電池、水素エンジンなどの動力源により、脱炭素を図ることができます。たとえば、建設機械のメーカーとして有名なコマツは、2023年5月に水素燃料電池を油圧ショベルに組み合わせたコンセプトマシンを開発し、実証実験を開始しました。

水素燃料電池を搭載した油圧ショベルが量産化され、どの現場にも標準使用されるようになれば、軽油が不要となり、脱炭素の動きを大きく加速させるでしょう。完全に水素燃料電池車でなくとも、ハイブリッドやディーゼルエレクトリック、ディーゼルトロリー車の普及拡大や、代替燃料活用などでも脱炭素にむけた大きな進歩となります。

③ 建設材料の脱炭素の取り組み

3つ目は建設材料の脱炭素対策です。これはScope3のカテゴリー1に該当します。土木業界の建設材料には大量のコンクリートが使用されます。ダムでも道路でも橋でも、多くのコンクリートを使用しています。

ところが、コンクリートを作るときのCO2排出量の9割ほどがセメントの製造にかかる部分となっています。CO2排出量の少ないセメントを使用すれば、必然的に脱炭素した建設材料を使用できます。このことから、建設材料の開発はゼネコン各社で独自に研究開発が進んでいる重要な領域となっています。

(画像出典:太平洋セメント株式会社2022年9月20日ニュースリリース

たとえば、コンクリートの会社で有名な太平洋セメントでは、カーボンフィクスセメントを開発しました。カーボンフィクスセメントは、セメントの製造段階でのCO2排出量が少なく、かつCO2との化学反応で硬化して強度を発現する特殊なセメントです。つまり、CO2の排出量を抑えつつ、CO2を吸収するセメントです。従来のセメントと比べて6割もCO2排出量を削減できます。

さらに、太平洋セメントは2023年4月に、コンクリートにCO2を効率よく固定するシステム、カーボキャッチを開発しました。セメントと水を混ぜて作ったセメントスラリーにCO2を供給して、炭酸カルシウムとして固定します。一般的なコンクリートと比べて大きくCO2排出量を削減できるのに、スランプや空気量、圧縮強度は同等の値を実現可能です。凝結時間を短縮したり、ブリーディング量を抑制したりする効果もあります。

(画像出典:太平洋セメント株式会社2023年3月15日ニュースリリース

④ 既存インフラで電力の自給自足化を目指す

4つ目は、既存インフラで電力を自給自足する方法です。これはScope2に該当します。

CO2排出量を削減しようとすると、まず建設段階でCO2を減らそうと考えがちです。ですが、土木の建設段階で排出するCO2は約6割で、運用段階で排出するCO2は約4割を占めます。運用時に使用するエネルギーを再生可能エネルギーにすることで、インフラ管理用の電気を自給自足することも可能です。

たとえば、大成建設では作業所の仮設事務所の屋根に太陽光パネルを設置しました。太陽光による再生可能エネルギーを利用することで、作業所運用の電気を自給自足しています。

これは、様々な場面に応用することができるでしょう。

まとめ

この記事では、土木業界の大手企業が脱炭素に向けてどんな取り組みをしているかを、先進事例を4つ含めてご紹介しました。

鹿島建設は建設機械を自動運転化することに成功し、コマツは水素燃料の建設機械を開発しています。太平洋セメントはコンクリートにCO2の固定化を効率アップさせ、大成建設では太陽光パネルを用いて仮設事務所のZEB化をしました。

余談となりますが、この他にも未利用の自然エネルギーを活用することで、脱炭素できます。

たとえば、ダムは貯水をすることが主な目的ですが、台風などの大雨が降る時に、下流に大量の雨水を流さないように貯留する役割もあります。台風が接近している場合、ダムでは貯水量を調整するために、放水して水位を下げるのです。天気予報で雨が近づくと普段から放水をしているのですが、こういった部分は水力発電に使用されていません。未利用のエネルギーを積極的に利用することは脱炭素の取り組みになるでしょう。

業界各社の先進事例を参考にしていただき、脱炭素の取り組みの参考にしてください。

 

出典まとめ:

鹿島建設株式会社 2023年06月8日プレスリリース「自動化施工システムA4CSELによるCO2抑制効果を確認

コマツ「建設機械事業 電動化への対応

太平洋セメント 2022年9月20日ニュースリリース

太平洋セメント 2023年3月15日ニュースリリース

日経クロステック「セメントに供給したCO2の9割超を固定、太平洋セメントが開発

大成建設 2022年9月20日ニュースリリース

 

国土交通省「国土交通省のインフラ分野におけるカーボンニュートラルに向けた取組

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