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時計 2023/10/29 アップデート 2024/1/6

企業で広がる脱炭素の取り組みとは? 建設業大手の最新動向もあわせてチェック

この記事の監修

リバスタ編集部

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

「つくる」の現場から未来を創造する、をコンセプトに、
建設業界に関わる皆さまの役に立つ、脱炭素情報や現場で起こるCO2対策の情報、業界の取り組み事例など、様々なテーマを発信します。

カーボンニュートラル社会を実現するために、CO2(二酸化炭素)を含む温室効果ガスの排出をゼロにする「脱炭素社会」。

今や世界の国々が脱炭素社会を実現するために様々な活動を行い、日本でも政府から公的機関、民間企業へと脱炭素に向けた動きが活発化しています。

建設業界でも、大林組や鹿島建設といった大手企業はすでに国際的な脱炭素活動に参加しています。いずれは中小企業や零細企業においても、脱炭素に向けた活動が必須になるのではないでしょうか。

そこで今回は、建設業を含めた数々の民間企業が参加している、国際的な脱炭素活動をご紹介します。建設業界大手の状況と具体的な取り組み事例もご紹介していきますので、自社で取り組む際の参考にしてください。

民間企業が参加する、国際的な脱炭素活動・取り組み

脱炭素に向けた国際的な取り組みや活動の中で、日本の民間企業が参加しているのは主に以下の6つです。

  • CDP:気候変動・水・森林に関する情報を収集し、大企業への公開質問や格付けなどを行っている非営利団体。2022年は、1700以上の日本企業が情報の開示に参加した
  • SBT:企業の温室効果ガス削減目標の国際認証。日本でも自社の目標を立てSBT認定を取得する企業が増えており、2023年3月1日時点で369社が認定を取得している
  • RE100:企業が自社の電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す取り組み。日本の環境省と防衛省・外務省がアンバサダーとして参加し、活動を促進。78社の日本企業が参加している(2023年4月11日時点)
  • Race to Zeroキャンペーン:世界中の企業や団体、地域、大学などに2050年カーボンニュートラルを呼びかける取り組み。日本では大企業に加えて、東京都や東京大学なども参加を表明している
  • TCFD:G20(主要20か国首脳会議)の要請を受けて設立された団体。気候関連問題に対するリスク管理や目標をどう行っているのか、企業の財務諸表に反映させることなどを提言している。日本では1252の企業・機関がTCFDに賛同している(2023年3月27日時点)
  • GRI:サスティナビリティの概念を具体的な指標に可視化したガイドライン「GRIスタンダード」を策定している非営利団体

上記の活動に参加しているのは大企業が中心ですが、大企業は中小企業・零細企業を含めて膨大な取引先を持っています。いずれは、大企業が始めた脱炭素の流れが周囲に波及する形で、業界標準が形成されていくのではないでしょうか。

建設業界で広がっているのはCDPとSBT

国際的な取り組みの中で、建設業界の参加が活発なものは「CDP」と「SBT」です。

リバスタ編集部で建設業界の売上高上位100企業を独自に調査したところ、上位20の企業はCDPの格付けスコア(リスト)・SBT認定のどちらかを取得していました。環境省の報告でも、SBTを取得している日本企業の中で特に多い業種として、建設業が挙げられています。

ここでは、建設業界で広がるCDPとSBTの詳細を見ていきましょう。

機関投資家の支持を得て拡大する非営利団体「CDP」とは

CDPは気候変動、森林、水に対する企業の取り組み情報を収集して開示する非営利団体です。

CDPの主な取り組みは、世界中の大企業に対して環境に関する質問書を送付し、企業からの回答内容にスコア(格付け)を付けて公開することです。スコアは「気候変動」「森林」「水セキュリティ」の3部門からなり、最上級の評価はAリストです。CDPの質問書に回答するかどうかは企業の自由ですが、CDPの回答は世界中の機関投資家・金融機関などから注目されています。質問に回答しなければ投資家からの評価が下がる恐れもあり、CDPの質問に回答する企業は年々増えています。

特に日本はCDPの質問に回答する企業が多く、2022年度は1700超の日本企業が情報を開示しました。建設業界でも売上上位20社のうち15社に開示要請があり、気候変動部門でAリストを受賞している企業もあります(リバスタ編集部調べ)。

建設業界でも認定取得を受ける企業が続出「SBT」とは

SBTは企業の温室効果ガス削減目標の国際的な認証で、CDPなどの非営利団体が共同で設立・運営しています。

SBTの特徴は、地球温暖化に関する国際的な枠組みである「パリ協定」が掲げる水準と科学的に整合性がとられていること。

パリ協定の水準:世界の気温上昇を産業革命前より2度を十分に下回る水準に抑える、または1.5度に抑える努力をすること

つまりSBTを取得すれば、「国際目標と気候科学に沿った温室効果ガス削減目標を立てている」と外部にアピールできるようになります。日本でもSBTを取得する企業が増え、特に建設業界の取得が顕著です。リバスタ編集部の調査では、建設業の売上高上位20社のうち、すでに13社がSBTに賛同。認定済、あるいは認定を目指しているところにあります。今後もSBT認定を取得する企業は増えていくでしょう。

なお、SBTには中小企業向けのコースも用意されています。中小企業向けコースでは温室効果ガス排出量削減の対象範囲を狭める、削減目標に対する審査を不要とするなどの措置があり、通常のSBTよりも認定取得を目指しやすくなっています。

業界トップの企業がCDPやSBTの活動に参加するとどうなるのか

大企業の活動は、いずれ多くの中小企業・零細企業に波及していくもの。特に数多くの事業者が関係している建設業界においては、大企業の脱炭素活動の影響は広範囲に及ぶと予想されます。

たとえば、建設業大手が続々と取得しているSBT認定では、事業者自らのCO2排出量だけではなく、サプライチェーンの排出量削減まで求められます。これは、業界大手の取引企業すべてに排出量削減が求められるということ。今後は、取引先から脱炭素についての情報開示や取り組みを求められる機会が出てくる可能性があります。脱炭素は単なるブランディングではなく、企業間取引継続のために必要な活動になることが予想されます。

CDP・SBTに関する建設業界大手の状況と取り組み事例

ここでは、建設業界大手がCDP、SBTとどう関わっているのか、最新の状況を解説します。脱炭素に向けた具体的な取り組み事例もご紹介していきますので、参考にしてみてください。

CDP(気候変動) で2022年度のAリストを取得している建設企業は4社。いずれもSBT認定取得済

CDPが公開している2022年度のスコア(格付け)のうち、日本企業で Aリストを受賞したのは92社。建設業では4社がAリストを受賞し、いずれもSBT認定を取得しています。ここでは、その中から大林組と大成建設の取り組みについてご紹介しましょう

<【建設業】CDPの2022年度スコア Aリスト受賞企業>

  • 株式会社大林組

大林組は3年連続で気候変動Aリストに選定されており、SBT認定も取得済です。主な取り組みとしては、低炭素な軽油代替燃料の導入、再生可能エネルギーへの切り替え、環境負荷の低減を実現するZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)や木造・木質化建築の普及推進などがあります。また、クリーンクリート®などの低炭素資材の開発・採用も進めています。

  • 大成建設株式会社

大成建設では2020年と2022年度にCDPのAリストを受賞していて、SBT認定も2019年に取得済です。主な取り組みは全社員で取り組む環境負荷低減活動TSA(TAISEI Sustainable Action)、再生可能エネルギー電源の保有などがあります。また、環境配慮型コンクリートの開発や、リニューアルZEBの推進、ライフサイクル全体でCO2の排出量ゼロを目指すT-ZCB(ゼロカーボンビル)の建設にも力を入れています。

新しい技術や建材の開発などは、大手企業ならではの取り組みです。他方で、建設現場の使用重機をハイブリッド型に変えるといった取り組みであれば、比較的始めやすいのではないでしょうか。先行企業の取り組みを参考に、自社でできることはないか探してみてください。

まとめ

脱炭素の流れは世界から日本へ、日本政府から公的機関、民間企業へと広がっています。建築業界でも、CDPのスコアやSBT認定を取得する企業が出てきているため、今後も大企業から中小企業・零細企業へと影響が広がっていくでしょう。

建設業大手がこぞって取得しているSBT認定では、自社だけではなくサプライチェーンのCO2排出量削減を求められます。つまり、取引企業がSBT認定を取得していれば、いずれ脱炭素の情報開示や取り組みについて聞かれる可能性が高いということです。なおSBTに関しては、鹿島建設や竹中工務店も2023年度中の認定を目指しています。こうした動向に注視しつつ、ご紹介した先行企業の取り組み事例を元に、自社で何ができるのかを考えてみてはいかがでしょうか。

リバスタは、建設業界のCO2算出や改善に取り組んでいます。ぜひお気軽にご相談ください。

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出典まとめ:

CDP公式サイト「2022年度 Aリスト企業

J-Net21「中小企業向けのSBTとは

株式会社大林組「低炭素・循環・自然共生社会への取り組み

大成建設株式会社「脱炭素社会の実現に向けて

 

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